ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談、研究しています

成田善弘『精神療法家の本棚』2014・みすず書房-じーじの本棚とはえらい違いです

2024年10月07日 | 精神療法に学ぶ

 2014年のブログです

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 精神科医で精神療法家の成田善弘さんの本に関するエッセイ集です。

 フロイトさん,土居健郎さん,藤山直樹さん,神田橋條治さん,山中康裕さん,夏目漱石さん,藤沢周平さん等々,臨床から小説まで多彩な人々の本とそれにまつわるお話が読んでいてとても楽しく読めました。

 成田さんの読みの深さや正直さに感心させられました。

 中でもじーじのおすすめは村上春樹さんの『小澤征爾さんと,音楽について話をする』(2011・新潮社)についてのエッセイです。

 この本はとても面白く,じーじもご紹介しようかなと思っていたくらいの本で,しかし,さすがに成田さんの読みは深く,ぜひご一読をおすすめします。

 よきインタヴュアーは相手の深い思いを引き出すということ,それが心理療法と共通していることなどが述べられていると思います。

 本の読み方をさらに考えさせられた一冊でした。           (2014.6 記)

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 2021年4月の追記です

 久しぶりに再読をしました。たぶん7年ぶりです(成田さん、ごめんなさい)。いい本なのにもったいないことをしました。

 今回もいろいろと考えることがありました。

 一つめは、やはり村上春樹さんの小澤征爾さんへのインタヴュー。

 小澤さんが村上さんに、あなたに話していて、気がついたんだけど、と話す箇所を挙げて、よきインタヴュアーの条件について述べているところは臨床家にも勉強になります。

 二つめは、藤沢周平さんについて述べたところ。

 『三屋清左衛門残日録』についての文章などはやはりとてもすばらしいのですが、今回、気づいたのは、『用心棒日月抄』の四部作。

 偶然にも、今春、じーじも『用心棒日月抄』を読んでとまらなくなり、本棚のあちこちから探して四部作全部を読んでいたので、その魅力がよくわかりました。

 じぶんの好きなもの、こころ魅かれるものを、成田さんにわかりやすく教えてもらえることは、贅沢な経験です。

 さらに、読み込んでいきたいと思いました。         (2021.4 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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郷静子『夕空晴れて』1979・文藝春秋-生真面目な主婦とこころ優しい家族の精神的な成長を描く物語です

2024年10月07日 | 小説を読む

 2024年10月のブログです

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 郷静子さんの『夕空晴れて』(1979・文藝春秋)をすごく久しぶりに読む。

 先日、郷さんの『れくいえむ』(1975・文春文庫)を久しぶりに再読をして、拙い感想文を綴ったばかりだが、数日前、今年の能登半島地震で崩れた本の山を積み直していたら(?)、郷さんの『夕空晴れて』を発見してしまった。

 こういうのをユングさんの共時性の原理(意味のある偶然)というのかな?(こういうことがあるので、じーじはユングさんが大好きだ)

 1979年、じーじが就職をして3年目の本。

 学生時代から文庫本ばかり買って、単行本はめったに買わないじーじだが、これはめずらしく単行本。

 『れくいえむ』の感動の余韻が残っていて、買ってしまったのかもしれない。

 『れくいえむ』はなんとなく重たい内容の本だ、という印象が残っていたが、こちらは、中身は当然(?)まったく忘れていて、新刊のように読む。

 これがいい小説だ。

 郷さんらしく(?)、やはり生真面目な小説。

 もっとも、雑誌『婦人之友』に1年間連載をされたということで、比較的読みやすい物語になっている。

 三世代家族を切り盛りする主婦が主人公。

 あらすじは例によって書かないが、舅姑との関係や親戚との関係のほかに、子どもたちの成長にともなう親子関係や夫婦の関係の変化などをていねいに描く。

 えらく生真面目な主人公が、家族の協力もあって、精神的に少しずつ自由になり、勁くなっていく様子が小気味よい。

 特に、やはり、子どもたちの成長から、夫婦がさまざまなことを学び、考え、変化していくところが好ましい。

 こういう親になりたいなあ、と思わせられる小説だ。

 さらに、郷さんならではの、反戦への願い。

 読んでいて、勇気のもらえる良質な小説だと思う。      (2024.10 記)

 

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