「あきづき」体験航海について今日もお話ししようと思いますが、
その前に、ぜひ書いておきたい、皆様に聞いてほしいことがあります。
なんと!今年防衛大学校に見事合格されたという方が、
この度このブログ宛に、ご丁寧にこんなコメントをくださったのです。
「こちらのサイトで、とにかく色々な情報を得させていただき、
モチベーションを維持し続けてきました。
色々とお世話になりました! 」
海上自衛隊並び各自衛隊を独自に応援してきた当ブログですが、
こういう形でお役に立てる日がやって来るとは・・・・。
このご報告をいただき、わたしは喜びと感動で思わず胸が熱くなりました。
4月からの防大での新生活と、自衛官としての第一歩に
心から声援を送るとともに、幸多かれとお祈りしております。
おめでとうございます。
さて、アメリカ潜水艦との遭遇、そしてミサイル艇2隻のパフォーマンス。
出航作業から息つく暇もなく次々にイベントが続きます。
8時半から出航作業が始まって以来、ここまでで1時間半くらい。
次の大イベントである昼食までにはまだまだ時間があるので、
わたしは鉄火お嬢さんと艦内見学をすることにしました。
おっとその前に、ミサイル艇「おおたか」の写真を。
「しらたか」のターンばかりあげて、「おおたか」の全体像を
アップしないと不公平ですからね。
鉄火お嬢さんもコメントで言っておられますが、この登場で
わたしはミサイル艇のカッコ良さに悩殺されてしまいました。
この日の乗客には地本が連れてきた入隊志望の若者がいたそうですが、
実際にこういうのを見てもらうことって、リクルート的にも効果大よね。
さて、とりあえず艦橋から出たのですが、そこでこんなものを見つけ
喰いつくわたくしたち。
艦橋で使用するテッパチ(鉄じゃないけどこういうのか・・・)が
ラックに収納されている、護衛艦ではおなじみの光景ですが、
注目したのはこの順番。
いつも乗っているわけではないのに隊司令が一番上←わかる
その下が艦長←わかる
以下隊付隊信船務士←ほうほう
副長、一番下←?
まあこれも訳はわかりませんが、海自のことだから何か理由があるのでしょう。
下に降りていく途中にあった艦長、副長、先任伍長、艦三役の御真影。
こういうところに飾る写真は、アメリカ軍のように定型があるわけでなく、
(椅子に座って袖の階級章を見せるようにし、歯を見せる)
艦や部隊によって微妙に違っています。
こちら隊司令、群司令は壁の前で撮ったようで、自衛艦旗なし。
ちなみに下の海士長役付きの写真は、露光を3段階で変化させた例。
艦内の注意喚起にも活躍するあきづきキャット。
何に手を添えて熱気をシャットアウトするのかはわかりませんでした。
艦内神社もちゃんと科員食堂の近くに御坐す。
「あきづき」艦内神社の勧請元は宗像大社らしいですね。
宗像大社は福岡県宗像にある海上・交通安全の神威であり、
全国7000に及ぶ宗像神社、厳島神社の総本社です。
神宝として古代祭祀の国宝を多数有し、裏伊勢と呼ばれたり、
「宗像三女神」の一がおわす沖ノ島は 「海の正倉院」とも呼ばれ、
今年7月には世界遺産の審査が行われる予定でもあります。
関連業者から贈呈されたらしい錨の置物。
というところで、公開日でオープンされていた機関室にやってきました。
動力、電力などをコントロールする操縦室で、応急指揮所になることもあります。
隊員が向かっているのは電源関係のコンソール。
電源関係だけでこれだけ統括しなくてはいけないくらい、
現代の護衛艦は電力を必要とするということでもあります。
電話の下にマグネットで留められた紙には
「体験航海時配置」
とあり、本日の1直と2直の運転分掌指揮官や操縦員長などに
割り当てられた名前が書かれています。
これらを全て統括するのが機関長。
護衛艦では三佐が行います。
そしてここが機関長の席。
せっかくなので一瞬機関長気分を味わうために座らせていただきました。
デスクには定規、消しゴムすら机と平行にきっちり並べられております。
広げられた大きな「機関日誌」には、0530から始まって、
刻々と起動準備、試運転、ブレーキ試す、出航準備、出航用意
(出航準備と出航用意の違いとは?)などが書き込まれています。
ここにきた時には時計は10時20分でしたが、出航してからは
その後何も書き込まれていません。
それにしても、海自の職場って、どんなものぐさでもここで働けば
いつのまにか几帳面な人にならざるを得ない感じですね。
機関室に一般人が入る時には上部パネルを隠します。
左のモニターには艦橋にあるカメラから見た前甲板の様子が。
鉄火お嬢さん(の右腕部分)の向こう側に二人が座っているコンソールは
応急監視・ダメコン用で、艦内各部の火災、浸水状況をワッチするものです。
ところで、護衛艦内の椅子はどうやって揺れに対処しているのかな?
座っていてふと気になったわたしは、足元を確かめて見ました。
わたしが今座っているハーマンミラーのアーロンチェア
(TOがアメリカで衝動買い。もう15年経つけど全く劣化なし)のように、
5本の足が出ているのは同じですが、
その先がローラーではなく、床に吸い付くような素材なのです。
「これは時化の時に動かないようになってるんですね」
と説明してくださっていた機関長にお聞きすると、
さらに時化た時にはこれを使うのだ、と見せてくれたのが床の仕掛け。
ここには椅子を中央で固定するための器具が収納されているのだとか。
「今まで、そんなことに気づいた見学者はいません」
まあそうだろうなあ。(だから鉄火お嬢さんにもマニアと以下略)
さて、世界基準で必ず立派な表札がかけられている先任海曹室。
アメリカ海軍の場合は、やたら凝ってペイントを施したりします。
中に先客がいたので、入ってもいいのかな?とお邪魔して見ました。
遠慮して写真は撮りませんでしたが、中では、先ほど
「あきづきの猫帽子が欲しいんだけどどこで買えるのかしら」
と乗員に聞いていた元女子会がお買い物中でした。
グッズを扱うのは先任海曹室なんですね。
おお、「あきづきにゃんこ」帽子、欲しい〜〜!
とわたしも脊髄反射で思わずおサイフを取り出したのですが、
次の瞬間冷静な鉄火お嬢さんが、
「縁に金の模様の入ったのはありますか」
うむー、鉄火お嬢、いきなり士官用を所望するか。
「それは最初になくなってしまいまして」
海曹長がおっしゃるもので、次の機会にしようと購入を断念しました。
わたしも自称とはいえ一応中尉なんで、カレー付きが欲しいです。
先任海曹室の並びには専用の小さなキッチンがありました。
ドアの横にかかっているのは専門のコックコートで、
袖にはブルーの5本線が入っているものです。
一旦廊下に出たところで、医務室がオープンになっているので見学しました。
説明のために寝台には訓練用のマネキン(女性)が寝かされています。
ここで待機していたのは護衛艦乗組の海曹で、インタビューさせていただいたところ、
彼は「技術海曹」という区分の任用で、二等海曹以上が受験できる資格。
救急救命士の資格を持っているとのことです。
この辺りも陸海空で微妙に制度が違っていて、陸空自は救急救命士は
准看護師の資格がないと受けられませんが、海自はそうではないようです。
余談ですが、音楽隊員の任用区分だと音大卒は2曹、音楽短大卒は
3曹からの入隊試験が受けられるということになっています。
医官は全体数が少なく(引き抜きもあって”医師不足”気味なのだとか)
航海に乗り込むことは観艦式の時などを除き滅多にないということでした。
医務室の片隅にお母さんと子供が二人いたので聞いて見たところ、
海曹のご家族だということでした。
医務室なのでお父さんと一緒に航海中まったりできますね。
ちなみに奥様は夫の職場と仕事を見るのは初めてということでした。
この日はべた凪で、船酔いもなさそうでしたし、見たところ
けが人も病人もなかったようで、何よりです。
この時、先の観艦式の時に練習艦「しらゆき」で急病人が出て
ヘリ搬送された話になったのですが、
艦長以下隊員が迅速に対応を図り、館山航空基地所属の「UH-60J」が
救急搬送を行うも、その方が病院で亡くなったということを聞きました。
病人が無事病院に搬送され手当が実施されたとのアナウンスが流れた時、
「しらゆき」艦内では大勢の参加者の拍手と安堵の歓声が湧きあがった、
とニュースでも見た覚えがあったのですが、そうだったんですね・・。
この方は持病の発作を起こしたということですが、あの観艦式でわたしは
ラッタルを渡るのも覚束ない足取りのご老人を見たりすると、
「自分だけは大丈夫だと思ってるのかもしれないけど、
万が一があったら大変なことになるのだから、自重すべきでは」
と内心思ったものです。
ちなみに空母「ロナルドレーガン」の見学は65歳以上不可で、どうしてもという場合、
「何があっても自己責任で。裁判など起こしません」という念書を取られます。
先任海曹室の入り口にあった自衛艦旗格納箱!
そもそも先任海曹室に入ったのが初めてだったので、
このようなものがここにあるのも初めて知りました。
今航行中で自衛艦旗は揚がっているんだからここにはないと
思っていても、つい好奇心で蓋を開けて見たら、
中には予備が(多分)一旒入っていました。
先任海曹室には自衛艦旗のスペアがある_φ( ̄ー ̄ )と・・・。
昼間航海中でも先任海曹は寝ることを許されるのか!
と驚いてしまった先任海曹の居室。
寝てます
↑うむ。
航海中の ドアの開閉は静かに!!
↑これはわかる。
↑結局どうせいっちゅうねん。
続く。