日経ネットを見ていたら、「認知症を予防するための食事法」という興味深い記事があったのでご紹介します。
記事によれば、「認知症」の発症には、生活習慣、特に食生活と深い関わりがあるということです。
認知症を予防するための食事法については、世界的に研究が進められており、2015年には、米シカゴのラッシュ大学医療センターで考案された“アルツハイマー病を予防する”食事法として「MIND(マインド)食」の効果が発表されています。
「MIND食」
MIND食とは、心臓病の予防効果やダイエット効果が確認されている「地中海食」と、高血圧を防ぐために米国で考案された「DASH(ダッシュ)食」という2つの優れた食事法をベースに、認知症の予防を目的に新たに考案された食事法です。
「地中海食」
地中海食とは、イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理のことで、以下のような共通の特性があります。
・果物や野菜を豊富に使用する。
・乳製品や肉よりも魚を多く使う。
・オリーブオイル、ナッツ、豆類、全粒粉など未精製の穀物をよく使う。
・食事と一緒に適量の赤ワインを飲む
食事法です。
「DASH食」
DASH食とは「高血圧予防のための食事法」で、NIH(アメリカ国立衛生研究所)の主導で行われた臨床試験に基づく食事療法のことです。
DASH食の具体的な内容は、野菜や乳製品、果物、魚や大豆製品などを積極的に食べること。
これらの食品には塩分の排出を促す効果のあるカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などが豊富に含まれており、同時に摂取することでその効果がさらに高まると言われています。
「MIND食の効果」
地中海食とDASH食をベースに考案されたMIND食の効果については、認知症になっていない高齢者923人を対象に、平均4年半にわたって観察を続けたところ、次のような結果が得られたということです。
「結果」
MIND食15項目(推奨と避けるべき食材)のうち、平均9.6項目実行したグループ(厳密に実行)は、平均5.6項目しか実行していないグループ(少し実行)に比べて、アルツハイマー型認知症の発症率が53%低かった。
また、平均7.5項目実行したグループ(緩やかに実行)では35%低いという結果が出たということです。
「MIND食で取り入れる食材と避けるべき食材15項目」
MIND食では、積極的に食べた方がいい食材10項目と、逆に食べ過ぎないように注意すべき食材5項目を示しています。
「MIND食で取り入れるべき10の食材と避けるべき食材」は下記のとおりです。(日経ネットより)
具体的には、動物性脂肪(飽和脂肪酸)や甘いものを控え、オメガ3などの不飽和脂肪酸を含むオリーブオイルや魚、ナッツ、抗酸化物質であるポリフェノールが多いワイン、カロテノイドや食物繊維が豊富な緑黄色野菜などを推奨しています。
なお、オメガ3脂肪酸とは、 ヒトの体内で作ることができないため、食物からとる必要がある栄養素です。
オメガ3脂肪酸のEPAやDHAは、脂肪が多い魚(たとえば、サケ、マグロ、マス)や甲殻類(たとえば、カニ、ムール貝、カキ)のような海産物に含まれているということです。
このMIND食の推奨食材となっているフルーツが、ブルーベリーなどに代表される「ベリー類」です。
ベリー類は優れた抗酸化作用を持つポリフェノール(アントシアニジンなど)を豊富に含んでいます。
70歳以上の女性約1万6000人を対象にした研究では、ベリー類の摂取量が多い人は認知機能の低下が最大2.5年遅いと報告されています。
日本人が大好きなイチゴ(ストロベリー)でもOKです。
これだけMIND食の効果が確認されているのなら、MIND食15項目をできるだけ摂取して、認知症の予防に努めたいですね。