2022年10月のブログです
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菅佐和子さんの『思春期女性の心理療法-揺れ動く心の危機』(1988・創元社)をかなり久しぶりに読む。
じーじが若いころ、家庭裁判所で非行少女の援助に苦労していた時に参考に読んだ本。
しばらく若い女性のカウンセリングをしていなかったので(?)、ご無沙汰していた(菅さん、ごめんなさい)。
しかし、読み返してみると、とてもこまやかな心理療法で、今でも勉強になる。
菅さんは、河合隼雄さんが京大の大学院の先生になった時の一期生。
それまでロジャース派の来談者中心療法を勉強されていた菅さんが、河合さんの指導を受けて、さらに力をつけていった様子がうかがわれる。
もっとも、河合さんのお考えもあって、コチコチのユング派ではなく、あくまでも菅さんの個性を活かしたていねいなご指導を受けたようで、かなり柔軟で、こまやかなカウンセリングをなさっていることが読み取れる。
事例が中心の本で、クライエントさんは、強迫症の中2女子、いじめられっ子の中2女子、不登校の中1女子、拒食症の中3女子、抑うつ症の高2女子、などなど。
いずれもかなり難しそうな事例で、心理療法も難航するが、菅さんは右往左往しながらも、なかなか落ち着いたカウンセリングを実践していらっしゃる。
その菅さんの心中の右往左往が正直に報告されて参考になるし、全般的にとてもていねいで、こまやかなカウンセリングがされていて、読んでいて脱帽する。
じーじも、初心にかえって勉強しなくっちゃ、と思わせられる、いい本だ。
最近、勉強をさぼりがちのじーじには、いい刺激になる一冊だった。 (2022.10 記)