この日入間の航空祭でもらったパンフレットです。
横に倒した方が、パイロットの様子がよく分かると思います。
パイロットはしっかりと一番機を見ているのがわかります。
演技は基本的に「一番機を見て飛ぶ」のだそうで、それがよくわかる写真ですね。
一番機が墜落したので編隊の4機ごと全部同時に墜落した、
ある意味究極のフォーメーションともいうべき事故がが世界では過去二回あります。
(1962年のスターファイター、1982年のサンダーバーズ)
ところで、このブルーインパルス、元はといえばサンダーバーズの演技を見た
あの源田実の鶴の一声が結成のきっかけになっているってご存じでした?
さて、先日の入間航空祭での華麗なブルーインパルスの演技中、
二番機に「軽微な故障」が起こった、とアナウンスがありました。
最後に行うはずだった「コーク・スクリュー」は中止となり、
二番機に続いて全機が着陸。
昨日、エリス中尉の隣にいた人が二番機の遅れを指摘していた、
というところで終わってみましたが、果たしてそれは、
この「軽微な故障」(会場では電気系統に異常、とアナウンスされた)
と関係があるのか?
こういう状態のときに地上で最も気が気ではないのが整備クルーでしょう。
ブルーインパルスの整備クルーは「ドルフィン・キーパーズ」と名付けられ、
HPではちゃんと白いマフラーにキャップという、パイロットと全く同じユニホームで
一人一人が写真とともに紹介されています。
決してクルーを「縁の下の力持ち」扱いしない、という姿勢が感じられます。
上の写真、二番機の周りに集まっているメンバーをアップすると・・
最初、マフラーをして腕組みをしているのがパイロットかと思ったのですが、
もしかしたら「ドルフィン・クルー」の可能性もあります。
ところで、次の日TOがわたしに
「昨日の航空祭、ブルーインパルス故障したんだって?ニュースになってたよ」
と言うので驚きました。
「軽微な電気系統の故障」が新聞記事になるとは。
これも、「マスコミが鵜の目鷹の目で自衛隊の問題点をあげつらう」の一環か?
とややうんざりしてからその記事を検索してみると、なんと。
故障の原因は「バード・ストライク」だったのです!
(T人T)ナムー
演技の間中、観客は全て見逃すまいと空を目を皿のようにして見続けます。
わたしもそのひとりだったのですが、上空に目をやるうち、目の端に飛来する影を認め、
ハッとしてそちらを見やるとそれは鳥だった、ということが何度かありました。
飛行基地と鳥の相性の悪さは異常で、必ず基地では周りに鳥が繁殖しないよう、
「目玉状のもの」(カラスよけ鳩よけに使うあれですね)をつるしたりするのだそうですが、
実際のところあまり効果は無いそうです。
入間基地も見たところ何かしていたとしてもあまりその効果はでていないように思えました。
ふらふら飛んでいたらマッハのスピードで焼き鳥にされてしまうというのに、
鳥もまた危機感のないことです。
わたしが何度が上空に認めた鳥さんのうちの一羽だったのかどうかは知りませんが、
二番機が「衝突した」とニュースは報じています。
ブルーインパルスの機体、T-4はスマートで、衝突の可能性は低そうに思えますが、
翼の付け根にあるエアインテークらしきポケットに吸い込まれたのでしょうか。
皆が集まって見ているのが左翼側なので、そちらに?
「輸送任務を終えて帰路につくため、帽ふれで送られて飛び立ったのにすぐバードストライクに見舞われ、
すぐに『ただいま―』と飛び立った基地に帰らなくてはならないときの脱力感は異常」
という元パイロットの述懐を聞いたことがあります。
エンジンに有機物が飛び込むと、ショックと共に「タンパク質の焼ける臭い」が漂うそうで、
すぐさまそれはわかるのだそうですが、パイロットの脱力感も異常なら、
「鳥のせんべいをはがさなければならない整備クルーの絶望感も異常」に違いありません。
まあとにかく、このたびは地上で気を揉んだ「ドルフィンキーパー」の皆さんも、
「鳥なら仕方ない」
と少しほっとする気持ちになったのでしょうか。
極限まで表情をズームしまくってみると、心なしかクルーの表情は明るい。
「鳥か・・」
「鳥だったのか」
「鳥じゃーしょーがねーなー」
「ショックがあったし、焦げ臭かったから鳥だと思ったんですよ、オレ」
という会話が聞えてきそうです。
これ、一番右がパイロットですよね?左腕のマークが赤だし、キャップもそれっぽい。
(整備クルーのマークは総括班長だけが赤)
そして、エリス中尉のこの捜査能力を駆使したところによるとこの一番右の方は
レフト・ウィングの飛行班員、里見祥延三佐(防大44期)
ではないかと思われます。
まあ、答えが分かる問題ではありませんが。
万が一、里見三佐をご存じの方がこれを見ておられたら当たっているかどうか教えてください。
あ、勿論ご本人でも結構です。
ところで、このとき、エリス中尉は人垣の後ろからカメラを上に構えて
適当にシャッターを押していたので、前で何が起こっているのか見えていなかったのですが、
冒頭写真をアップしてみると、
あれれ?整備クルーらしきスタッフが大きな花束を抱えて二番機に向かっている!
誰かのラストフライトでしょうか。
ところで、ラストフライトで、しばしば自衛隊のパイロットはバケツで頭から水をかけられるそうです。
なぜ水を掛けるのかご存じでしょうか。
飛行機の色々、例えば「キャプテン」(船長)「ボーディング」(搭乗)「ポート」(港)
これらの用語は全て「船」から継承されて航空関係に使われています。
船ではそういうとき仲間が両手両足を持って海に放り込む慣習がありますが、
空港ではそういうわけにいかないので、代わりに水を掛けるのだとか。
それが現代の自衛隊でも行われているかどうかはわからないのですが、
少なくとも航空祭の衆人環視の中でパイロットに水を掛けるわけにはいきません。
それにこの隊員、明らかに二番機のパイロットに花束渡そうとしてますよね?
「軽微な故障」を起こして着陸したパイロットに水を掛けたら、
(まだこの時点ではバードストライクであることは観衆には報じられていなかった)
それを見た観衆の間にどんな誤解を生むか分かりません。
わたしがそうではないかと推理したところの二番機パイロット里見三佐ですが、
HPにおいても「今年が最後」とコメントしています。
なんと、任期三年のブルーインパルスにおいて、里見三佐は今年五年目であるとのこと。
任期が替わったのでしょうか?それともこの方が優秀だったと言うこと?
もしこの花束を贈られたのが里見三佐だったとして(そうでないことを祈りますが)
よりによってラストフライト、ブルーとして最後の演技がこのような幕切れとは・・・。
我々は「残念ではあるけれどある意味滅多にないシチュエーションを見た」
なんて気楽なことを言っていられますが。
一番機の一人、三番機、六番機、そしてこの二番機。
この日のメンバーの4人が今年で卒業となります。
彼らブルーインパルスのメンバーが華やかな美技で満場の賞賛を集め、
あこがれの目でみられるのも三年からせいぜい五年。
任期が済めば次の「ブルー」に道を譲り、本来の
TAC(戦闘機飛行隊)パイロットとして、通常の任務に戻るのです。
ブルーインパルスは本人の希望、あるいは命令によって移動が決まります。
中には希望ではなく「不承不承」といった感じで移動する隊員もいるそうですが、
任期が終わる頃には彼らの編隊飛行の技倆は著しく磨かれ、
また本人も「もっとやっていたい」という心境になるのだそうです。
一身に何十万もの目を集めながら自由自在に大空を駆ける昂揚と至福の瞬間は、
きっと彼らにとって生涯を通じての宝物となるのに違いありません。