ドヴァーラヴァティ時代の展示が続きます。
土器片です。矩形の枠内に象やライオン、ハムサ、または白鳥の印花文です。まだチャン・セン以外では見たことがありません。
象です。
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「Gods of Angkor」の図録にカンボジア国立博物館所蔵の銅鼓が載っていました。解説では紀元前3世紀から紀元前2世紀、北ベトナム、または中国となっています。直径96cm、高さ57cmでプノム・ペーンの東、ベトナム国境との中間にあるプロヘーア出土です。タイ国内も交易によってもたらされた銅鼓の出土品が各地の博物館に展示されています。祖先崇拝や、雨乞い儀式に使われたようですが、展示品は腐食が激しく側面の模様まで確認していませんでした。図録の写真を見て、初めて側面に矩形の枠で囲まれ繰り返し模様が彫り込まれていることを知りました。
そこで銅鼓をネット検索すると、上の絵柄を見つけました。裾部の象の図柄が気になったので一部を借用しました。どこか、チャン・セン、バン・バーンプン古窯の陶器に通じるものを感じます。
チャン・センの土器模様も銅鼓などの青銅製品から影響を受けたのかもせれません。
■チャン・センの西南およそ100kmのター・チン川沿いに古窯バン・バーンプンがあります。ター・チン川の川岸で拾った陶片です。
35バーツで買ったバン・バーンプン古窯の発掘報告書です。掲載の一部を添付します。
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■チャンセーン博物館の展示品に戻ります。
ライオンです。ウ・トーン国立博物館によく似たライオン像のシールがありました。
前脚を突っ張り、後脚を折り曲げた横顔のライオンは1世紀から3世紀のアマラヴァティ様式です。
ドヴァーラヴァティの仏塔を支えるライオンです。
騎馬人物像です。
聖鳥ハムサです。
これは博物館誌の写真です。鮮明なので載せました。
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印花文土器の横に並んでいました。ブリラムからもたらされた陶製の蓋でしょうか。
黒釉、青磁釉、形状を見るとブリラムのクメール陶のようです。
■参考までに友人からもらったクメール陶の蓋4点を載せます。
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ワニ形壺です。
バン・バーンプン、さらにはサンカロークのタオ61との繋がりを感じさせる壺です。
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■「God of Angkor」にもう1点気になる写真がありました。
カンボジアの西方バッタムバーンで出土した高さ57.7cmの大きな銅鐸です。先史時代の紀元前4世紀から紀元2世紀に作られたもので、タイ、マレーシアでは70個以上出土しています。同時期はドンソンの青銅器が有名ですが、本品の生産地は不明です。用途は象にぶら下げた鈴ではないかといわれています。
さて、気になったのは、器面全体に施された、水平方向の多重S字形渦巻き模様です。
■下はバン・バーンプンの川岸で拾った壺の破片です。印花文と銅鐸の模様がよく似ています。
北方窯の青磁壺です。サンカンペーン窯といわれていますが、詳細不明です。
「ウー・ノーン」と呼ばれる横渦巻の耳がついています。
■一点追加します。メナム・ソンクラーム古窯の壺です。逆S字の渦巻き文です。
シーサチャナライ、タオ・61窯のワラビ文「ウー・ユーン」です。S字形渦巻き文との関連は不明ですが、参考までに載せておきます。
高さ14.5cm、口径10.5cm、胴径12cm、底径5.3cmと小ぶりな壺で、内面にはキン・マークの石灰(プーン)が固着しています。
ピサヌローク、タオ・ハイ窯のワラビ文「ウー・ユーン」です。渦巻きが上にある模様は「ウー・ホーイ」と呼ばれています。
ナーン川の氾濫で崩れた土手に露出していました。底部の造り等、タオ・61とは微妙な差異があります。