ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

河合隼雄・中沢新一『仏教が好き!』2003・朝日新聞社-仏教・科学・哲学を考える

2024年12月09日 | 河合隼雄さんを読む

 2015年のブログです

     *

 河合さんと中沢さんの仏教と臨床心理学に関する対談の本ですが,10年ぶりに再読しました。

 河合さんはユング心理学を基本に臨床心理学全般を深めたかたですが,晩年は仏教,特に,華厳経にも関心をもたれていたようです。

 本書はそんな時期の河合さんが宗教学者の中沢さんに仏教全般に関する講義をお願いし,それを臨床心理学の観点から深めたものと言えます。

 内容は多岐にわたりますが,西洋哲学と仏教,キリスト教と仏教,深層心理学と仏教,医学と仏教,科学と仏教などなど,どれもお二人の真摯な対話が続きます。

 10年前には読み落としていた点がいっぱいあり,とても刺激になりました。

 じーじもさらに謙虚になって,もっともっと勉強を深めなければならないと思いました。       (2015.6 記)

     *

 2021年6月の追記です

 久しぶりに再読をしました。

 読み返してみると、お二人の間ですごく深い内容が話されています。

 駄洒落好きだった河合さんが中沢さん相手にとても楽しそうに対談をされていますが、内容は深いです。

 今回もいろいろと学ぶところが多かったのですが、印象に残ったのが井筒俊彦さんの存在。

 一神教と仏教を貫く宗教のあり方とでもいうのでしょうか、宗教の本質について述べられているように思われました。

 井筒さんの本はじーじも好きで何冊かは読んでいますが、さらに読み返したほうがいいように感じました。

 新しい刺激をさらにもらえる、とてもいい本です。       (2021.6 記)

     *

 2023年3月の追記です

 数学教師からスタートし、軍国主義や精神主義への反発から、徹底的に科学性、合理性を追求された河合さんが、仏教に興味を持たれたことはとても面白いなあと思います。

 真の意味での宗教性に触れる何かを感じられたのかもしれません。       (2023.3 記)

 

コメント (2)

沢木耕太郎『246』2014・新潮文庫-2歳の娘さんへのお話とおとなへのお話たち

2024年12月09日 | 沢木耕太郎さんを読む

 2018年のブログです

     *    

 沢木耕太郎さんの『246』(2014・新潮文庫)を再読しました。

 以前読んだ時に、いい本だな、と思った記憶があったのですが、今回、読んでみると、すごく面白くて、そして、いい本でした。

 すごく面白い理由の一つは、沢木さんが当時2歳の娘さんが寝る前にしてあげるお話のせい。

 読んでいて、とてもほのぼのします。

 ここでは沢木さんは童話作家(?)。

 ノンフィクション作家としてより才能があるかもしれません(冗談です。沢木さん、ごめんなさい)。

 本書は、1986年1月から9月までの沢木さんの日記風エッセイ。

 1986年というのは、沢木さんの『深夜特急』が出た年で、そのことがまず書かれています。

 ちなみに、246、とは国道246号線のことで、当時、沢木さんの仕事場があった場所だそうです。

 沢木さんが、自宅から仕事場に行こうとすると、娘さんが、いかないで、と言って、沢木さんが仕事を休んでしまうシーンもあり、微笑ましいです。

 とっても面白いお話、興味深いお話、真面目に考えさせられるお話と、結構厚めの文庫本は中身が充実していますが、じーじが個人的に面白かったのは、みつばち農家を取材したお話。

 福音館書店の『たくさんのふしぎ』という本に『ハチヤさんの旅』(のちに1987年5月号として掲載)というお話を書く仕事の取材で、みつばち農家に同行するのですが、ある時、小さな女の子がいる農家さんのご希望で沢木さんの2歳の娘さんも一緒に行くというできごとがあり、案の定、とんでもないドタバタ劇になってしまいます。

 しかし、それもある程度想定をしての父子での取材旅(?)は、とっても楽しいお話でした。

 そして、そこで取材がかち合ったテレビ局クルーの過剰演出をさらりと批判する沢木さんもなかなか素敵です。

 いろんなことを考えさせられ、また、楽しくなれる、いい本です。        (2018. 12記)

 

コメント