ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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松木邦裕『こころに出会う-臨床精神分析 その学びと学び方』2016・創元社-精神分析に深く学ぶ

2024年12月10日 | 精神分析に学ぶ

 2016年のブログです

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 松木邦裕さんの『こころに出会う-臨床精神分析 その学びと学び方』(2016・創元社)を読みました。

 松木さんの研究会での講義や学会誌の論文などを集めた本ですが、充実した内容です。

 総論的な論文もありますが(少し難しいですが、とても勉強になります)、じーじが今回、特に勉強になったのが、「喪失ということ」と「不毛ということ」という文章。

 いろいろと考えさせられました。

 このところ、なぜか「対象喪失」のことを考えることが多いのですが(老人になったせいでしょうか)、やはり精神分析の中心テーマの一つだろうと改めて思います。

 老人だけでなく、若い人や子どもさんであっても、新しい出会いとともに対象喪失が常にあるんだろうなと思います。 

 そうして、うまく対象喪失をしていくこと、さらには、それを周囲からうまく支えてもらうことが、「育てられること-育つこと」なんだろうなと思います。

 まだまだ考えが深まっていませんが、そういったことを臨床をふまえながら、さらに考えていきたいなと思っています。

 また、「不毛ということ」については、松木さんがその反対のことを語っているこの文章を引用したいと思います。

 「こころは、こころで感知することしかできない。感知した痛みを通して“生きづらさ”を抱えたこころの本性を知るのである」

 こころの営みの大切さとすごさを語っていると思います。

 全編に松木さんの強い思いが感じられるいい本です。          (2016 記)

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 2023年3月の追記です

 最後の、こころで感知する、というところは、普通は、共感、という言葉が浮かびますが、ここではもっと深い営みである、投影同一化という言葉が思い浮かびます。

 治療者からの一方的な働きかけではなく、治療者と患者さんの双方による無意識の相互作用をいかに意識化して、コンテインしていくかということを述べておられるように感じます(合っているといいのですが…)。

 もっともっと勉強しなければなりません。        (2023.3 記)

 

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司馬遼太郎『北のまほろば-街道をゆく41』1997・朝日文芸文庫-「街道をゆく」を読む

2024年12月10日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

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 司馬遼太郎さんの『北のまほろば-街道をゆく41』(1997・朝日文芸文庫)を再読しました。

 久しぶりです。 

 読むのは3回目くらいでしょうか。

 本書は司馬さんの1994年の青森の旅の紀行文。

 当時、『週刊朝日』に連載中に、なんと、三内丸山遺跡が発掘されるという大ニュースがあり、司馬さんは再度、訪れたりしています。

 まさに運命的な出会いですね。

 それまでにも、亀ヶ岡遺跡(宇宙人のような土偶で有名)や十三湖遺跡(アジアとも交流をしていた貿易港)を見て、古代の青森の偉大さに思いをはせていた司馬さんが、4500年前の縄文時代に栄えた大集落とその巨大な建造物を見て、さらに自らの考えを補強されたことは間違いありません。

 弥生人による米作中心の歴史が始まる前の、自然豊かな時代に青森を中心とする東北地方の縄文人はとても豊かな生活を送っていたことが実証されたわけで、画期的なことだったと思われます。

 しかも、そういう事実を何となく知っていたかのような記述をすでに江戸時代にしている菅江真澄も登場してきて、司馬さんの歴史観の確かさはすごいです。

 ちなみに、菅江真澄という人は江戸時代に北海道にも渡って、アイヌの生活を記録に収めており、じーじも大好きな旅行家・民俗学者・薬草家で、江戸時代の司馬さんみたいな人です。

 司馬さんのお話は縄文や遺跡に留まらず、いつものようにその博識ぶりは驚くばかりで、津軽、南部、下北のお話をくわしく展開されて、全くあきません。

 個人的には、戊辰戦争で負けて、下北半島に島流しにされた会津藩のお話が辛いです。

 戦争は人を悪魔のようにしてしまうということがよくわかります。

 じーじはなぜか敗者の歴史に共感してしまうきらいがありますが、いずれにしても戦争はよくありません。

 勝っても負けても、人が人でなくなってしまいます。

 青森の地に立つと、そういうことが実感できるのかもしれません。

 来年の夏は、北海道だけでなく、青森にも寄ってみたくなりました。         (2018. 12 記)

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 2023年12月の追記です

 その後、この翌年の2019年のゴールデンウィークに三内丸山遺跡などを訪れました。

 当時の拙い文章が、「ひとり旅で考える」欄にありますので、よろしかったら読んでみてください。        (2023.12 記)

 

 

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