2014年のブログです
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精神科医で精神療法家の成田善弘さんの本に関するエッセイ集です。
フロイトさん,土居健郎さん,藤山直樹さん,神田橋條治さん,山中康裕さん,夏目漱石さん,藤沢周平さん等々,臨床から小説まで多彩な人々の本とそれにまつわるお話が読んでいてとても楽しく読めました。
成田さんの読みの深さや正直さに感心させられました。
中でもじーじのおすすめは村上春樹さんの『小澤征爾さんと,音楽について話をする』(2011・新潮社)についてのエッセイです。
この本はとても面白く,じーじもご紹介しようかなと思っていたくらいの本で,しかし,さすがに成田さんの読みは深く,ぜひご一読をおすすめします。
よきインタヴュアーは相手の深い思いを引き出すということ,それが心理療法と共通していることなどが述べられていると思います。
本の読み方をさらに考えさせられた一冊でした。 (2014.6 記)
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2021年4月の追記です
久しぶりに再読をしました。たぶん7年ぶりです(成田さん、ごめんなさい)。いい本なのにもったいないことをしました。
今回もいろいろと考えることがありました。
一つめは、やはり村上春樹さんの小澤征爾さんへのインタヴュー。
小澤さんが村上さんに、あなたに話していて、気がついたんだけど、と話す箇所を挙げて、よきインタヴュアーの条件について述べているところは臨床家にも勉強になります。
二つめは、藤沢周平さんについて述べたところ。
『三屋清左衛門残日録』についての文章などはやはりとてもすばらしいのですが、今回、気づいたのは、『用心棒日月抄』の四部作。
偶然にも、今春、じーじも『用心棒日月抄』を読んでとまらなくなり、本棚のあちこちから探して四部作全部を読んでいたので、その魅力がよくわかりました。
じぶんの好きなもの、こころ魅かれるものを、成田さんにわかりやすく教えてもらえることは、贅沢な経験です。
さらに、読み込んでいきたいと思いました。 (2021.4 記)
「用心棒日月抄」は藤沢さんが楽しみながら書いた小説、と聞いたことがあります。
いろんな魅力がある小説で、読んでいても楽しいですね。