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豪雨の自衛隊観閲式(開場編)

2013-10-21 | 自衛隊

自衛隊は、毎年一回、内閣総理大臣を観閲官とする観閲式を陸海空持ち回りで行います。

まだ民主党政権の、しかも菅直人が総理大臣をしていた頃、
つまりそれは三年前ということになりますが、このブログ開始とともに
怒濤の勢いで自衛隊についてのあれこれを知ることになったエリス中尉、
陸自主催観閲式の模様を見て、菅元総理に突っ込むためのエントリを書きました。



去年の海上自衛隊の観艦式も、何となく「行きたい」とつぶやくことによって、
意外な方面からのご縁を得、参加が叶うことになったわけですが、今年、
順番で言うと陸自の担当である朝霞の観閲式にも、「行きたい」と書いておけば叶うかもしれない、
と思い、一応そのようにブログ文中で希望をそれとなく伝えておきました。(誰に?)

すると、あら不思議。

さる筋の方からまず「可能であれば」とのお話をいただきました。
吉報をお待ちしていたところ、どうやらそれは今回はご縁がなかった様子。

「やっぱりね。そんなに毎回毎回うまく行くはずないし」

と潔く諦めかけたその日に、

さるルートから予行演習のチケットがいただけることになりました!

わーい、きっと日頃の行いがいいからだわ。
などとあつかましく喜んでいると、やっぱり、罰が当たってしまいました。

20日は雨の確率80%、しかも朝から

という無慈悲な天気予報。
当たらないこともあるけど当たってほしくないときには必ず当たる、
そんな天気予報のセオリー通り、前日から雨が降り出してしまったのです。

チケットは実は三枚いただいており、家族で行くつもりをしていたのですが、
わたし一人の興味のために家族を豪雨にさらすには忍びません。
特に、「アンタは張り子の虎か」と突っ込みを入れたくなるくらい、

「濡れてその後風邪を引くこと」

をまるでペストのように恐れているTOなど連れて行ったら、
おそらく10分雨に打たれただけで日頃の神様のような温厚さをかなぐり捨て、

「もう帰る!」

と青筋立てて席も蹴立てて一人でも帰ってしまうかもしれません。

というわけで、前日からわたし一人で参加することを決意し、
朝まだ開けやらぬ時間に家を出て、電車に乗りました。
車を留めたミッドタウン周辺には、明らかに「前夜から起きている人たち」
が、目の回りに隈を作って家路に急いでいます。
地下鉄に乗れば、目の前には




こんこんと座席で眠る・・・・・女性。
わたしは猛烈に感動していました。

お隣中国では、川に入水自殺しようとした女性を助けようと、
外国人が川に飛び込み、彼女を助けて帰ってきてみると、
脱ぎ捨てた服も、荷物も、皆盗まれていた、という話がありましたが、
女性が、人気のない車内で、しかも荷物をこのようにしながら
熟睡しても、身の危険どころか盗難にも遭わない国、にっぽん。
まあ、たまたまみのもんたの息子が乗り合わせていなかっただけで、
荷物が取られずにすんだのはラッキーだっただけなのかもしれませんが。


有楽町線の終点は和光市です。
昔々、TOと結婚する前、かれはここで今のお仕事のための研修をしていて、
一度だけ遊びにきたことがあります。
そのときには意識の隅にも引っかかりませんでしたが、ここには朝霞駐屯地があったんですね。

自衛隊が駅前から駐屯地までシャトルバスを運行していましたが、
少しでも早く行きたいわたしは、迷わずタクシーに乗りました。
基本料金プラス2メーターくらいで駐屯地前に到着。
初めて知ったのですが、ここには「あの」りっくんランドもあります。



本来ならばここを人の波が埋め尽くしていたと思うのですが、
さすがにこの天気では人もまばらです。
ちなみにこのとき、開場7時から1時間くらい経過して8時頃だったと思います。




大勢の人のチケット確認と手荷物検査、金属探知機などを捌くため、
たくさんのテントが敷設されていましたがご覧の通り。
どのテントを通過するか、選び放題です。

ちなみに、手荷物は自分でバッグを開けてみせます。
聞かれたのが

「ペットボトルはありませんね?」

ペットボトルがだめというのは前もって知っていましたが、
それなら自前の水筒ならいいのだろうか。
赤ちゃんのミルクのための水とかはどうなんだろう。

27日の本番に行かれる方は、そう言うことなのでご参考までに。
どちらにしても、乳幼児は連れて行かない方がいいイベントだと思います。
こんな雨の日なら尚更のこと。
中に入れば足下は舗装されていない土なので、バギーを押すのも大変ですし、
観覧席は段になっているので、移動一つとっても大変ですよ。



手荷物検査を受け、チケットを水戸黄門の印籠のようにかざしながら、
どこに行けばいいのか指示を受けつつ進みます。
ちなみにわたしは赤チケットで、松竹梅で言う「松」でした。

噂によると「紫」という幻の「松の上」があるそうですが、
おそらく国会議員待遇のシートなのだと思います。



この雨の降る中、傘もささずに歩いているのは、自衛隊員の皆さん。
皆制服の上に、鶯色のレインコートを着ています。
傘をさしてはいけない、それが世界基準の軍人の掟。(イタリア軍除く)

まだレインコートを着ることが出来る隊員はいいんだけど、
迷彩軍服の人たちは、当たり前のように濡れるがまま。
この濡れた軍服は、一晩で乾くのだろうか。
ちゃんと着替えがあって、ローテーションできるのだろうか。
とても防水加工などしていないように見えるけど、下まで染みないのだろうか。
そんな心配をついしてしまいます。

その自衛隊員気分がのちにたっぷり味わえることになるが、
このときにはまだそれを知る由もないエリス中尉であった。



というわけで、適当に席を選びました。
もう少し向こう側の方がよかったかな~。
そう思い出すも、このときには既に雨が激しく降っており、
いったん腰を下ろして、頭から足先までレインコートやらビニールやらで
身を覆ってしまうと、なかなか席を立ち、隣に移ることができません。

まあ今日はどうせ予行演習だから、安倍総理や小野寺大臣が来るわけじゃないし。

そう考えて、ここに落ち着くことにしました。
ちなみに観覧席での傘の使用は禁止です。

さすがは自衛隊。

一般のイベント業者ならそんなことには決してしないでしょう。




早く来て場所を取ったら、あちこちに展示してある装備品を見学する、
というのも本来の「正しい観閲式の参加の仕方」だと思うのですが、
言ったように、あまりに天気が悪くて、「荷物を置いたまま」ということが出来ません。

わたしは床に荷物を置いて、その上にエルメスを買ったときにおまけでついてきた
雨用のバッグカバーをかけたのですが、それを膝の下にいれ、膝を持参したレインコートで覆っても、
情け容赦なく降り注ぐ雨は、バッグの中に入る一方。
しかも風が強く、一人で来たわたしが、自分の場所を示す何かを置いておいても、
あっという間に飛ばされてしまうことは必至。

到着時間から開始時間までの間にも、一回も立ち上がりすらせず、雨を受けていました。



ここも一応赤チケットの席なのですが、この時点では誰もいません。
当日、やめてしまった人も結構いるのだろうなと推察。

上の段にいるのは海自の方達ですね。



客席の前にいて誘導したり、質問に答えたりする役目の隊員。



「あちらにいくと・・・・・」
と丁寧に観客の質問に答えています。
なかなかハンサムな隊員さんですね。
ちなみに彼は、白い手袋が雨で貼り付いていて気持ち悪そうでした。
このような任務でなぜ白手袋をしなくてはいけないのか分かりませんが、
任務終了後、きっと彼は手はふやけてしまったでしょう。

何を隠そう、わたしも、観覧席では傘を使えないことをしらなかったため、
手は覆うものが何もなく、ずっと雨に降られたまま。
4時間がすぎてから見ると、まるで長湯をした後のように手の指がふやけて白くなっていました。

帰途、駅まで約30分歩き、電車に乗っている間、すでに1時間以上経っているのに
手が濡れたまま全く乾かない、という経験を初めてしました。

自衛隊員は雨でも普通に訓練を行うわけですが、日常的にそんな生活をしていると、
皮膚の保水能力がもしかしたら退化してくるのでしょうか。
それとも若いから脂分が多くて、水を弾いてしまうんでしょうか。




96式装輪装甲車が軽装甲機動車が並んで車両部隊の行進のためにスタンバイ。



客席を見張る係の隊員もスタンバイ。
この人は姿勢が良くて立ち姿がかっこよかったので撮りました。
それにしても、この見張り番の彼らの様子を興味津々で観察していたのですが、
一度たりとも欠伸をしたり、鼻を掻いたり、くしゃみをしたり立ったまま寝たりしていませんでした。

雨が降ろうと突風が吹こうと、まるで人形のように微動だにせず。
訓練の賜物だと思うのですが、自衛官の基礎身体能力には驚愕するばかりです。

もしかして、立って目を開けたまま寝ていたとか?
それはそれですごいですが。



向こうに見える並木の下の(ん、これは、桜並木?)歩道にも、
ボツボツと人影が見えてきました。

こんなに朝から雨が降り続いているのに、そんなにしてまで、君たちは観るのか。

わたしのような好き者、じゃなくて物好きでなければ、隊員の家族?
この天気にもかかわらず観覧席がほぼ全部人で埋め尽くされ、
前後左右にすべて人が座ったとき、自衛隊行事に興味を持つ人間というのが
世の中にいかに多いかがわかり、これはちょっとした驚きでした。



向こうに観閲行進のための観閲部隊がスタンバイを始めました。
傘の人たちはそれを見物する観客。



わけもなく通り過ぎるトヨタの車。
なぜか携帯サイレンをつけています。



続いてマイクロバス。



到着したと思ったら、中から陸海空の制服が出てきました。
うむ、これは陸海空将クラスの「偉い人」に違いない。



ほら、ちゃんとスクランブルエッグがいるでしょ?
観閲式の実地責任者は陸上幕僚長。
執行者は、東部方面総監の、これも陸将です。
ついでに、観閲部隊というこの日のための特別編成部隊にも指揮官がいまして、
これは第一師団長たる陸将がなります。
これに観閲飛行部隊の指揮官である陸将補をいれて、4人の「偉い人」が、
ここに到着したということのようです。




青チケットは、向こう側に席があります。
上の方で8人、ちんまりと座っている陸上自衛官がいたので、
ちょっと写真を撮ってみました。
雨で空いているから、自衛官が客席に座っても良かったんですね。



ここは観閲台ですが、お掃除部隊がやってきて、水たまりがないように掃除しています。
もし本番がこんな雨でも、やはり総理大臣はここに立つのだろうか・・・・。
もしかしたら、爆発物が置かれていないかのチェックでもあるのかもしれません。



海上自衛官と航空自衛官が何やら打ち合わせ中。
海自の制服がなんでネイビーじゃなくて黒なんだ!
とわたしは日頃不満なのですが、空自に紺色を取られてしまったんですね。

空自はスカイブルーなんだから、もっと明るい色にして、海自は次回の制服改定の際は
何が何でもネイビーブルーを奪還することを、このブログ主催者として強く希望します。

さて、到着から9時45分の観閲部隊入場までの間、
装備品展示を見に行ったり、あるいは席に着いたままiPadやiPhoneを見たり、
単行本を読んだり、そうやって時間を潰すのが本来の過ごし方というものですが、
朝から一段と強さを益した雨は、単行本は勿論のこと、うっかり外に出すと

電子機器は水に濡れて駄目になってしまうくらい

電子機器は水に濡れて駄目になってしまうくらい

電子機器は水に濡れて駄目になってしまうくらい

情け容赦なく観覧席に降り注ぎました。(伏線)
周りの人々も、仲間内で来ていてもなぜか無口になり、
深々と体の芯まで冷やしながら、時間つぶしさえできないまま、ただ待ち続けるのみ。
 
そんな観覧客のために、せめてもというわけではありませんが、
会場には次々と「自衛隊歌」「行進曲」が流されます。

陸自開隊の記念に作られたもの、50周年記念に作られた行進曲、
なかでも

「栄光の旗の下に」

という古関裕而先生作曲の歌はいっぺんで覚えてしまいました。

「山がある 川がある 海がある 空がある
美しき みどりなす国 この静けさを守り抜く 陸上自衛隊
われら日本 日本の 平和の使者は 今日も行く」

歌っている歌手が、やたら半音ずらしたりする変な歌い方をするので、

「こんな歌なら、佐々木功に歌わせればいいのに」

などと心の中で突っ込んでいるうちにも、次々と流される「自衛隊ソング」。

「日米海の競演」

と称して、「碇を上げて」と「軍艦」、そして題名は知りませんが海兵隊のマーチ、とか。
初めて聴く曲もありましたが、防衛大学校のために作られた黛敏郎の「黎明」とか、
あるいは「大空」など、わたしのiPodに入っているものもかなりありました。

(っていうか、こんなものiPodに入れてるヒトって、少数派?)

とにかく、自由になるのがただ耳だけの状態で、これらの音楽を流してくれたのは、
本当に待っている身にはありがたかったです・・・・・・。

写真が思うように撮れず、しかも航空部隊の展示もなかったわりには
長くなってしまったので続きはまた明日。


そして、この雨に数時間濡れ続けたエリス中尉を襲った悲劇とは・・・・!

待て次回。