

ブログ「の~んびり タイランド」をやっていましたが引っ越してきました。新たに「の~んびり タイランド 2」でスタートします。よろしくお願いします。
写真は「ラフー・オム・チャン」と呼ばれる模様のサンカロークの陶片でプロフィールのデザインに借用しました。現在のシーサチャナライ遺跡の近くで、14世紀頃に焼かれた鉄絵の碗の見込みに描かれたものです。
「ラフー」とはヒンドゥー神話に登場する太陽と月を飲み込む鬼神です。神々が「乳海撹拌」でアムリタという不死の薬を手にしましたが、ラフーが盗み出しました。太陽神と月神に見つかりヴィシュヌに告げられました。怒ったヴィシュヌはラフーの首を刎ねましたが、アムリタを喉まで飲み込んでいたので、首から上が永遠に生き延びることになりました。頭部だけになったラフーは太陽と月に恨みを晴らすために、太陽と月を追いかけては飲み込みますが、首から下がないためにすぐに出てしまいます。
ラフーが太陽や月を飲み込んでいる間が日蝕や月蝕になります。

「乳海撹拌」は天地創造神話で神々と阿修羅がマンダラ山を撹拌棒に大蛇ヴァースキを引き綱にして乳海を1000年間かき混ぜました。しかしマンダラ山は地下界まで沈んだのでヴィシュヌが亀に変身して支えてくれました、こうしてさらに1000年経つと海の中からアムリタが生じたというお話です。アンコールワットの第一回廊東面の彫刻が有名ですが、他のクメール寺院でも門の上の楣石や破風に好んで彫られた題材です。
写真はタイ、カンボジア国境上にあって領有紛争になっているカオ・プラ・ウィーハン第2楼門の破風の乳海撹拌です。

シーサチャナライのワット・プラ・シーラタナー・マハータートの東門にあるラフーです。

スコータイのワット・シー・サワイの祠塔に掲げられているラフー(カーラかも)です。
ラフーと同様に顔だけの鬼神に「カーラ」があります。食欲旺盛で自らの手足、体を食い尽くして顔だけになったとされています。そのことによって悪いものまで食べてくれる鬼神で、クメール建築の門や入口の楣石、破風には必ず彫られています。

ヒンドゥーの鬼神ですが、現在のタイの仏教寺院でも祀られています。写真はチャチョェンサオのワット・サマーンのラフーです。境内に大きなピッカネー像が建立され通称ワット・ピッカネーと呼ばれ参拝客でにぎわっています。ちなみにピッカネー(ガネーシャ:富と知恵の神)もヒンドゥーの神でシヴァ神の息子です。