もう片付け時の菊が、花瓶に飾ってある。
母の葬儀から持ち帰った最後の花だ。
葬儀の後、籠二つ分と、祭壇に飾られていた中から
ふた抱えも持ち帰って、家じゅうに飾っていた。
しばらくは百合の芳香が鬱陶しいほどだったけれど、一つ減り二つ減り、
胡蝶蘭や、グラジオラスなど大きな花が先に萎れて行った。
トルコキキョウや、名も知らないやや小ぶりの花が次々に萎れて行き、
最後まで残ったのは、白い菊。
母が亡くなったのが先月の19日、よく頑張ってくれていると思う。
寒くなったのが幸いしたのだろう。
とはいえ、時間の経過はありありだ。
花としての形は保っているけれど、中心が茶色に変わって、
花びらの並びも乱れてきている。
触れたら、はらはらとくずれ落ちそうだ。
でも、触れてみたら、意外としっかりしていて、簡単には落ちない。
もう片付け時だと思うけれど、母の最期とイメージが重なって、躊躇ってしまう。
いっそ、19日までこのままにしておこうか。