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入間航空祭~「ジェット燃料の匂い」

2012-11-26 | 自衛隊

                  




この日のF-2(#501)二態。

機体の番号♯501で気が付いたのですが、これは



前出のこの写真で小見さんが(←)チェックしていたものだったのでした。


しかし、戦闘機というのはどうしてこうぞくぞくするほど美しいのでしょう。
飛行機に乗りたくて自衛隊に入ったのなら、誰もが乗ってみたいと思うのではないか。
それゆえそれはものすごい競争率で、その狭き門を突破して選ばれる
戦闘機パイロットというのは、とんでもない頭脳と身体能力に恵まれているのではないか・・・。

かつて「戦闘機パイロットの運動神経」という稿で
「それはどうやら違います」といろいろ例を挙げて説明したことがある当人にもかかわらず、
縦横無尽に空を駆け風を切る戦闘機の飛翔を目の当たりにすると、
やはり「普通の人間じゃないよなあ」と思えてしまいます。

そして・・・そんな特殊な技能を持つパイロットって、超モテるんだろうなあ、とも。
だって旧軍時代から戦闘機搭乗員はMMK、というのが定説ではないですか。

リチャードギアの「愛と青春の旅立ち」という○○映画がありましたね。
(○のなかにはお好きな言葉を)
原題は「An officer and a gentleman」(士官と紳士)
なんでこんな変なタイトルなのかは全くわかりませんが、結局つまりこれ、
軍服を着た飛行士官に惚れない女はいないぜ!ということが言いたいだけの映画。
(飛行士官じゃなくなったら女が離れていった、というエピソードもあったような覚えが。
つまり女って俺が飛行士官じゃなきゃ相手にしないのかorzという結論であったともいえる)

このように、パイロット、ことに士官パイロットがモテるのはワールドスタンダード。

このあたりのことは実際にそうであるかどうか、
ご自身がかつて飛行士官で、おまけにご子息がF-2パイロットである方でもおられましたら、
無理にとは申しませんがぜひ伺ってみたいところです。




ところで先日、(その)鷲さんとのコメントやりとり中、計器飛行についての話が出ました。
飛行灯台の点灯によって計器飛行に切り替える、という話題をきっかけに教えていただいたのですが、


>飛行訓練における「計器飛行課程」においては、
基本的な「Pertial Panel」と呼ばれる訓練を行います。

この「Pertial Panel」というのは、
>旋回計、昇降度計及び磁気コンパス等、
本当に基本的な計器のみで針路をコントロールする訓練

だということですが、飛行訓練について調べたところ、
このような過程を踏むことがわかりました。
最初の段階は、

地上で目隠しをして操縦席に座らされ、教官に
「高度計」
と言われればぱっと手を伸ばして高度計に触れ、
「速度計」
と言われればそれに触れる練習をさせられる。

これは、操縦席の外を見ながら飛行するときに、視線は外にあっても、
一瞬で高度計を見て、変化していれば修正のかじを素早く使うための訓練です。

たとえば楽器でも、初心者は鍵盤や指板から目が離せないものですが、
そのうち楽譜を見ながら手元を見ないで演奏するようになります。
パソコンのキーボードのブラインドタッチも同様。

目をつぶっていてもどこに何があるかわかるようにする訓練ですね。
この訓練は、かなり昔の話のようですが、今もこのようにするのでしょうか。

この後、
水平垂直飛行
旋回
上昇降下
離着陸
アクロバット
と訓練が進んで、そこで初めて計器飛行訓練です。

計器飛行は、鷲さんのコメントの通り、外を全く見ずに計器盤だけをにらみながら
飛べばいいのですが、これもまたコメントによると
「そんな操作にもセンスが出る」とのことでした。

訓練では
「姿勢指示器を見て飛び、高度計を見て高度を瞬時に確認したら、
視線をまた姿勢指示器にもどす。
速度、進路、旋回率、上昇降下率も同様に確認せよ」
という風に言われるそうですが、これも最初は、

気流に揺られて傾いた翼を水平に戻していると高度が落ち、
これを直そうとしていると速度が変わり、これを修正しようとする間に
いつの間にか進路が変わってしまっている。
ひどいときには墜落しそうになる者もある。

というものだそうです。
訓練を積むうち、こんな訓練生も、計器だけでたとえば戦闘機なら
アクロバットもできるようになるのだそうですが、そのころには
計器を全てまんべんなく視界にとらえ、たとえ外を見ていても、
目の端で少しの針の揺れも認識できるようになるのだとか。

そして、鷲さんのおっしゃるように各自の「センス」というものも
如実にこういった操作に影響を及ぼすのでしょう。
どんなに飛行機の性能が進歩しても、それを繰る人間の技量で
それはフルに発揮されたりされなかったり、ということのようです。





ところで、飛行機展示の前には、このような柵があり、
柵越しにP-3Cのクルーがファンサービスをしていました。
パイロット用ヘルメットを被らせてくれるのです。
10分の一秒くらいの間、ヘルメットを被った写真をここにアップすることも
考えないではありませんでしたが、この光景、見てくださいよ。
実際被ってるのもこれから被りたそうにしているのも、子供ばっかりじゃないですか。
そればかりが理由ではありませんが、いくらなんでも恥ずかしいのでやめました。



後ろのP-3Cは、厚木基地所属の「シーイーグル」だったようです。
キャップの3はもちろん機種名からでしょう。
手に持っているジャケットも頼めば着せてくれそうですね。


     

モニターによっては縦に並んでしまったかもしれませんが、この写真、
ファンサービスのためにそこにいた海自クルーが一斉に注目している先には、一人の男性が。
なんと自衛隊OB出現です。

引退した元パイロット、しかもこのP-3Cに乗っていたというこの方の発言に、
一同「お~~~~!」(みたいな感じ?)
まわりの人たちも一斉に耳をダンボにして注目。
現役自衛官がOBに見せる表情をご覧ください。


ところで、わたしは今回このように上空を多くの航空機が飛び交い、
あるいは滑走路をタキシングする現場を初めて見ました。
そして、ネットの写真やyoutubeの画像では決して伝えられないことがあるのを知りました。
たとえば、画面越しには理解はできても実際にその場にいないと実感できないのが、
航空機のジェット音、プロペラ音ですが、それ以上に印象深かったのが、匂いです。

ジェット燃料の、おそらく空港や航空基地でしかかぐことのない独特の匂い。

この日午前中から夕刻までずっとここにいたわけですが、
これに気付いた、というかずっと匂っていたこの燃料の匂いをあらためて認識したのは、
外来機の帰投が始まっているエプロンの前列付近に立った時です。
パイロットが手を振り、巨大な機が翼をバンクして、一機また一機と入間を去っていくとき、
なぜだかわからないけどむやみに感動的なそのシーンに、これまたなぜかわからないけど、
その匂いはぴったりと合い、一種センチメンタルな気持ちにさせられるのでした。

たとえば写真の元自衛官の方のような、かつてのパイロットや、エンジニアなど、
空港基地に勤務された方々は、航空祭に来て、現役の時にはさほど意識していなかった
この匂いを嗅ぐとき、あらためて、さまざまな思いを去来させるのかもしれません。
あるいは、このジェット燃料の匂いに包まれた、乾いたこの空気に包まれるために、
かれらは引退後もこうやって基地に度々足を向けるのかもしれない、とふと思いました。