ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

わからないことに耐えることやあいまいさに耐えることの大切さについて考えてみる-精神分析に学んだこと、一つ、二つ

2024年12月25日 | 心理臨床を考える

 2024年11月のブログです

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 わからないことに耐えることやあいまいさに耐えることの大切さについて考えてみる。

 精神科医の中井久夫さんは、シェイクスピアさんの『ハムレット』を引用して、世の中には人間の力ではわからないことがいっぱいあること、そして、わからないことに耐えることの大切さについて述べている。

 人はわからないことがあると不安になるが、そこで安易に結論を急がずに、わからないことに耐えて考え続けることの大切さに言及し、それが希望を失わないためにも大切なことだと述べる。

 一方、精神分析のビオンさんは、詩人キーツさんがやはりシェイクスピアの作品の中にあいまいさに耐えることの大切さについて述べていることに触れ、早急に結論を出すことに消極的な能力、負の能力(ネガティブ・ケイパビリティー)の重要性について述べている。

 わからないことやあいまいなことに耐えて考え続けることは、成熟をした人格には不可欠な要素の一つであるようだ。

 人格が未熟な人は、早急な結論を求めて、考え続けるということが苦手だ。

 白か黒か、右か左か、イエスかノーか、などと二者択一の答えを求めがちだ。

 しかし、おそらくは、正解はその間のグラデーションの中のどこかにあるのだろうと思う。

 社会的には、自分の考えを主張し続けて、対立をあおるのではなくて、話し合いの中で、妥協点や一致点を見出していく作業が成熟した社会である。

 十分な話し合いをせずに自己の正義のみを主張するような人は、社会を分断し、差別し、違う意見の人を排除することになるだろう。

 多数決の原理は、一見、民主的に見えるが、話し合いが十分でない社会では、数による支配、力による支配になり、それは、独裁や全体主義、ファシズムの一歩手前の危険性をはらむ。

 ヒトラーだって、当時、最も民主的と言われたワイマール憲法のもとで合法的に政権を獲得し、その後は数と暴力でナチズムを推し進めたことを忘れてはならないだろう。

 わからないことに耐えることやあいまいさに耐えて考え続けるという成熟した人々が行なう政治が、こういった危険性を防ぐことになるのではないかと思われる。       (2024.11 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 1954年、北海道生まれ  

 1977年、家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

 2014年、放送大学大学院(臨床心理学プログラム)修了  

 2017年、臨床心理士

 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の相談・援助などを研究

 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006、『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011、『遊戯療法学研究』)ほか 

 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 連絡先 メール  yuwa0421family@gmail.com    

 

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サンタさんの贈りものを孫娘たちといっしょに不思議がること-遊ぶことのちから

2024年12月25日 | 遊ぶことのちからを考える

 クリスマスのサンタさんをめぐる孫娘たちとのやりとりが数年前にあって、それがけっこう面白かったので、以下に再録します(2014年ころ、上の孫娘が4歳、下の孫娘が1歳ころのことです)。

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 久しぶりに孫娘たちが遊びに来ました。

 上の孫娘が、サンタさんがプレゼントをくれたの、といって、赤い水玉の洋服を着たシルバニアを見せてくれました。

 下の孫娘も、ウーウー(そうだよ!)、といいます。

 じーじが、サンタさんは煙突から入ってきたのかな?と聞くと、上の孫娘は、うちにはえんとつはないの、といいます。

 じーじが、それじゃあ、窓かな?と聞くと、上の孫娘は、まどにはかぎがかかっているし‥、といいます。

 じーじが、不思議だね、といいますと、上の孫娘も、ふしぎだね、といいます。

 下の孫娘も、ウーウー(そうだねぇ)、といいます。

 サンタさんを何歳まで信じられるかが、幸せのバロメーターだという説があります。

 夢はできるだけ持ち続けたいものだと思います。

 また、おとなにわかることはきちんと伝えたほうがいいと思いますが、わからないことはどうすればいいでしょうか。

 人生、おとなにだってわからないことだらけです。

 じーじは、わからないことは、わからないねぇ、不思議だねぇ、でいいと思うのです。

 そして、子どものわからないことに丁寧に付き合うこと、それが大切ではないかと思います。

 わからないんだけれど、突き放さずに、丁寧に寄り添うこと、それが大切だと思います。

 子育てでも、カウンセリングでも、そこが大きなポイントかもしれまをせん。

 わからないことだらけでも、じっくりと付き合っていける生き方をしていきたいと思います。              (2014. 12?記)

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 2020年12月の追記です

 この時は知らなかったのですが、人生のわからないことやあいまいさに耐えること、これを詩人キーツさんはシェイクスピアさんをひいて、ネガティブ・ケイパビリティ(消極的能力・負の能力)と呼びました。

 精神分析でも、ビオンさんがこのことにふれて、その大切さについて述べています。

 これについては、「居心地」さんのブログが、2020年6月に、精神科医で小説家の帚木蓬生さんの『ネガティブ・ケイパビリティ』(2017・朝日新聞出版)という本をていねいにご紹介されていて、とても参考になります。         (2020. 12 記)

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 2024年12月の追記です

 キーツさんのネガティブ・ケイパビリティの考え方を、精神分析の土居健郎さんが『新訂・方法としての面接-臨床家のために』 (1992・医学書院)で紹介されています。

 日本では初めてだったのではないでしょうか。

 じーじはこの本で土井さんがキーツさんのことを紹介していることをおそらくは理解できずに、全然覚えていなくて、2019年頃にネガティブ・ケイパビリティが話題になった時に初めて気づきました(おそまつですねぇ)。

 土居健郎さんはやっぱりすごい臨床家です。        (2024.12 記)

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 1954年、北海道生まれ  

 1977年、家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

 2014年、放送大学大学院(臨床心理学プログラム)修了  

 2017年、臨床心理士

 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の相談・援助などを研究

 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006、『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011、『遊戯療法学研究』)ほか 

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