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井上靖『北の海』1975・新潮文庫-旧制高校に不合格になった少年の旧制四高柔道部体験記と青春の物語

2024年09月30日 | 小説を読む

 2023年8月のブログです

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 旭川生まれの井上靖さんの『北の海』(1975・新潮文庫)を旭川の古本屋さんで見つける。

 かなり厚い本だが、110円。

 1975年(昭和55年)の文庫本、じーじが大学3年生の時の本だ。

 この青春もの(?)、なぜかじーじはきちんと読まずにきてしまった。

 暇な夏休みでもないと(いつも暇だが…)、厚い本はなかなか読まないかもしれないと思い、清水の舞台から飛び降りる覚悟で読む。

 これが面白い。

 時は大正15年。

 青春小説だが、相当に男の世界。

 なにしろ、世の中にあるのは柔道のみ(!)、勉強も女子も関係のないという世界。

 これは相当に(?)、気持ちのいい世界だ。

 今の芸能界など、吹っ飛んでしまう。

 こういう世界があったんだなあ、と思う。

 しかし、この時代にも戦争の予兆はある。

 なにせ、主人公の父親は軍医で、台湾に赴任中だ。

 父親への反感と時代への反感、男子の青春もなかなか大変だ。

 そういう主人公が友達や先輩に囲まれ、少しずつ成長していく。

 おそろしく真面目だが、不器用なユーモアがきいていて、読んでいて楽しい。

 文章も良質で、いい小説だと思う。

 あらすじはあえて書かないが、気持ちのいい小説だ。

 夏休みにいい本に出会えたと思う。       (2023.8 記)

   


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