ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

下坂幸三『フロイト再読』2007・金剛出版-丁寧でこまやかな精神分析的面接に学ぶ

2024年10月23日 | 心理療法に学ぶ

 2019年のブログです

     *

 精神科医で心理療法家、家族療法家の下坂幸三さんの『フロイト再読』(2007・金剛出版)を再読しました。

 もう何回目になるでしょうか。

 本の中は何種類かの付箋とアンダーラインで大変なことになっています。

 下坂さんの晩年の論文が載っていますが、学ぶことばかりです。

 今回、印象に残ったことを二つ、三つ。

 一つめは、理論は繰り返し脇のほうに押しやることが大切で、それでも押し戻してくるものが重要、との指摘。 

 初心者のうちは、じーじもそうですが、つい理論に左右されがちですが、理論を忘れたくらいのところで勝負をすることがいいようです。

 たしか、精神分析のビオンさんも同じようなことを言っていたように思うのですが…。

 二つめは、言葉に安易に納得しないことの大切さ。

 同じ言葉でも、人によっては込められた意味がまったく違うので、徹底的にその意味するところをきいていくことが重要になります。

 それが即心理療法になるといえそうです。

 本書ではその具体例がたくさん示されていて、勉強になります。

 三つめは、心的現実の扱い方について。

 心的現実を尊重することは重要だが、全面的に肯定をすることの危険性も指摘されます。

 よくきくが、大きく頷くことはしない、という冷静な対応が、クライエントの歪んだ考えを少しずつでも訂正していく、との指摘は卓見です。

 統合失調症の患者さんの妄想のきき方にも通じそうです。

 最後、症例論文のクライエントさんの許可の問題。

 世の中、許可を得ることが流行となっていますが、その弊害を指摘します。

 まったく同感です。

 精神分析の藤山直樹さんも同じようなお考えだったと思います。

 プライバシーの保護というのなら、許可を求める行為自体がプライバシーの保護を侵害することになりえる可能性も考慮しなければならないだろうと思います。

 難しい問題ですが、クライエントさんの本当の意味での保護と尊重ということをもっともっと深く考え、議論していかなければならないと思います。

 いずれにしても、まだまだ力不足であることを痛感します。

 さらに勉強を深めたいと思います。         (2019. 2 記)

     *

 2024年10月の追記です

 理論をいったん脇に置く、とか、忘れる、とかいうことの大切さは、その後の読書経験でも、精神分析や心理療法の大家のみなさんがよくおっしゃっていることのように思われます。

 じーじなどは、これが逆転移か?とか、これが投影同一化か?とか、どう対応したらいいんだろうか?などと、余計なことを考えがちですが、あまり頭でっかちにならずに、目の前のクライエントさんの不安や怒りなどに、自分も身を浸してみて、感じたり、考えたりするような作業のほうが大切なんだな、といつも反省させられます。         (2024.10 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

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樋口有介『風の日にララバイ』(新装版)2013・ハルキ文庫-柚木草平シリーズの「原点」の作品らしいです

2024年10月23日 | 小説を読む

 2024年10月のブログです

     *

 樋口有介さんの『風の日にララバイ』(新装版・2013・ハルキ文庫)を久しぶりに読む。

 単行本は、文庫本の解説によると、樋口さんの3冊目に書かれた小説で、樋口さんの有名な柚木草平シリーズより早いが、出版社の都合で柚木草平シリーズより遅れて1990年に刊行され、柚木草平シリーズの「原点」というべき作品らしい。

 確かに、主人公は柚木草平を彷彿させる中年男子であるし、『風の日にララバイ』という題名も、口に出すと少し恥ずかしい気がするほど若々しいが(樋口さん、ごめんなさい)、内容はなかなか素敵だ。

 本の帯には、39歳、子連れ、バツイチ、無職、-ときどき探偵、とあるが、いい味を出している小説だ。

 あらすじは例によって書かないし、探偵小説なので書くのはルール違反と思うので遠慮するが、別れた奥さんが殺され、娘の名誉を守るために真相を探るくたびれた中年男子の物語、というところだ。

 相方に、柚木草平シリーズに出てくる小高直海という小生意気な女の子(直海ちゃん、ごめん)を思い出させる女子大生が登場するなど、樋口さんらしい物語でもある。

 あらすじはなんとなく記憶にあったような気がしたが、読んでみると、だいぶ違っていたし、小説の細かい描写がやはり樋口さんらしくとても素敵で、楽しく読ませてもらった。

 やはりうまい小説家だなあと思う。

 おとなの生きる辛さと哀しさと小さな喜びといったものと若者の元気さや無邪気さなどがうまく書けていると感心する。

 そういえば、小説家は時代を感じるカナリヤみたいな存在だ、と言われるが、ここでも同性愛が出てくる。

 柚木草平シリーズでは面会交流がテーマの一つになっているし、樋口さんは本当にカナリヤちゃんだったのかもしれない(?)。

 何回読んでも読みごたえのあるおとなの作家だなあと改めて思う。

 秋の日にいい時間を過ごさせてもらった。      (2024.10 記)

 

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松田道雄『定本・育児の百科』(上・中・下)2007・岩波文庫-子どももおとなもみんなが元気になる育児の本です

2024年10月22日 | 「おとな」の親を考える

 たぶん2017年のブログです

     * 

 先日、新聞の読書欄を読んでいたら、ある美人ちゃんの女優さんが小児科医の松田道雄さんの書いた『定本・育児の百科』(上・中・下)(2007・岩波文庫)を紹介されていました。

 ご自身の息子さんの子育てで、ずいぶん助けてもらったという体験談でした。

 それを読んで、じーじもとても懐かしい気持ちになりました。

 じーじも30数年前、長女と長男の子育ての時に、松田道雄さんの『育児の百科』(当時は一冊の大きな育児書でした)を読んで、とても安心をしながら子育てができたという経験をしました。

 松田さんの本は、細かい育児技術を述べるのではなく、親があまり不安を感じないように、安心して子育てができるような工夫や配慮が丁寧に述べられていて、とても助かった思い出があります。

 新聞の中で美人の女優さんも同じような感想を述べられていて、松田さんの小児科医としての子どもと親の両者への愛情の強さと深さを感じさせられました。

 じーじは数年前、長女が初めての子どもを産んだとき(つまり、じーじの孫娘ですね)、その頃には文庫本(なんと、あの岩波文庫ですよ!)になっていた松田さんの『定本・育児の百科』の上・中・下3冊セットを長女にプレゼントしました。

 長女だけでなく、長女のだんなさんも読んでくれて、いい本ですね、といってくれて、うれしかったことを覚えています。

 孫娘たちはすくすくとにぎやかに育っています。

 長女夫婦はあちらのおじいちゃん、おばあちゃんの応援のもと、毎日の子育てに頑張っているようですが、松田さんの本も多少は役立っているのかもしれません。

 そうであったらうれしいことです。

 松田さんの本は、『育児の百科』だけではなく、岩波新書などのほかの本も含めて、親が元気になれるいい本がそろっています。

 赤ちゃんのお世話に悩む若い親ごさんたちにお勧めします。             (2017?記)

     *

 2018年1月の追記です

 今日(2018年1月9日)の「ケサランパサラン読書記-私の本棚-」さんのブログに本書の文庫になる前の松田道雄『新版・育児の百科』(岩波書店)にまつわる思い出話が載っています。

 とてもすばらしいお話で感動します。           (2018.1 記)

        *

 2022年5月の追記です

 子育てをしていた頃、じーじは、当時流行っていたスポック博士の育児書(!)も一緒に読んでいたのですが、やはり日本人の育児のせいでしょうか、松田さんのこの本のほうがぴったりきた感じがした思い出があります(スポック博士さん、ごめんなさい)。        (2022.5 記)

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マラソン大会があったのですね?-じいじからのおてがみ・セレクト

2024年10月22日 | じいじの手紙を書く

2022年10月、小6と小3の孫娘たちへのおてがみです

    *

さーちゃん・あーちゃん、げんきですか?

じいじはげんきです。

ばあばはすごくげんきです。

マラソン大会があったのですね。

小学校のホームページを見ましたよ。

3年生は1500メートル、6年生は1800メートルも走るのですね。すごい!すごい!

タイムは去年とくらべてどうでしたか?

あーちゃんもさーちゃんもあしがどんどん長くなっているので(!)、きょねんよりはやくなったかな?

また、マラソン大会の作文をかいて(?)、がんばったようすをおしえてください。

たのしみにしています。

じいじより

(2022.10 記)

 

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山中康裕『心理臨床学のコア』2006・京都大学出版会-山中さんの「熱い」思いの本です

2024年10月21日 | 心理療法に学ぶ

 2013年のブログです

     *

 精神科医で心理療法家の山中康裕さんの『心理臨床学のコア』(2006・京都大学出版会)を読みました。

 なぜか読み落としていました。

 とてもいい本です。そして、熱い本です。

 山中さんですから、当然といえば当然ですが…。

 いろいろと勉強になったのですが、今回、一番、刺激を受けたのは、「記憶」に関しての部分でした。

 「記憶というものは、感情に色づけられた幾多の別の経験とともに集積していくときに、変容していくことがあるものであることが分かる」との一節を読んだ時には、今までの疑問がパッと氷解するような体験をしました。

 精神分析でも、記憶の書き換えということで、同じような議論がなされていると思うのですが、人間の記憶の不思議さや複雑さに驚かされます。

 同じ現象を同時に見ているはずなのに、「記憶」は全く違う、そんな経験を日常的にしている者にとっては、本当に大きな示唆でした。

 今後、さらに考察を深めたいと思いました。       (2013.5 記)

     *

 2020年5月の追記です

 久しぶりに再読をしました。7年ぶりになるのでしょうか(山中さん、ごめんなさい)。

 いい本なのに、もったいないことをしました。

 読んでいると、BS放送大学の「イメージと心理療法」の中で山中さんが話されていることが同じように強調されたりしていて、なかなか印象深く再読をしました。

 今回、印象に残ったことの一つは、山中さんの「内閉」論とおなじみの「窓」論。 

 いずれも、「ひきこもり」の意味を深く理解する見方です。

 遊戯療法家の田中千穂子さんと同じく、「ひきこもり」に積極的な意味を読みとる大切な視点ではないかと思われました。

 もう一つは、遊戯療法についての再考。

 プレイセラピーの意味の再確認や表現療法としての遊戯療法、さらに、箱庭療法と遊戯療法との関係などなど、魅力的な考え方が示されていて、刺激になります。

 さらに深く勉強をしていこうと思います。         (2020.5 記)

     *

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マイナンバーカードと健康保険証の連動あるいは一体化についての危惧-じーじのひとりごと

2024年10月21日 | ひとりごとを書く

 2022年10月のブログです

     *

 マイナンバーカードへの勧誘がすさまじい。

 特典の2万ポイントも税金から支払われるんだけどなあ、とじーじなどは思ってしまうが…。

 しかし、それ以上に気になることがある。

 それはマイナンバーカードと健康保険証の連動あるいは一体化の問題。

 内科や外科への受診歴ならそんなに気にならないかもしれないが、例えば、泌尿器科や性病科(そんな科があるのかな?)、肛門科などへの受診歴を国家が把握するのはちょっといやな気がする。

 産婦人科への受診歴はどうだろう?美容整形外科の受診歴が把握されるのはいやだろうなあ?

 もっと深刻なのは、精神科や神経内科への受診歴。

 これらの個人情報を国家が管理するのは危険だと思う。

 昔、政府によって知的障害者への強制不妊手術がなされ、最近になって民事裁判で国が敗訴、謝罪をしたばかり。

 マイナンバー制度がなくても、国の方針でこのような恐ろしい出来事が起こりえるわけだから、マイナンバーカードと健康保険証が連動するとかなり怖いし、危惧されるものがある。

 便利なことは危険を伴うということは現代社会の常識だが、マイナンバーカードについてももっともっと冷静な議論がなされる必要があるのではないだろうか。       (2022.10 記)

     *

 2023年5月の追記です

 マイナ保険証の大規模な登録ミスがとうとう判明した。

 自分の情報が他人のマイナ保険証に誤って登録されているという。

 7000件以上という発表だが、実際にはもっと多いのではないか。

 便利さと引き換えの危険性をもっと議論し、場合によっては、従来の安全な制度に戻すべきではないかと思う。        (2023.5 記)

     *

 2023年夏の追記です

 マイナンバーカードの問題があらわになっているが、将来、さらに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が予定されている。国が個人の違反歴や事故歴を把握してどうしたいのだろう。

 国はどこまで個人情報の一元化を狙っているのだろうと思う(新潟県ではマイナンバーカードと図書館カードの連動まで行われている)。

 さらに、預金口座の紐付け(それにしてもセンスのない命名だ)の問題。公金受領のためというが、いずれ税金徴収にも使われるのだろうと思う。

 じーじのような年金受給者はすでに、住民税や介護保険料は年金から天引きされているが、近い将来、国民全体がそうなるのだろう。国にとってはとても都合のいいシステムだ。

 このままでは、大変なことになるのではないだろうか。        (2023.7 記)

     *

 2024年冬の追記です

 マイナ保険証の不人気で、今度はマイナ保険証の利用率の高い医療機関に支援金を支給するという。

 支給金は税金ですよ、政府と自民党さん。

 北陸応援割もそうだが、政府と自民党のやることはお金で国民の歓心を買おうとしているだけ。

 本当に困っている人たちに寄り添っていると言えるのかな。

 キックバックやあやしいお金などで政治を動かしている人たちは、お金で国民も動かせると思っているのかもしれない。        (2024.1 記)

     *

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プレイセラピー・子ども・主体-2017年精神分析学会・その3

2024年10月20日 | 精神分析に学ぶ

 2017年のブログです

     *

 新潟に帰ってきました(昨日の帰りの東海道新幹線は連休最終日のせいでひどい混雑で、田舎者のじーじは、ニュースで見るだけだった都会のすごさを、この年になって初めて実感させられてしまいました)。

 昨日の分析学会は3日目、最終日。

 会長講演やシンポジウムなどがありました。

 会長講演は生地新さん。

 うかつなことに、じーじは昨日まで生地さんが児童精神科医であることに気づいていなくて、講演をお聞きして初めて気づきました。

 しかし、講演の内容は、プレイセラピーについて、とてもていねいにこまやかに検討をされていて、勉強になりました。

 本当に子どもの主体性を尊重されていて、治療者が、子どもを単に楽しませること、を戒めていることが印象的でした。

 午後のシンポジウムは、ここ数年、分析学会で話題になっている精神分析と分析的精神療法の異同についての議論。

 北山修さん、松木邦裕さん、福本修さんという豪華なシンポジストに、藤山直樹さんらが指定討論を行ない、議論を深めました。

 藤山さんが、ご自分のわからない点を、わからない、と率直に発言をされて、大家になっても、飾らない、素直なその態度に感心させられました。

 また、高野晶さんの冷静な現状分析にも感心させられました。

 3日間で、さまざまなことを学び、考えることができたように思います。

 年寄りのじーじゆえ、かなり疲れましたが、とても面白かったです。

 子どもと同様、面白い、ということが、次につながるのでしょう。

 とてもいい体験でした。         (2017.11 記)

     *

 2024年10月の追記です

 この時の新幹線の混雑ぶりは今でも忘れられません!

 まず、名古屋駅で新幹線が1~2分おきに到着したこと(新潟では1~2時間に1本です?)。

 それのどれもが超混雑ぶりで乗り込めずにしばらくは見逃したこと。

 数本見逃して、意を決してなんとかお尻から乗り込んだものの、全く身動きができない状態。

 奥に進もうとしても、途中下車を狙っている乗客が多いのか(?)、完全にブロックされています。

 新潟では混んでいると皆さんが奥のほうに移動してくれますが、そんな配慮は全くなし!

 隣にいた小学生などは気分が悪くなって大変でしたが、誰も気にとめず、都会の人たちの弱者への冷たさを痛感しました。

 新幹線にも女性専用車両や老人専用車両?(じーじはあまり乗りたくないかも?)があるといいですが、そうだ!女性・老人・子ども専用車両があるといいですね。

 リニアモーター新幹線より優先課題かもしれません。

 頼みますよ、JR東海さん!          (2024.10 記)

     *

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村上春樹『村上さんのところ』2015・新潮社-「ユーモア」と「遊びごころ」の大切さ

2024年10月20日 | 村上春樹さんを読む

 2015年のブログです

     *

 村上春樹さんの,村上さんのこころ,ならぬ,『村上さんのところ』を読みました。

 すごくおもしろかったです。

 村上さんの読者やファンの質問に,村上さんが一つ一つ丁寧に答えるという本ですが,ユニークな質問に,ユニークな回答がとてもよかったです。

 中でも,個人的には,妖怪ポロンのやりとりがおもしろかったです(くわしくは本書59ページをお読みください)。

 村上さんの小説は,内容がけっこう重かったり,深かったりしますが,少しのユーモアやゆとりや遊びなどがそれを救っているような気がします。

 真面目で苦しくても,決して煮詰まらずに,いつか前向きになれる印象です。

 本書でもそれは同じ感じです。 

 心理療法やカウンセリングでもなかみや内容,雰囲気などが重いことが多いですが,少しのユーモアや遊びで救われることが多いと思います。

 小児科医で精神分析家のウィニコットさんのいう「遊びごころ」について,くわしく述べたのは精神分析家のオグデンさんですが,ウィニコットさんのいう「遊びと創造」は本当に重要だと思います。

 なお,ユーモアたっぷりの本書の中で,唯一,原発と東日本大震災について語る村上さんはめずらしく「熱く」なっています。

 被害者への強く深い思いと,一方で,責任を取らずに運転を再開する国や企業への怒りがひしひしと伝わってきます。

 優しさと怒り,弱いものの側に立つ村上さんの決心が垣間見えます。

 貧しくても,清く生きたいと,つくづく考えさせられる一冊です。       (2015記)

     * 

 2018年5月の追記です

 本書の文庫本が出ましたので、買いました。

 じーじの大好きな妖怪ボロンのお話(ポロンじゃなくて、ボロンでした。すみません)は、文庫本では139ページに出てきます。     (2018.5 記)

     *  

 2018年9月の追記です

 文庫本の『村上さんのところ』を読み終わりました。

 やはり、すごく面白かったです。

 この本も、電車の中で読むのは危険な本です。

 ところで、今ごろになって、大きな勘違いに気づきました。

 それはじーじの大好きな妖怪ボロンのことなのですが、今までじーじは、ボロンは女性が胸を出すのだろう、となぜか勝手に思っていたのですが、これが大きな勘違いで、正しくは男性がパンツを脱いでしまうらしいのです。

 これではじーじのボロンのイメージ(?)とは少し違います。 

 勝手に間違えて、違います、もないのですが…。

 困りました。

 でも、じーじの間違いにも何か意味がありそうな気もしますので、しばらくはこの意味を探求していきたいと思っています。

 臨床心理学の世界は奥が深い(?)です。       (2018.9 記)

 

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エディプス・ナルシシズム・土居健郎さん-2017年精神分析学会・その2

2024年10月19日 | 精神分析に学ぶ

 2017年のブログです

     *

 今日も名古屋にいます。

 昨日は分析学会の2日目がありました。

 一般演題、学会出版賞受賞講演、講演と討論などがありました。

 一般演題は、じーじは、エディプス、と、ナルシシズム、に出てみました。

 実は、本当は、対象喪失、に出てみたかったのですが、会場が満員で、諦めました(これが本当の、対象喪失、です)。

 しかし、エディプス、の発表も、ナルシシズム、のほうも、どちらもなかなかすごい症例で、いろいろと勉強になりました。

 学会出版賞受賞講演は藤山直樹さん。

 誰に向かって書くか、という演題で、ご自分の論文執筆の歴史をこまやかに振り返りました。

 土居健郎さんや狩野力八郎さんのもとでの、修行時代の思い出話などはとても参考になりました。

 講演と討論は、イギリスの分析家のマイケル・パーソンさんというかた。

 初めて知りましたが、精神分析の空間でのできごとをていねいに説明され、解釈のあり方について、かなり深い洞察を述べられました。

 翻訳が出たら、ぜひ読んでみたいな、と思いました。

 また、指定討論の藤山さんがその洞察の深さに感動しています、と述べられた姿がとても印象的でした。

 今日はいよいよ最終日。

 じーじは老体に鞭打って頑張ります。          (2017.11 記)

     *

 2024年10月の追記です

 精神分析学会は結構、会員数の多い学会なので、興味深い発表には人が集まります。

 じーじは人込みが嫌いなほうなので、できるだけ人の少ないところが好きなのですが、そうもいきません。

 時には座れずに、立って発表をお聴きすることもありますが、電車と違って、老人に席を譲りましょう、という慣習はないらしく(老人がすごく多い学会ですので)、じーじより先輩の学者さんも立っているので仕方ありません。

 たまには床に座ろうかなどと思ったりもしますが、じーじは小心者なので(?)、そんな目立つことも苦手です。

 学問の世界もなかなか厳しいものだな(?)と思ったりします。          (2024.10 記)

     *

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    2017年、臨床心理士になる

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 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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村上春樹『村上春樹・雑文集』2015・新潮文庫-「普通」の中に「意味」を見つけること

2024年10月19日 | 村上春樹さんを読む

 2015年のブログです

     *  

 村上さんの『村上春樹・雑文集』の文庫本を読みました。

 単行本が出たのが2011年でしたので,久しぶりの再読です。

 文庫化に当たって,あとがきと各文章への短いコメントが追加されたので,楽しみが倍増しています

 単行本の時に読んで,今でも覚えていた文章もありましたし,まったく忘れていて(ごめんなさい,村上さん),あらあためて新鮮に読めた文章もありました。

 中でもじーじが一番好きな文章は,やはりエルサレム賞・受賞のあいさつ「壁と卵」。

 あまり政治的な発言はしない村上さんですが,ここでは,弱いものの側に立つ,という村上さんの文学者としての決意と覚悟を述べられていると思います。

 もうひとつ,今回,印象に残ったのは,村上さんの敬愛するジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクさんの言葉。

 あなたの弾く音はどうしてそんなに特別な響き方をするのか?と質問をされて,モンクさんはこういいます。

 新しい音なんてない,鍵盤をみなさい,すべての音はそこにすでに並んでいる,でも君がある音にしっかり意味をこめれば,それは違った響き方をする,君がやるべきことは,本当に意味をこめた音を拾い上げることだ,と。

 村上さんはこれをふまえて,こう書きます。

 新しい言葉なんてどこにもありはしない,ごく当たり前の普通の言葉に,新しい意味や,特別な響きを賦与するのが我々の仕事なんだ。

 どうです,意味深い文章でしょう。

 カウンセリングにも通じるような言葉です。

 いい本を再発見できました。      (2015 記)

     *   

 2018年夏の追記です

 「普通」の中に「意味」を見つけること、その大切さって、やはり重要なことのように思います。

 人生だって、そんなにいいことや楽しいことばかりが続くわけではありません。

 むしろ、「意味」の見いだせないような、一見、単純な、退屈な、同じようなことのくり返しが多いのかもしれません。

 しかし、そのような繰り返しの中に、ひょっとすると大切なこと、「意味」のあることが潜んでいるのかもしれません。

 それに気づけるか、それを見つけられるか、で人生の「意味」は違ってくるように思います。

 「普通」の中に「意味」を見つけられること、それが小さな幸せにつながりそうです。       (2018.8 記)

     *

 2019年春の追記です

 久しぶりに再読をしました。

 やはり印象的なのが、「壁と卵」とセロニアス・モンクさん。勇気をもらえます。

 今回の発見は、かきフライのお話(今ごろ気づくのもなんですが)。

 他の本でも少し出てきましたが、自己を語ることとかきフライを語ることの関係について村上さんが述べます。

 そして、この本では、理論だけでなく、村上さんのかきフライのお話が出てきて、これがとてもおいしそうですごいです。

 ごはん前にこれを読んじゃうと、かきフライしか食べれなくなりそうです。

 やはりすごい小説家です。       (2019.4 記)

     *

 2020年冬の追記です 

 東直己さんの『残光』を読んでいたら、モンクさんが出てきました。東さんもファンのようです。

 村上さんと東さん、共通点が見つかりました。        (2020.1 記)    

  

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わからないこと・不思議なこと・喪の作業-2017年精神分析学会・その1

2024年10月18日 | 精神分析に学ぶ

 2017年のブログです

     *

 名古屋に来ています。

 昨日から2017年精神分析学会が開催されており、2年ぶりに参加させてもらいました。

 1日目は、編集委員会企画セミナー、研修症例、教育研修セミナーの三つのプログラムを選択、じーじはいずれも藤山直樹さんが出席される会場に参加させてもらいました。

 午前中の編集委員会企画セミナーのテーマは、事例の書き方。

 事例をいかに説得力のある形にまとめるかで議論がされました。

 藤山さんの、客観性は必要だが、書き物なので創造的で美的であることが重要と思う、との発言は刺激的でしたし、同意できました。

 午後の研修症例は、若手治療者による表情恐怖の事例に藤山さんが助言をされました。

 面接では優しく共感するだけでなく、わからないことや不思議なことは聴くのが自然、治療者が怖がって聴かないことは不親切ではないか、との指摘には思わずうなりました。

 じーじも同じような傾向があるので、反省させられましたし、勉強になりました。

 夕方の教育研修セミナーのテーマは、いかに分析的臨床を描写するか-体験から言葉へ。

 ここでは、まず高野晶さんのていねいな臨床描写の実践報告に思わずうなり、藤山さんの、体験を言葉にする時には、さまざまな「喪」の作業が必要、との発言にいろいろと考えさせられました。

 また、いい文章を書くためには詩や小説をたくさん読むことが大切、との指摘にはおおいに同意をしました。

 ふだんから役に立つのかどうかわからないような本をたくさん読んでいて、誰かさんから、無駄遣いのかね食い虫、と言われているようなじーじですが、それもまったく無駄でもないのかも(?)、と自己弁護をしてしまいました。

 1日目の終了が午後7時半と、じーじの私にはかなりハードな日程でしたが、しかし、勉強になりました。今日と明日もなんとか頑張りたいと思います。         (2017.11 記)

     *

 2023年秋の追記です

 わからないことを聴くことと、わからないことに耐えることはどんな関係になるのでしょう。

 わからないことを聴く時、なんでもかんでも聴くのではなく、クライエントさんにとっても大切と思われることを聴くのではないかと思います。

 そういう聴くことが出てくるまで、わからないことに耐えて、待っているのかなと思ったりします。

 これは、解釈の時の、話してもわからないことは話さない、ということとパラレルな感じかもしれません。         (2023.10 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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南木佳士『陽子の一日』2015・文春文庫-不器用に、無骨に、ゆっくりと生きる人たちを描く

2024年10月18日 | 小説を読む

 2015年のブログです

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 じーじの大好きな小説家の南木佳士さんの文庫最新作『陽子の一日』(2015・文春文庫)です。

 南木さんはじーじより三つ年上で,1989年に『ダイヤモンドダスト』で芥川賞を取っていますが,じーじはその時からのファンです。

 あまり派手ではないですが,身の丈を大切にした小説家で,なんとなく人生を闘う同志という感じがします。

 この小説も,主人公の中高年の女性内科医,同期の男性内科医,若い男性内科医,その他,さまざまな人生模様が描かれます。

 いずれも不器用に,いかにも生きづらい人生を無骨に歩む姿が大変そうですが,自分を見ているようでもあり,共感させられます。

 地道に生きていこう!とあらためて考えさせられる一冊です。      (2015.7 記)

     *

 2022年春の追記です

 その後の南木さんの小説を読んでいても、不器用な主人公が多いですね。

 中には、加えて、小心者の主人公もいて、同じ小心者のじーじ(?)はすごく共感してしまいます。

 そのせいもあってか、病気になったりして、なかなか大変ですが、ヒーローの出てこない小説もなかなかいいものだなと思ったりします。      (2022.3 記)

 

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木村敏『臨床哲学対話-あいだの哲学-木村敏対談集2』2017・青土社-精神医学と哲学の対話に学ぶ

2024年10月17日 | 精神科臨床に学ぶ

 2017年のブログです

     *

 木村敏さんの対談集『臨床哲学対話 あいだの哲学 木村敏対談集2』(2017・青土社)を読みました。

 とってもむずかしかったですが、とっても面白かったです(どこまで理解をできているかはやや不明(?)ですが…)。

 対談者は、坂部恵さん、中村雄一郎さん、柄谷行人さん、市川浩さん、中井久夫さん、村上陽一郎さんなどの、哲学者や思想家などをはじめとするそうそうたるメンバー。

 木村さんの「あいだ」の哲学を中心にすえて、人間の存在や精神病についての哲学的な議論が進みます。

 その議論をご紹介するのは凡人のじーじの手には余ります。

 ぜひご一読ください。

 今回、わからないなりに、じーじの印象に残ったのは、まずは、坂部恵さんとの対談。

 坂部さんは『仮面の解釈学』や『かたり』などで有名な哲学者で、じーじもそのご本は何冊か読んでいますが、とても面白く、刺激的です。

 坂部さんといえば、じーじが家裁調査官になった時に、坂部さんの『仮面の解釈学』を絶賛していた同期がいて、当時、じーじは坂部さんのお名前も知らなかったのですが、それから30年くらい遅れて読んで、感動した記憶があります。 

 今考えると、もったいないことをしたなと思いますが、読めただけでも幸運かもしれません。

 木村さんと坂部さんは、「作り」と「かたり」というテーマで対談をされていますが、人間の存在や「仮面」についての考察がなされます。

 「仮面」についてのところでは、レヴィナスさんも出てきてびっくりでした。

 もうひとつ、印象に残ったのが、市川さんや柄谷さん、中井さんとの対談で、ここでは、境界例は嗜癖、対人関係嗜癖である、という議論がなされ、今後の参考になりました。

 また、ここでも、人間の存在をめぐる議論でレヴィナスさんが出てきて、やはりレヴィナスさんという哲学者は大切な存在のように思われました。

 今、ちょうどレヴィナスさんの『全体性と無限』(2005・岩波文庫)を再読している最中なのですが、方向性は間違っていないのかなと自信になりました。

 回り道になろうとも、焦らずに、ゆっくりと勉強を続けていきたいと思います。          (2017 記) 

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 2020年秋の追記です

 じーじがレヴィナスさんに興味を持ったきっかけが何だったのか、しばらく思い出せなかったのですが、どうも木村さんの論文に刺激をされて読むようになったようです。

 なかなか難しくて、今も十分には理解ができていませんが…。          (2020.10 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

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木村敏『臨床哲学対話-いのちの臨床-木村敏対談集1』2017・青土社-精神医学と哲学の対話に学ぶ

2024年10月16日 | 精神科臨床に学ぶ

 2017年のブログです

     *

 精神科医の木村敏さんの『臨床哲学対話-いのちの臨床-木村敏対談集1』(2017・青土社)を読みました。

 木村さんの本を読むのは久しぶりでした(木村さん、ごめんなさい)。

 木村さんは名著『人と人の間-精神病理学的日本論』(1972・弘文堂)で有名で、当時、土居健郎さんの『「甘え」の構造』(1971・弘文堂)とともに一世を風靡しました。

 じーじは少し遅れて、1977年の就職後に、なぜか『分裂病の現象学』(1975・弘文堂)を読んで感動しました(こうしてみると、じつはこの頃から統合失調症に関心があったようですね)。

 そして、さらには『自覚の精神病理』(1970・紀伊国屋書店)などへと進んで、それからはずっと木村さんの著作と格闘しながら臨床をやってきた感じです(木村さんの本は難しいので、本当に格闘するという感じです)。

 今回の本は対談集なので比較的気軽に読めます。

 一番の収穫は、精神障碍者施設べてるの家のメンバーさんとの座談会の部分で、私はここで初めて、おそらくは木村さんのふだんの優しい、ていねいな精神科医ぶりを少しだけ拝見することができた感じがして、とても感動しました。

 高名な精神科医の先生ですが、さすがにその対話や面接の力量はお上手だなと感心させられました。

 また、同じく精神科医の中井久夫さんや安永浩さんとの鼎談も、三人三様のお人柄とお考えが垣間見られて、とても楽しく読ませていただきました。

 さらには、作曲家の武満徹さんとの対談では、それこそ木村さんの得意とする「あいだ」をめぐっての考察がくりひろげられ、知的好奇心をかき立てられました。

 ほかにも、有名な臨床家などとの対談があって、木村ファンには魅力的で、楽しく読める本だと思います。

 久しぶりに木村ワールドにひたって、知的な刺激をいっぱいいただき、元気になったような気がします。        (2017 記)

     *

 2024年10月の追記です

 口が悪いというか(?)、率直なお話をすることが多い精神科医で心理療法家の山中康裕さん(山中さん、ごめんなさい)は、名古屋市大時代に、教授の木村先生は面接が下手(?)なので、面接の上手な中井久夫さんを助教授にお招きした(?)、とある本で述べておられましたが、この本を読むと、木村さんの面接のうまさがよくわかりますね。         (2024.10 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

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梨木香歩『雪と珊瑚と』2015・角川文庫-シングルマザーと赤ちゃんの小さな冒険の物語

2024年10月16日 | 小説を読む

 たぶん2015年のブログです

     *   

 女性らしく、素敵で、読みごたえのある文章をたくさん書かれている梨木香歩さん、その梨木さんの小説『雪と珊瑚と』(2015・角川文庫)を読みました。

 久しぶりにいい小説を読んで、またまた泣いてしまいました。

 とてもいい物語です。

 シングルマザーの珊瑚さんとその赤ちゃんである雪ちゃんのお話。

 きれいすぎず、がんばりすぎず、力不足でたいへんなところもあって、等身大の若い女性の迷いと不安がさらりと描かれます。

 しかし、中身は深いです。

 周りの人間を含めて、弱さやずるさや何もかもが描かれます。

 救いはやはり赤ちゃん(とはいえ、赤ちゃんや小さな子どもさんの子育てはやっぱりたいへんですけどね)。

 赤ちゃんや子どもの存在というのは母親だけでなく、やっぱりおとな全体にとって大切なものなのでしょう。

 そして、子育てというのは、きれいごとではけっしてすみませんが、しかし、大きな営みなのですね。

 そのあたりの大変さや苦しさ、迷いなども丁寧に描かれていると思います。

 悪戦苦闘の、きれいごとでない、等身大のシングルマザーと赤ちゃんと周囲の人々の物語、いちど読んでみてください。

 きっと、生きていくこともいいものだな、と思うのではないかなと思います。

 たまに本を読んで涙を流すことも、こころのおそうじにいいことのようです。       (2015?記)

 

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