きょう9月8日は二十四節気の一つ「白露(はくろ)」です。
そこで今日は「白露」と「露(つゆ)」を詠んだ歌について調べました。
「白露(はくろ)」とは、大気が冷え、野にはススキの穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられるようになって草花についた朝露が寒さで白く見える頃を言います。
・畑のススキは穂を出し風に吹かれていますが、日中の気温は依然として高く35度以上の猛暑日が続き、秋には程遠い毎日です。
暦便覧には「陰気ようやく重なりて露ににごりて白色となれば也」とあります。即ち、秋が本格的に到来し、草花に朝露がつくようになると説明しています。
大阪南部・熊取では、今朝は台風9号の風が吹いて若干涼しく感じますが、今日の天気予報によれば、日中の最高気温は34度の予想となっており、まだ夏まっ盛りといったところです。
・草についた朝露が白く見え始めましたが、昨日までは35度前後の猛暑が続いています。
この「白露(はくろ)」の名称は、「陰気ようやく重なり、露凝って白し」ということから名付けられたそうです。
なお、陰気とは万物生成の根本となる二気に一つで消極面をつかさどる気です。
二気のもう一つは「陽気」で、万物が動き、または生じようとする気をいいます。
・朝露に濡れる草です
歌や句にも露を詠んだものがたくさんありますので、その一部をご紹介します。
・「この夕べ 秋風吹きぬ 白露に 争ふ萩の 明日咲かむ見む」 (万葉集10-2102 よみ人知らず)
(意訳):この夕べにひんやりとした秋風が吹き、白露が萩の花にもつくけれども、萩の花は負けずに明日朝も花を咲かせるだろう。その様を見るとしよう。
・「白露も こぼさぬ萩の うねり哉」 ( 松尾芭蕉 )
(句意):美しい花をつけ、露をいっぱいためた細長い萩の枝が秋風にかすかにうねりながらも、その露も落とさずに咲いている。(露は秋の季語です。)
・露草です。
昔から露はいろいろな言葉に例えて使われています。
①.涙に例えて
「我が袖は 草の庵に あらねども 暮れるば露の 宿りなりけり」 (伊勢物語)
(意訳):私の袖は「草の庵」ではないが、まるで「草の庵」であるかのように、暮れて来ると、まさに露の宿り場所であったのだなあ。ほれ、このように涙で濡れているよ。
この歌は、男が横になっては女を思い、起きては女を思ったりしていたが、遂に思い余って詠んだ歌だそうです。
②.はかなく消えやすいこと
「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」 (豊臣秀吉:辞世の句)
(意訳):露のようにこの世に生まれ落ち、そして露のようにはかなく消えてしまったこの身であることよ。
大阪城で過ごした栄華の日々は、夢の中の夢のようにはかないものだった。