ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじの臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどを研究しています

広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

2024年12月11日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

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 広瀬徹也さん編集の『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』(2004・星和書店)を再読しました。

 この本は広瀬さんが帝京大学精神科の教授をされていた時に、下坂幸三さんから若手精神科医がグループスーパーヴィジョンを受けた時の記録で、下坂さんの前には土居健郎さんが同じようにスーパーヴィジョンをされていたようで、夢のように贅沢な研究会の記録です。 

 実際、今回、再読をしてみて、改めて勉強になるところが多々あり、いい本だな、と今さらながら感心をしました。

 2004年の本で、じーじが購入したのはいつだったかはっきりしませんが、それにしてもずいぶんのご無沙汰で、もったいないことをしてしまいました。

 しかも、前回は、アンダーラインがあまり引かれておらず、当時のじーじは何をしていたのでしょうか、やや不明です。

 今回は、アンダーラインも付箋もすぐにいっぱいになりました、エッヘン!(もっとも、どれだけ内容を正確に理解できたかどうかはなぞですが…)。

 今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、患者さんにマイナス感情を抱いた時には、少し冷静に学問的に両者の関係を捉えるようにすると、マイナス感情が薄まることがあるということ。頷けます。

 二つめは、最近、よく出てきますが、治療者が早わかりをしないで、患者さんの言葉を、一つ一つ細かく聞いていくことの大切さ。耳が痛いです。

 特に、世間的にも常識になっているような言葉、たとえば、共感とか、過保護とか、過干渉とか、そういうなんとなくわかる言葉を勝手に早合点することなく、患者さんにとってのその言葉の意味するところを再確認していくことが大切になるようです。

 三つめは、問題行動の中にポジティヴな要素を見出すこと。

 しばしば患者さんの回復の兆しが問題行動の中に潜んでいることをスーパーヴィジョンの中で下坂さんは指摘されます。

 すごいな、と思いますし、本当に患者さんのことを考えているんだな、ということがわかります。

 ひとつだけびっくりしたのは、下坂さんでも仕事が大変で抗うつ剤を飲んだ時期があったということ。

 そういうことを正直に話される下坂さんは信用できます。

 まだまだ他にも有益な箇所がたくさん出てきます。

 こんどは早めにまた、再読をしたいと思います。        (2019.4 記)

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 2022年9月の追記です

 患者さんにマイナス感情を抱いた時の対応が参考になります。

 じーじは未熟者ですので、そういうことはよくありますが(?)、下坂さんが、学問的に、とおっしゃっていますが、少し距離を取って、第三者的な目で見ると、やや冷静になれることもあるようです。

 むずかしい実践ですが、頑張りたいと思います。         (2022.9 記)

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 2024年12月の追記です

 同じ言葉でも人によってその意味する内容が全然違うということはとても大事なことですが、ひょっとすると同じ光景を見ていても、人によってそのその意味する内容が全然違うのではないのかな、と最近、思ったりします。

 夫の妻への言葉が、夫は何気ないつもりが、妻には暴言に聞こえる、妻には暴力に体験される、ということはありそうです。

 同じように、親の子どもへの言葉が、親はしつけのつもりが、子どもには虐待に聞こえる、虐待をされているように思う、ということもありそうです。

 言葉だけでなく、ある人の行動が、他の人には違った意味合いを帯びて体験されるということが、人間関係の争いやこころの傷つきなどには多くあるのかもしれません。

 そして、そういうことが、離婚の裁判での主張の違いや、虐待の裁判での主張の食い違いなどに現われているのかもしれないなあ、などと考えたりしています。       (2024.12 記)

 

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沢木耕太郎『イルカと墜落』2009・文春文庫-沢木さんのアマゾン河奥地紀行を読む

2024年12月11日 | 沢木耕太郎さんを読む

 2018年のブログです

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 先日、テレビを見ていたら、なんと沢木さんが出てきました。

 アマゾン河の奥地に住む未接触人種の調査に行くというドキュメンタリーの再放送でしたが、テレビで見る沢木さんもなかなかかっこよかったです。

 そんな折、たまたま本棚を眺めていたところ、本書を見つけてしまいました(こういうことがあるので、じーじはユングさんが好きです)。

 墜落?、と思って、背表紙を読んでみると、沢木さんの乗った飛行機がアマゾン河奥地で墜落をしたらしいのです(再読なのに、その記憶が全然戻ってこないのが、我ながら、すごい!(?)と思ってしまいましたが…)。

 というような次第で、沢木さんのアマゾン河大冒険を読みました。

 イルカ、はアマゾン河で出合います。

 それも、ピンクのイルカで、沢木さんには相当印象深かったようです。

 船旅での現地の人々との交流に描かれる沢木さんは、『深夜特急』の時と同じで、自然体でユーモラスで、読んでいて心地よいです。

 そして、いよいよ飛行機に搭乗。

 おんぼろセスナ機に乗って、窓の外を眺めていると、なんと燃料が漏れ出し、だんだんと高度が下がり、機長が、荷物を捨てろ、と叫びます。

 沢木さんは偉そうにしていた機長のカバンを真っ先に外に投げて、沢木さんらしい(?)ところを見せます。

 と、なぜか、ここでじーじの記憶が戻ってきて、確かに、この部分だけは、読んだ記憶が…。

 記憶って不思議だな、と思いました。

 飛行機は結局、農地に墜落をするのですが、乗っていた人はみなさん、多少の怪我だけで済むという奇跡。

 機長が沢木さんに、俺のカバンを知らないか、と聞きますが、沢木さんは知らないふり。

 沢木さんらしさが爆発です(ここもなぜか記憶に残っていて、じーじはこういうお話が大好きなのかもしれません)。

 墜落の様子を沢木さんは克明にリポートして、さすがは名ルポライターと感心させられます。

 解説によれば、翌年、さらに調査を続行し、その時の未接触人種との遭遇がテレビ番組のメインになったようで、それをじーじは見たようです。

 未接触人種の二人が、最初は警戒しながらも、最後に沢木さんを招くシーンは印象的でした。

 いいテレビ番組といい本に出合えたことに感謝したいと思います。        (2018. 12 記)

 

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