防大の開校記念祭についてしばらくご報告してきたのですが、
入間の航空祭についてまだご報告が残っています。
観艦式についてもあと一回だけ書きたいことがあるのですがこちらもまた近日中に。
何の因果か、この世界に足を踏み込んでしまったエリス中尉、
今年になって、いきなり大量の自衛艦自衛隊機を、しかも生まれて初めて目の当たりにし、
あれ見たこれ見たと子供のようにはしゃいでしまっているわけですが、
短期間とはいえこうやって間違いながらも毎日のように機種を識別していると、
いままで全く同じに見えてきた飛行機やフネの形状についても少しはわかってきたりするものです。
先日から始めた乗馬ですが、馬場のあるのは御殿場の富士裾野、
ここはまさに陸上自衛隊の富士学校がお隣さんです。
ぱかぱかやっていると、どぅおおおおおん、ごおおおん、といった感じの地鳴りのような、
おそらくは富士教導隊付属の90式戦車が咆哮したのであろう轟音が響いてきます。
今日もやっとるな我が軍は、と満足してふと空に目を向けると、そこには陸自ヘリの影。
「CH-47J、チヌークか・・・・・」
エルメスの新作ラインはもう名前すらフォローしていないというのに、
いったいどうしてこんなことを知っている、わたし?
ただ見るだけではなく、こうやって写真とともにああだこうだと語り、
またコメントや訂正をいただくうちに、バレンシャガのバッグの本物と偽物の違いより、
SH-60JとKの違いを見分ける方が大事なことに思えてくるのですから、
人生というのはまことに一寸先もわからないものでございます。
それはともかく、今日は航空祭で見た細部ならびに気づいたことなど挙げていきます。
冒頭はもう(わたし的には)すでにおなじみ。
おなじみすぎて、あたかも自分がかつて乗っていたような錯覚をしてしまうほど
親近感を持っているP-3Cですが、この地上展示にはおまけがありまして。
画面の右隅に置いてあるのは・・・・。
うむ・・・・これは・・・・・・これは・・・・
これなんでしたっけ?(ちゅど~~~ん)
防寒スーツ?耐水スーツ?それとも兼用?
真ん中の斜めになったところから足を入れて手を入れて着るもの。
それは見ればわかる。
おそらく前身くまなく包まれるので海に落ちても大丈夫、ってやつですね。
P-3Cのパイロット用なのは展示状況からよくわかるのですが、
いったいどういう状況になったとき身に着けるものなのでしょう。
「あー、今機の調子が悪くて、海上にちょっと不時着しそうだから着ておくように」
ってことで乗員11名みんなが身に着けるのでしょうか。
そして、かれの左にある枕みたいなリュックみたいなのは、何?
海に落ちた時に背負うもの?
中に非常食とか信号弾とか入っているのかしら。
翼の下のパイロン。
パイロンとは重量物を吊り下げるための重力強化ポイントを言いますが、
これは対戦爆弾を搭載します。
ハの字状のピンは、爆弾を吊っているときは上向きなのかな?
投下の時がっちゃんと全部下を向くのではないかと予想してみました。
遠くから見るとごっつんされてコブを作ったみたいでかわいいですが、
この丸いのはアンテナフェアリングといいます。
P-3Cは衛星通信装置を搭載していますが、頭に乗っけていると空気抵抗が悪いので、
このような丸いドームをかぶせているのです。
ちなみにフェアリングとは「fairing」で意味は英語でそのまま「流線型構造の覆い」です。
救出口と書かれた矢印の先をアップしてみると、
EXITの下が光ってどうしても読めないのですが、RELEASE(解除)かな?
日本語は「強くたたいてあ」(ける、でしょうね)とあります。
外から救出するときに漢字の読めない人にもわかるように、ひらがな使用(たぶん)。
どうやらこのベージュの四角いのがロック解除ボタンのようですが、
光の加減でこのボタンが実際にも「強くたたいてしょっちゅう開けられた」形跡が見えます。
点検の時には必ず作動するか毎回チェックしているようですね。
ところで。
今日タイトルの「オライオンの裏側」についてですが、
この日の展示では機体の周りに柵があって、オライオン、
つまりP-3Cの裏が見られませんでした。
見られなかったのに、何が恐怖なのかって?
実は、このオライオンくんの裏側には、「ソノブイ(SONO-Buoy)ランチャー」という、
見るからに気持ちの悪い穴がいっぱい開いた部分があります。
ソノブイというのはつまり対潜水艦用の音響捜索機器、一言で言うとマイクなのですが、
その使い捨てのマイクがここから落ちてくるんですね。
そのたくさんの穴から。
ハスの実を想像させるような丸いものの集合体に非常に弱く、
背中がぞわぞわしてしまう恐怖症を
「トライポフォビア(Trypophobia)」というんですが(英語での画像検索厳禁)、
実はこのトライポフォビアのエリス中尉には非常にこういうものが怖い。
しかし、なぜか怖いもの見たさで見てみたい。
ぜひその部分をいつか実際に確かめてみたいものだと思ってしまったのです。
調べたところ、このソノブイ・ランチャー、P-3Cに搭載されているものに限らず、
だいたい同じような形状をしているらしいことがわかりました。
青い空にブルーの機体、U-125A。
救援捜索機として運用されています。
今は引っ込んでいますが、この機体は左降着装置の収納庫内に、
救援の保命用援助物資投下装置をも収納しているので、
物資投下の際は降着装置も出すことになっています。
省スペースのやり方が日本仕様らしいですね。
ウィキからお借りしてきたU‐125A物資投下中の勇姿。
前輪後輪ともに出ているのにご注目ください。
ところで、かつてコメントで鷲さんが
「自分の引っ越し荷物を自衛隊機で運ばせた馬鹿がいた」
と書いておられましたが、その機はU-125Aだそうです。
この話を聞いたとき、転居先の空き地にごーっと降りる日の丸機、
中からテレビやタンスちゃぶ台が運び出され・・・・
という光景が脳裏をよぎってしまったのですが、さすがにそれはなくて、
「元基地から転属先の基地に私物を運ばせた」というものだった模様。
ところで、この自衛官は、これで懲戒免職になったのでしょうか・・・?
この日は整備隊も脚光を浴びます。
地上展示してあったF2戦闘機のコクピットで、
注目を浴びまくりながら整備をする小見士長の(たぶん)姿。
しかし、戦闘機というのはどうして隅から隅までこんなにかっこいいのか。
跳ね上げられたキャノピーがまた何とも・・。
ところで、写真に撮ってみて初めて気づいたことですが、
キャノピーにどう見てもバックミラーにしか見えないものが・・・。
これ、本当にバックミラーですか?
それから、これ。
なんと、乗り機には自分の名前がペイントされるのです。
かっこいいなあ。こういうのもまた。
これはクリサキ・タカシ(仮名)二等空曹の機だということらしいです。
先日、米軍の階級章は陸海空で違う、という話になりましたが、
我が自衛隊も、英語ではアメリカ式階級呼称を採用しているようです。
ここにペイントされた「T/Sgt」は「Technical Sergent」で、二等空曹。
海上自衛隊の二等海曹は英語では「Petty officer 2nd class」。
海自が曹クラスを「士官の小型」呼ばわり?しているのに対し、空自は
「サージャント」の上に「マスター」「テクニカル」「スタッフ」をつけて階級分けしています。
ですから、
「♯わたしは海軍のキャプテンですが????♯」
の米海軍と同じく、海自の一佐は英語ではやはり「キャプテン」、
空自の一尉も英語では「キャプテン」と紹介するようです。
飛んでる飛行機ならともかく、地面に静止している飛行機を撮るのに、
どうして尾翼が切れているんだ、って気もしますがそれはさておき。
練習機T-7です。
初等練習機というのは、生まれて初めて飛行機に乗る練習生ががいきなり
こんな飛行機や
こんな飛行機に乗っては、テンパって飛行機をつぶしてしまうかもしれないので、
初心者はもっとお手軽な操作でさくさくと飛んでくれるような、
つまり反応が素直で性能もいい飛行機で練習するのです。
また、練習機は、基地間の連絡や訓練支援(曳航、標的になるなど)以外にも、
佐官級の上級部隊指揮官が技量維持のため「年間飛行」と呼ばれる訓練に使います。
「流星になった男たち」という稿で、練習機T-33Aシューティングスターの事故を扱いましたが、
この事故で無くなった二人の佐官も、この「年間飛行」を行っていました。
ちなみに、この型は、2002年の除籍予定でしたが、事故を受けてこの後すぐ飛行停止、
翌年(2000年)には残っていた八機すべてが除籍処分になっています。
さすが練習機、いちいち指示が丁寧です。
「バッテリは左側前方の防火壁後方にある」
「中に消火器あり」
あいまいな単語をスタイリッシュに書くなど、兵器にはあってはなりません。
何かあったとき、マニュアルを出して読んでいる間に取り返しのつかないことになるので、
危急につながることは、多少格好悪くても機体にちゃんと書いておくのです。
ところで、この機にも名前がペイントされていますね。
「三等空曹 片岡慎也」
練習機だとこれもなぜか日本語表記ですが、よくわからないのがその上。
この三文字、なんて書いてあるんでしょうか?
飛行長?
あと、練習機だから練習生がかわるがわる乗るはずなのに、
どうして機体に所有者名が書かれるのかも謎です。
管理責任を負う操縦士ってことでしょうか。
後からこんな風に疑問が噴出してきて、それが解決するたびにまた知識が増える。
ゲームみたいで、ワクワクします。
入間空自祭の「重爆箱の隅シリーズ」、もう少し続きます。