の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

チャンセーン博物館(5)

2015年06月22日 | 博物館

展示品の解説をしてくれた女子大生たちです。

女子大生の答えられない質問に対しては右の女性が答えてくれました。

現在の環濠集落内には見るべきものは何もないとのことです。地図に3か所遺構らしき印があるのは、池跡で涸れて草が茂っているだけとの答えでした。
折角来たので池跡を見に行くことにします。

博物館横に法輪が立てられています。

法輪の前には出土品の石版の鉦がベンチ代わりに並んでいます。



寺院の裏門を出るとすぐに濠です。







村人何人にか池の場所を聞きながら歩いたのですが誰も知りません。
道路わきの子供にも尋ねてみます。父親に聞きに行ってくれました。

父親は知っているようで池まで案内してくれます。ただ、池は掘り起こして新しくなっているそうです。
いくつも畑を横切り進みます。僕は落ちている土器片が気になり、遅れ遅れについていきます。

畑に露出した土器片です。父親曰く、トラクターで耕作するようになり、土器がたくさん掘り返されるようになったということです。シーサチャナライでも同じ話を聞きました。
環濠集落は洪水被害の少ない、周りより少し高い場所に築かれましたが、それでも洪水に襲われ、流されてきた肥沃な泥土が堆積したようです。黒い土が地表を覆いますが、トラクターで掘り返されて、遺物が現れるのであれば、30cmも掘れば当時の地面が出てきそうです。



池です。

池は掘削されて法面もきれいになっています。僕が村の人に聞いたのは、博物館の女性から聞いた「古代の湧水池」の場所でした。この池はどう見ても新しい貯水池です。

肥沃な土地です。

案内の親子と別れ、印花文土器片を探しながらワット・チャン・センへ戻ります。


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ワット・チャン・セン横の大きな貯水池もドヴァーラヴァティ時代から続く池です。

尖塔部分が崩れた、煉瓦積みの仏塔があります。



礼拝堂前にある象の彫像の上で瞑想するタイ人です。

菩提樹の木の下ですが、日陰にはなっていません。

本堂です。

本堂の南軒下に安置された仏像はクメール様式です。
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環濠を車で横断して帰ります。濠に水を蓄えた所もあります。



環濠集落の外に広がる水田です。
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畑で拾った土器片です。残念ながら印花文は見つかりませんでしたが、人形の足の部分がありました。時間をかければ印花文も人形の頭も見つかりそうです。


巻きスカートの裾が翻る女性の足元かなと思っています。

チャンセーン博物館(4)

2015年06月21日 | 博物館

ドヴァーラヴァティ時代の展示が続きます。

土器片です。矩形の枠内に象やライオン、ハムサ、または白鳥の印花文です。まだチャン・セン以外では見たことがありません。



象です。
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「Gods of Angkor」の図録にカンボジア国立博物館所蔵の銅鼓が載っていました。解説では紀元前3世紀から紀元前2世紀、北ベトナム、または中国となっています。直径96cm、高さ57cmでプノム・ペーンの東、ベトナム国境との中間にあるプロヘーア出土です。タイ国内も交易によってもたらされた銅鼓の出土品が各地の博物館に展示されています。祖先崇拝や、雨乞い儀式に使われたようですが、展示品は腐食が激しく側面の模様まで確認していませんでした。図録の写真を見て、初めて側面に矩形の枠で囲まれ繰り返し模様が彫り込まれていることを知りました。

そこで銅鼓をネット検索すると、上の絵柄を見つけました。裾部の象の図柄が気になったので一部を借用しました。どこか、チャン・セン、バン・バーンプン古窯の陶器に通じるものを感じます。

チャン・センの土器模様も銅鼓などの青銅製品から影響を受けたのかもせれません。

■チャン・センの西南およそ100kmのター・チン川沿いに古窯バン・バーンプンがあります。ター・チン川の川岸で拾った陶片です。





35バーツで買ったバン・バーンプン古窯の発掘報告書です。掲載の一部を添付します。



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■チャンセーン博物館の展示品に戻ります。
ライオンです。ウ・トーン国立博物館によく似たライオン像のシールがありました。
前脚を突っ張り、後脚を折り曲げた横顔のライオンは1世紀から3世紀のアマラヴァティ様式です。

ドヴァーラヴァティの仏塔を支えるライオンです。

騎馬人物像です。



聖鳥ハムサです。















これは博物館誌の写真です。鮮明なので載せました。
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印花文土器の横に並んでいました。ブリラムからもたらされた陶製の蓋でしょうか。
黒釉、青磁釉、形状を見るとブリラムのクメール陶のようです。

■参考までに友人からもらったクメール陶の蓋4点を載せます。





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ワニ形壺です。

バン・バーンプン、さらにはサンカロークのタオ61との繋がりを感じさせる壺です。


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■「God of Angkor」にもう1点気になる写真がありました。
カンボジアの西方バッタムバーンで出土した高さ57.7cmの大きな銅鐸です。先史時代の紀元前4世紀から紀元2世紀に作られたもので、タイ、マレーシアでは70個以上出土しています。同時期はドンソンの青銅器が有名ですが、本品の生産地は不明です。用途は象にぶら下げた鈴ではないかといわれています。
さて、気になったのは、器面全体に施された、水平方向の多重S字形渦巻き模様です。

■下はバン・バーンプンの川岸で拾った壺の破片です。印花文と銅鐸の模様がよく似ています。


北方窯の青磁壺です。サンカンペーン窯といわれていますが、詳細不明です。

「ウー・ノーン」と呼ばれる横渦巻の耳がついています。

■一点追加します。メナム・ソンクラーム古窯の壺です。逆S字の渦巻き文です。

シーサチャナライ、タオ・61窯のワラビ文「ウー・ユーン」です。S字形渦巻き文との関連は不明ですが、参考までに載せておきます。
高さ14.5cm、口径10.5cm、胴径12cm、底径5.3cmと小ぶりな壺で、内面にはキン・マークの石灰(プーン)が固着しています。

ピサヌローク、タオ・ハイ窯のワラビ文「ウー・ユーン」です。渦巻きが上にある模様は「ウー・ホーイ」と呼ばれています。
ナーン川の氾濫で崩れた土手に露出していました。底部の造り等、タオ・61とは微妙な差異があります。

チャンセーン博物館(3)

2015年06月17日 | 博物館


7世紀から9世紀に栄えたチャン・センの環濠都市です。

グーグルマップで見ます。東西の道路は650m、濠の内側の道路の周長は2.4kmと小さな環濠都市です。

ラチャブリー国立博物館の紹介で使ったドヴァーラヴァティ時代の地図です。土壌調査でドヴァーラヴァティ時代の海岸線は茶色く塗られた部分まで広がっていたのが分かっています。当時の主要な都市遺跡は、海岸近くに建設され、交易で繁栄しました。
チャン・センは海から少し離れているようです。

環濠都市からの出土品になります。
まずは交易に用いられたシールです。

8世紀から9世紀のシールです。丸く押された印影の上段は雄牛、三叉槍、ガルーダまたは白鳥の図柄、下段にはサンスクリット語でヒンドゥーの神、ヴィシュヌ、シヴァ、ブラフマーの三神一体を示している解釈されています。従って、上の図柄は三神の乗り物と武器を表わしたと推測されています。

展示場所の光量が少なく、鮮明に写っていません。掲示されていたパネル写真を添えておきます。
同じシールがウ・トーン国立博物館にも展示されています。












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次は磚仏、人物や動物のテラコッタです。








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手前はライオンが押された土器片です。



いずれもドヴァーラヴァティの特徴を示す小さな素焼き像です。

中央はライオンです(?)。



この像もライオン(?)。

やはりライオン(?)。


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次は人物像です。












人形の頭部です。
展示品を解説してくれた博物館の女性は、病気治癒などの身代わり人形として、首を折られたと説明してくれました。シー・サチャナライの陶人形が「シア・カバーン」という精霊信仰の儀式で身代わり人形として用いられたのと同じです。7世紀から9世紀のモン族の儀式がシー・サチャナライを征服したタイ族に受け継がれたのか、シー・サチャナライのモン族が引き継いでいた儀式なのかは知る由もないですが、実に興味深いです。



頭部のスケッチです。



母娘像です。母親は上半身が破損しています。



猿を連れた男性像です。

胴体のスケッチです。
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この写真はウ・トーン国立博物館に展示されている「猿を連れた男性像」です。解説では7世紀から9世紀の像で「不幸を免れる儀式のために首が折られた」と書かれています。


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完品もあります。







この人形、赤子に授乳をする母親像は、13世紀に現れるサンカロークの
陶人形とそっくりです。

こちらは博物館誌に掲載されている写真です。
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石灰岩の法輪の破片です。

チャンセーン博物館(2)

2015年06月08日 | 博物館

展示室の中央には僧侶が祀られています。



チャンセーンのジオラマです。

まず初めに、チャン・センの南2kmにあるバン・マイ・チャイヤモンコンから出土品の展示です。
バン・マイ・チャイヤモンコンは3期の連続する古代遺構が発掘されました。
第1期は4500年から3600年前の土器、ロッブリーのバン・タ・ケーと同時代の遺品です。第2期は3600年から2700年前の青銅器時代の墓墳遺跡、そして第3期の鉄器へと続き、さらにチャン・センの環濠都市、ドヴァラヴァティー王国へ発展が分かる重要な遺構です。

バン・マイ・チャイヤモンコンの墳墓遺跡から発掘状態の人骨が展示されています。
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青銅器時代の出土品です。

ロッブリーのパーサックで出土の水牛形土器壺です。祭器として用いられたのでしょうか、類型の土器はロッブリー各地でたくさん出土しています。







貝や動物の骨から作られた装身具です。

石製の腕輪です。



青銅斧の鋳型です。


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鉄器時代の出土品です。製鉄遺跡はチャン・センの北西丘陵地帯にあり、鉄製品はチャン・センの繁栄をもたらした主要産業となります。






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環濠遺跡出土のインドから持ち込まれた2、3世紀の象牙装飾です。発掘品はバンコク国立博物館で展示されています。

写真では絵が描かれていることすら分かりません。博物館誌の該当ページを掲載します。

青銅製ランプはポントックで出土したビザンチンランプですが、チェン・センでは青銅製ランプをモデルとした土器製ランプの破片が出土しています。

チャンセーン博物館(1)

2015年06月06日 | 博物館

ナコーン・サワンの南端、ロッブリー、シンブリーの県境に「チァン・セン」があります。近隣には先史時代から続く遺構があって、土器、青銅器、鉄器が出土しています。チャン・センにはドヴァーラヴァティ時代の環濠都市跡があり、貴重な遺物がたくさん出土しています。
環濠遺跡の東に古刹「ワット・チャンセーン」があり、境内の「チャンセーン博物館」で出土品が展示されています。

バンコクから国道32号線(アジアン・ハイウェー・1)を北上、インブリーを過ぎ、国道11号線に入ります。

国道11号線を15km進むと、国道3196号線と交差します。右折して運河沿いに6kmでチャン・センに到着です。



バンコクから198kmで到着です。

ドヴァーラヴァティ時代の仏塔をメインとし、各時代の様式を折衷したデザインの博物館です。

1階が展示室となっていますが、まず仏塔の上へ登ってみます。



仏塔を支えるヤクシャです。











塔上から環濠の様子が分かるかと思ったのですが、生い茂る雑木ばかりでした。折角ですから近くのタマリンドを写しました。