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バーキン片手に靖國神社

自衛隊観艦式観覧記~「ひゅうが―俺たちの青春」

2012-11-03 | 自衛隊

       

というタイトルだったかどうかは定かではないのですが、観艦式の日、
観閲と訓練展示が全て終わった後、広い艦内ではパイプ椅子を並べた客席前のステージで
自衛官たちのアトラクションが行われました。
先日ご紹介した「CIWSくんとミサイルくん」などもその演目?の一つで、主に彼ら若い自衛官が
どのような生活並びに訓練を日頃行っているか、そして各分隊の任務はどのようなものか、
そういったことを紹介する内容になっていました。

観艦式の日はまるで彼らにとって文化祭のようなのでは、と以前書きましたが、
まさに文化祭の出し物チックなノリです。




この出し物の前には、スライドショーで艦内の見取り図や



ひゅうがをいろんな視点から紹介しています。
ついでにいまさらですが説明しておくと、艦名の前のアルファベットは


DD(Destroyer):駆逐艦
DDG(Guided Missile Destroyer):ミサイル駆逐艦
DDH(Helicopter Destroyer):ヘリ搭載型駆逐艦
DDK(Hunter-Killer Destroyer):対潜駆逐艦
LST(Tank Landing Ship):戦車揚陸艦



です。

対潜駆逐艦が凄いですね。
「ハンター・キラー」でございますよ地球市民の皆さん。
この場合「ハンター」は潜水艦のことで、その潜水艦を屠る駆逐艦、と。
さあ、軍靴の足音が聞えてくるこの対潜駆逐艦の「K」に今すぐ抗議するんだ!!

・・・あ、本気にしないでね。

ところでAOEは高速戦闘支援艦なのですが、高速戦闘支援艦って、英語では
fast combat support ship

ですよね?

「ましゅう」は補給艦でもありますが、補給艦は
suply ship
オイルの補給艦は
replenishment oiler

ですよね?
なんでAOEなの?
そもそもAOEって何の略語?

調べても分からなかったので、放置。(おい)


註:

この後、軍事顧問からのご指導が入りました。

補給艦等の「AOE」の「A」ですが、これらの艦は
「補助艦艇」に分類されますので「Auxiliary 」の「A」なんです。
その他にも「情報収集艦(AGI)」、「海洋観測艦(AGOR)」、
「実験艦(AX)」等があります。
 
とのことです。
Auxiliary=補助、予備 ですね。
ありがとうございました。



一通りスライドショーが終わったら、次はいよいよ分隊紹介。
「ひゅうが―俺たちの青春」(確か)の始まり始まり~~!



まずはラッパ展示から。
お断りしておきますが、旧軍時代からこの「ラッパ手」は音楽隊とは関係ありません。
通信手が練習して吹くことになっています。
因みに、

 

これがラッパ手軍団。
基本歩きながらの演奏なので、訓練の際も歩いてするようです。
現在、起床ラッパは録音を薙がすことが多いと聞きますが、
ひゅうがは艦が大きいのでやはり一人のラッパでは聞えないかもしれません。



起床ラッパをこれから吹きます。
しかし、画面の注意書き・・・・。
「実際はズボンをはいて寝ていません」
じゃ実際彼らはどんな格好で寝ているのでしょうか。
どうしても知りたいわけではありませんが、気になります。



軍艦旗、じゃなくて自衛艦旗掲揚。
続いて海軍喇叭譜による「君が代」です。

ド~ソ~ド~ド~ミ~ ド~ソ~ド~ド~ミ~ ミ~ミ~ソ~ ミ~ミ~ソ~
ミ~ドミソ~ソ~ミ~ドドド~
ソ~ソソソ~ソ~ミ~ド~ミ~ド ソ~ソソソ~ソ~ミ~ド~ミ~ド
ド~ソ~ド~ド~ミ~ ド~ソ~ド~ド~ミ~ ミ~ミ~ソ~ ミ~ミ~ソ~
ミ~ドミソ~ソ~ミ~ドドド~

というあれです。
え?こんなんじゃわからねえ、って?

ちなみに喇叭はト長調ですが、分かりやすく移動ドで書きました。




艦同士がすれ違うとき、登舷礼のときに行われる喇叭譜。
陸軍潜水艦「まるゆ」が、特攻に向かう戦艦大和の、
この喇叭譜とともに行われる登舷礼を受けたという話も書きました。



ご存じ、巡検ラッパ。
白い制服は当直士官です。(たぶん)

さて続いては、「ロープの結び方展示」。




三人の隊員が、それぞれの結び方の速さを競うゲーム方式。



5秒以内にもやい結び、という風にテーマを決めて競争です。
この三人のうち、いつも一番早かったのが一番左の隊員。



コンスタントに一番遅かったのが右側の隊員。
これはね、経験値の差だと思うの。
ちなみに真ん中の隊員は「26歳です!」と元気に自己紹介していました。



最後は「自分の身体にもやい結び」。
一番右の隊員が「溺れた人」の役。

「助けてくれ~~~!」

投げられたロープを自分の身体にもやい結びします。
ロープがこれ以上締まらないので、救助のとき役に立つのですね。



ところで、「ひゅうが」の組織図は以前にも書きましたが

第一分隊 砲雷科
第二分隊 船務科 航海科
第三分隊 機関科
第四分隊 補給科 衛生科
第五分隊 飛行科

これら分隊の任務をこんな風に紹介しています。



まず、第五分隊、飛行科出動!



ところが・・・!
全力疾走してきたヘリのパイロットが転倒!負傷!

 

即座に駆けつける第4分隊、衛生科!
この宇宙服のような防護スーツを見よ。
これはもの凄い耐火性がありそうです。



お次は、艦内を巡視中の隊員。
本当はこんな幟を持って歩くことはありません。(たぶん)
すると艦内に火災発見!



ただちに消火。
ただし、この任務をどこの分隊が行うのかについては忘れました。
船務科かな?

お次はお待ちかね?補給科のお仕事は、勿論・・・・



カレー作りです!

・・・勿論それだけではありません。
腹が減っては戦は出来ぬ。
旧軍の昔から主計科は「戦うもののエネルギーを補給する戦闘行為」を担当する、
ある意味最も重要な部署。

本日は「ひゅうが」の特製カレーのレシピをご紹介頂きました。
画面に映っている材料はこれが全てではありません。
なんと、

インスタントコーヒー
蜂蜜

が隠し味にはいるのです。
息子がこれを見ていて「今度カレーに入れてみて」というので、早速やってみました。
感想は「蜂蜜とコーヒーの味がする」
そうでしょうな。
隠し味なのに、入れすぎたかもしれません。

この、調理を行う「経理補給関係」の術科教育は、舞鶴の第4術科学校で習得します。
この舞鶴は、昔海軍機関学校のあったところ。
正確には
「経理、調達、保管、補給、給養および業務管理に必要な知識、技能の習得」です。

海軍の「メシのうまさ」には昔から定評がありましたが、海自の食事も、その伝統を受け継ぎ、
誠に気合いの入ったものになっています。
レセプションなどでは世界各国海軍からの評価が非常に高いのだとか。

ここでいきなり、このカレーの大食いコンテストが始まりました。



砲術士対信号手。
おっと、砲術士は女性だ。
ガタイの大きな信号手はともかく、このか細い女性が山盛りカレーを?



二人ともあっという間に平らげました。
カロリー消費量も大変なものなので、これくらい食べても太ることはないのでしょう。



一方こちらは先ほど滑走路で転倒したヘリのパイロット。
応急手当をするのは勿論第4分隊の衛生科です。



そして最後は・・・・・・・・
うゎ~・・・かっこいいい・・・。
なんですかーこの黒づくめの制服は。

例えば今海保の専門のようになっている「不審船」などを拿捕したときに乗り込んでいくのが
この隊員たち。
分隊で言うと・・うーん、これも船務科かなあ?

分からないものは何でも船務科にしていないか、って?はい、その通りです。
たぶん違うと思います。




ピストルを構え、船内を進みます。
このピストル・・・・本物ですよね?



怪しい人影発見。
コマンドが出てますが読めません・・・。
怪しい人物は逃げ、彼らはその後を追って客席に・・

「犯人はまるでモデルのような美女だそうです!」
「怪しい人物を見つけたらまず質問だ!わかってるな」
「はいっ!」
「あっ、怪しい人物発見!質問します!」

「あの、すみません!好きなタイプはどんな人ですかっ!」
「かっこいい人-」
「かっこいい人ですか・・・」(しょんぼり)

いや、あんた方、十分かっこよく見えるんですけど。



この後、補給科のしゃもじを盗んで逃げた犯人を追う隊員たち。
「待て~」
こちらのそうびは「ぼうかオノ」。
てきのそうびは「しゃもじ」。
補給科からの略奪品です。

「こら~!待て!」
「ご飯が食べられないだろ―が!!」




こんな平和に行けばいいのですが、海賊の出る海域でも、
いざとなれば彼らがこのように対峙しなければいけないのです。

観艦式の「お祭り気分」から、彼らがまるで大学生のように思えてしまう出し物でしたが、
ある自衛隊員が徴兵制について聴かれたとき、

「徴兵で集められた人間が戦闘で役に立つわけがない」

と言っていたことがあって、非常に印象的でした。
大学生のように見える彼らも実は「戦闘のプロ」。
日々、いざというときのために激しい訓練を受けている戦闘集団なのです。

やはりいざとなれば平時から訓練をしている自衛隊、海保を頼りにするしかないのが、
「役に立たないほとんどの日本人」であると言うことを忘れてはなりません。



しかし、まさにいざそうなったとき、彼ら自衛隊員の命は十分に損保されるのでしょうか。
そして、この左に巻ききった日本において、国を守ってくれた人間に対し、
その功績に値する名誉が果たして与えられるのでしょうか。

旧軍の軍人がよく

「自分が死んだら家族はきっと国がちゃんと面倒を見てくれ、
自分は靖国神社にはいる名誉が与えられると信じていたからこそ戦えたのだ」

というようなことを言っているのを見聞きします。

しかし、今の日本の現状を見ると、とてもではないがそんな体制など、
まったくありはしないしこれから生まれてくるとも思えません。

国の護りとなって自分の命を顧みず任務を遂行する覚悟だけを彼らに負わせ、
いざとなったら十分な保証も名誉も与えられないとなったら、
自衛隊員や海保職員たちはいったい何をよりどころにして戦えるというのでしょう。

せめて十分な管理体制と、そして彼らには十分すぎる防御の備えをしてあげて欲しい。

この日、若い隊員たちのはつらつとした様子を見るにつけ、
なぜかこのような思いを抱かずにはいられなかったエリス中尉でした。


そして・・・続く!