珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

母の入院 1

2014年07月26日 | 母のこと

一昨日、母が入院した。

母が入居している施設の系列の病院で、入院をいつにするか決めるための受診だったのが、

そのまま即入院となった。

施設のワゴンで走り出したとき、もう帰って来れないかも知れないことは予想していた。

その二日前に会いに行ったときは、ある程度会話が成り立っていた。

でも、その日はもう何か話しかけても頷くだけで、理解しているとは思えなかった。

一日か二日おきくらいで会っているのに、そのたびに悪化している。

それがあまりにも早くて、脳が癌でいっぱいになっていることは知っていても

そのたび驚かされ、落胆させられる。

歩くことはもちろん、自力では起きられず、左手左足が動かなくなっていた。

もうこの施設での生活は無理だと、嫌でもわかる状態だった。

先生がおっしゃるには、この進行の速さはやはり珍しいそうで、

他を巻き込んで大きくなって行くタイプの、かなり悪性のものだろうということだった。

50年を超す喫煙生活で肺全体が弱り切っていて、抵抗力がなくなっていたのかも知れない。

短期間に左肺にはびこり、軽々と脳へ飛んで行ったのだろう。

 

入院したのは、精神科ではなく内科だった。

一人では起き上がることもできないので、徘徊の恐れがないからだろう。

病室は大部屋に空きがないということで、シャワーとトイレを備えた個室だった。

「大部屋に空きが出たら移動しますか?」と訊かれて、「はい、お願いします」

と、答えたけれど、おむつ交換など考えたら大部屋ではまずいかしらという気もする。

そう長いことではないなら母の預金で対応できるので、個室でもいいかなという気もする。

でも、今までたくさんの人の中にいたのに、個室で一人寝たきりというのも

寂しいのではないかとも思う。

とにかく今は、大部屋に空きがないのだから様子見をしよう。

受診には、母のほかに入所者の方も二人一緒に来ていた。

施設の看護師さんも同行していて、いろいろな普段の生活についての説明や、

入院手続きなど、ずいぶん助けていただいた。

 車を施設の駐車場に置いてきていたので、私はとりあえず皆さんと一緒に帰り、

午後、夫と一緒にもう一度会いに行った。

違う場所にいることはわかるのか、ベッドで寝たまま目があちこち見回している。

夫のことを、誰?と訊いたらかすかに首を振る。

わからない?と訊くと、うんと頷いた。

1週間前は、名前を言うことができたのに。

帰るとき、じゃあ帰るよ、また来るねと言うと、どこへ?と言う。

「うちへ、明日また来るね」というと、頷いた。

その目が不安そうで、胸が痛んだ。

 

昨日、会いに行くと、もう不安そうではなかったけれど、

他の感情もなくなっているようだった。

私、誰?と聞いてみると、首を横に振った。

もう、私のこともわからないのだろうか。

わかるけれど、名前が出てこないということだろうか。

昨日は、私の名を言えたのに・・・

母の時間だけが凄い速さで進んでいるようだ。

像の足のように膨れ上がっていた足は、きれいにもとに戻っていた。

撫でながら、よかったね、と言ったけれど、寝たきりということでもある。

 複雑な心境だ。

お昼ご飯は食べた?と訊くと。首を横に振る。

食べたのを忘れているのだろうと思ったら、看護師さんが食事を運んできた。

検査があって、お昼御飯が遅くなったのだそうだ。

あ、ほんとうに食べて居なかったんだ。

少し嬉しい。

もう少しいたかったけれど、看護師さんに食事をお願いして帰ってきた。

夫が一緒にだったので、ありがたいけれど、かえってゆっくりできない。

今日は、私一人で行ってみよう。