たぶん2017年のブログです
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狩野力八郎さんの『重症人格障害の臨床研究-パーソナリティの病理と治療技法』(2002・金剛出版)を再読しました。
この本もかなり久しぶりの再読です。
昔、読んだ時に少し難しかったという印象が残っており、なんとなく再読が遅くなってしまいました。
さて、昔よりは多少の経験を積んで読んでみた本書、でもやっぱり難しかったです。
それでも、ところどころに出てくるアンダーラインに感心しながら、以前はこんなところに感動しながら読んでいたんだ、と少し懐かしい気分で読みました。
パーソナリティ障害の人はデイケアでも出会いますし、家庭裁判所の現役時代にも数多くお会いして、結構、皆さん、お互いに苦労をされていると思います。
そういうかたがたを援助する技法はとても大切なわけですが、しかし、こころの病ですからそう簡単に治るというものではなく、時間と粘り強さが必要となります。
本書には、そういう工夫と症例が数多く載せられており、とても参考になります。
今回は、以前より多くのアンダーラインと付箋で印をつけましたが、印象に残った第一の点は、面接で治療者が患者さんより話の先を行かないように気をつけることの重要さです。
これは心理療法全般に大切な点だろうと思いますが、本書で改めて大切さを実感しました。
第二は、激しい夫婦喧嘩を繰り広げる夫婦の家族療法の症例。
夫婦同席面接で、ていねいな質問による明確化と言語化は、とても参考になります。
すばらしいなあ、と感嘆するばかりでした。
それでも、狩野さんは、冷静に振り返って反省をしたりしており、すごいな、と本当に感心させられます。
おごらず、常に謙虚な姿勢が成長のポイント、と教えられました。
久しぶりに読んだ本書は、やはり難しいところもありましたが、確実に勉強になる本でした。
いずれまた、さらに経験を積んで、読みたいと思いました。 (2017?記)
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2020年2月の追記です
じーじは昔からクライエントさんの話を早わかりしてしまうくせがあって、先輩に指摘されますが、最近は年のせいか、さらにせっかちになっているようで反省です。
また、同じ日本語であっても、クライエントさんのいう意味とじーじのいう意味が、同じでないことが多々ありますので、クライエントさんの意味するところをふくらませてもらって、より明確にすることが大切だなと感じています。 (2020.2 記)
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2020年12月の追記です
下坂幸三さんが、面接で大切なことの一つとして、患者さんの話したことを「なぞる」ことの重要性を挙げておられます。
こういうことをきちんと実践できれば、患者さんの話の先を行ってしまったり、早わかりしてしまうことも減りそうです。 (2020. 12 記)