ニヤック・ポアン(絡み合うヘビ)の大池に水があるときの写真です。南側から撮影しています。基壇の右(東)はナーガが鎌首をもたげ、左(西)には尾が絡み合っています。
大池はヒマラヤのカイラース山の麓にある、全ての病を治す神秘の湖アナヴァタープタ(無熱悩池)を象徴しています。四方の小池は、その湖を源とする4本の大河、ガンジス、インダス、オクサス、シーターを表わしています。
実際に多くの病人がここに訪れて病を癒していたようです。
大貯水池「ジャヤ・タターカ」の中央に神秘の湖を造り、四方に水を流す仕掛けは、水を制したクメール人ならではの発想です。はるかプノン・クレーン山から導管を引いて、常に水を満たしていたのではないでしょうか。
とぐろを巻いたナーガの絡めた尻尾がはっきりと分かります。
祠塔堂の東には観世音菩薩の化身、神馬ヴァラーハとヴァラーハにぶら下がる18人の彫像です。水が満たされれば天を駆けるように見えるようです。
観世音菩薩を崇めていた商人シンハラは、航海中に難破します。一行が漂着したのは人喰い女「ラクシャシー」の住む銅の島「タームラ・ドゥヴィーパ」です。
シンハラ一行は美しい女に化けた人喰い女たちの夫にされてしまいます。
ある夜、シンハラは部屋のランプが笑っているのに気が付きます。ランプは「彼女は人喰い女です。危険が迫っているので、海辺で待っている馬に乗って逃げなさい。ただし、向こう岸に着くまで目を開けてはいけません。」というお告げをします。
シンハラは仲間と共に馬にしがみついて逃げました。馬は天高く駆け、目を開けなかったシンハラだけが助かりました。
この馬こそ観世音菩薩の化身「ヴァラーハ」です。
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東に入り口を持ち、三方向のは観世音菩薩の彫像が彫られています。
その間には三つの頭の象、その上に乗るガルーダ像が彫られています。
祠塔堂の南側面に彫られた観世音菩薩像です。
三つ頭の象とガルーダです。
基壇の上の蓮華座がよく分かります。水が満たされていたときは、水に浮かぶ蓮華の上に祠塔堂が建っているように演出されていたのでしょう。
西側の観世音菩薩です。ジャヤヴァルマン7世の死後に始まったヒンドゥー教のバラモンによる激しい廃仏運動でも立像は被害が少なかったようです。
塔には獅子像もあります。
北側の観世音菩薩の顔は削り取られています。
フタバガキの花が満開でした。
ニヤック・ポアンでチケットをチェックしていた青年です。
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