横須賀音楽隊の妙香寺でのコンサートについて書くと、
必然的に「君が代」のことにまで言及することになってしまい、
「フェントン君が代」「音楽取調掛」の君が代のことまで、
三日を費やしてお話しすることになってしまいました。
わたし自身も知らなかった「薩摩琵琶」や、文部省「君が代」のことについて
改めて知り、大変勉強をさせていただいたわけですが、
ある方からこの「薩摩琵琶」についての参考映像をいただいています。
薩摩琵琶奏者、島津義秀氏による蓬莱山
なんでも、ご紹介くださった方が鹿児島に赴任されているとき、
知己でおられたそうです。
島津義秀氏は、加治木島津家と呼ばれる猛将島津義弘の流れを汲む家系で、
ご本人は 島津義弘を祀る精矛神社(くわしほこじんじゃ)の宮司、
島津義弘公奉賛会の代表 を務めておられるとのことです。
なお、島津氏は、野太刀自顕流の指導者、薩摩琵琶、天吹(小型の尺八)の
奏者としての演奏活動も行われているほか、
現代音楽やバレエ等とのコラボレーションなどにも積極的に参加されています。
「君が代」というものは全部で5つあった、として、二日にわたり
その説明をしたわけですが、
1、薩摩琵琶
2、フェントン作曲
3、雅楽部伶人作曲、エッケルト編曲
4、ウェッブ作曲、文部省音楽取調掛編纂
5、喇叭譜
このうち、周知の事実であろうと5番の喇叭譜については触れませんでした。
わたしも当初は知らなかったので、改めて知らない方のために説明しておくと、
「喇叭譜」というのは、一言で言うと軍隊の信号、通信を行うための合図で、
式典や行事にも使われ、この「喇叭譜君が代」は全く「君が代」とは
似てもいないし非なるメロディの、全く違う旋律です。
護衛艦と喇叭譜のことについてもまた教えていただいたので、それらを記しておきます。
護衛艦における自衛艦旗掲揚(毎朝0800)
すべての自衛艦は、自衛艦旗を午前8時に掲揚、日没時に降下しますが、
その際に吹奏 されるのがラッパ君が代です。
0755に「自衛艦旗揚げ方5分前」、日没5分前に「自衛艦旗降ろし方5分前」
という艦内 号令がかかります。
陸自や空自の基地では定時に国旗掲揚降下を行っていますが、
世界中の海軍基地においては国旗降下は日没時に行われています。
なお、航海中、艦旗を降ろすことはありません。
通常航海中は艦尾旗竿に、戦闘状態においてはマストに掲げます。
ここでふと思い出してしまったのですが、 こんな隣国海軍がいましたね。
韓国海軍 (AOE 58)補給艦「デーチョン」大清 Taechong 横須賀入港時の出来事。
軍艦の表敬訪問時には、訪問先に敬意を表して大きい自国国旗は掲げないのがマナーです。
にもかかわらず、デーチョンは、自国の旗を、デカデカと掲揚していました。
しかも、軍艦旗をメインマストに掲げていたそうです。
戦闘旗すなわち戦闘行為の宣言。つまりこれは挑発行為。
通常、親善訪問なら軍艦旗は艦尾で、メインマストには相手国の国旗を掲げるのが慣例なのですが。
呆れて口が塞がらない海上自衛隊関係者が見守る中、
突然デーチョンの煙突が爆発して黒煙が・・・。
そしてそのまま入港せずに帰っていってしまったとのこと。
一体何がしたかったのか。
さて、もう一件、興味深い海自の儀式を教えていただきました。
冒頭写真の「自衛艦旗授与式」です。
造船所で建造を成ったフネは、防衛省自衛隊に引き渡されて初めて
“自衛艦”として就 役することになります。
その就役の日に行われるのが
「自衛艦引き渡し式、自衛艦旗授与式」です。
「自衛艦引き渡し式」は、造船所と防衛省との間で行われる儀式であり、
フネを建造 した造船所の社長から防衛省代表に引き渡され、
マストに掲揚していた造船所の社旗が降下されます。
その後、防衛省代表から艤装員長(初代艦長)に自衛艦旗が授与され、
初代乗組員が乗艦。
このときに演奏されるのは?
そう、もちろんのこと、
行進曲「軍艦」です。
そして、艤装艦長が乗艦。この瞬間。艤装艦長は「艦長」となります。
この間ピー、ピー、と笛が鳴らされます。
ラッタルには細かく紅白でテープの飾り付けが・・・。
「男が一生にいちどはやってみたい仕事」連合艦隊の艦長、
という話がありますが、
♪海の民なら男なら みんな一度は憧れた
太平洋の黒潮を 共に勇んで行ける日が
来たぞ 歓喜の血が燃える ♪
という歌を彷彿としてしまうシーンですね。
最近、海自、特に船乗りは昔と違って、どうも志願という点で「人気がない」
という、ネイビーファンにはがっくり来るような話もありますが、
まあ、ここは置いておいて。
海自に入ったからには、これをするのが男として、ふなのりとしての本懐。
それにしても、海の男の儀式というのは、どうしてこう美しく、
無条件で心を奪われるのでしょうか。
調子に乗って、旧海軍の軍艦旗掲揚シーンも貼ります。
まさに「ネイビーブルーに恋」とはこういうのにときめく気持ちなんですよ。
お分かりいただけますよね。