ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

エディプス・ナルシシズム・土居健郎さん-2017年精神分析学会・その2

2024年10月19日 | 精神分析に学ぶ

 2017年のブログです

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 今日も名古屋にいます。

 昨日は分析学会の2日目がありました。

 一般演題、学会出版賞受賞講演、講演と討論などがありました。

 一般演題は、じーじは、エディプス、と、ナルシシズム、に出てみました。

 実は、本当は、対象喪失、に出てみたかったのですが、会場が満員で、諦めました(これが本当の、対象喪失、です)。

 しかし、エディプス、の発表も、ナルシシズム、のほうも、どちらもなかなかすごい症例で、いろいろと勉強になりました。

 学会出版賞受賞講演は藤山直樹さん。

 誰に向かって書くか、という演題で、ご自分の論文執筆の歴史をこまやかに振り返りました。

 土居健郎さんや狩野力八郎さんのもとでの、修行時代の思い出話などはとても参考になりました。

 講演と討論は、イギリスの分析家のマイケル・パーソンさんというかた。

 初めて知りましたが、精神分析の空間でのできごとをていねいに説明され、解釈のあり方について、かなり深い洞察を述べられました。

 翻訳が出たら、ぜひ読んでみたいな、と思いました。

 また、指定討論の藤山さんがその洞察の深さに感動しています、と述べられた姿がとても印象的でした。

 今日はいよいよ最終日。

 じーじは老体に鞭打って頑張ります。          (2017.11 記)

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 2024年10月の追記です

 精神分析学会は結構、会員数の多い学会なので、興味深い発表には人が集まります。

 じーじは人込みが嫌いなほうなので、できるだけ人の少ないところが好きなのですが、そうもいきません。

 時には座れずに、立って発表をお聴きすることもありますが、電車と違って、老人に席を譲りましょう、という慣習はないらしく(老人がすごく多い学会ですので)、じーじより先輩の学者さんも立っているので仕方ありません。

 たまには床に座ろうかなどと思ったりもしますが、じーじは小心者なので(?)、そんな目立つことも苦手です。

 学問の世界もなかなか厳しいものだな(?)と思ったりします。          (2024.10 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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村上春樹『村上春樹・雑文集』2015・新潮文庫-「普通」の中に「意味」を見つけること

2024年10月19日 | 村上春樹さんを読む

 2015年のブログです

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 村上さんの『村上春樹・雑文集』の文庫本を読みました。

 単行本が出たのが2011年でしたので,久しぶりの再読です。

 文庫化に当たって,あとがきと各文章への短いコメントが追加されたので,楽しみが倍増しています

 単行本の時に読んで,今でも覚えていた文章もありましたし,まったく忘れていて(ごめんなさい,村上さん),あらあためて新鮮に読めた文章もありました。

 中でもじーじが一番好きな文章は,やはりエルサレム賞・受賞のあいさつ「壁と卵」。

 あまり政治的な発言はしない村上さんですが,ここでは,弱いものの側に立つ,という村上さんの文学者としての決意と覚悟を述べられていると思います。

 もうひとつ,今回,印象に残ったのは,村上さんの敬愛するジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクさんの言葉。

 あなたの弾く音はどうしてそんなに特別な響き方をするのか?と質問をされて,モンクさんはこういいます。

 新しい音なんてない,鍵盤をみなさい,すべての音はそこにすでに並んでいる,でも君がある音にしっかり意味をこめれば,それは違った響き方をする,君がやるべきことは,本当に意味をこめた音を拾い上げることだ,と。

 村上さんはこれをふまえて,こう書きます。

 新しい言葉なんてどこにもありはしない,ごく当たり前の普通の言葉に,新しい意味や,特別な響きを賦与するのが我々の仕事なんだ。

 どうです,意味深い文章でしょう。

 カウンセリングにも通じるような言葉です。

 いい本を再発見できました。      (2015 記)

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 2018年夏の追記です

 「普通」の中に「意味」を見つけること、その大切さって、やはり重要なことのように思います。

 人生だって、そんなにいいことや楽しいことばかりが続くわけではありません。

 むしろ、「意味」の見いだせないような、一見、単純な、退屈な、同じようなことのくり返しが多いのかもしれません。

 しかし、そのような繰り返しの中に、ひょっとすると大切なこと、「意味」のあることが潜んでいるのかもしれません。

 それに気づけるか、それを見つけられるか、で人生の「意味」は違ってくるように思います。

 「普通」の中に「意味」を見つけられること、それが小さな幸せにつながりそうです。       (2018.8 記)

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 2019年春の追記です

 久しぶりに再読をしました。

 やはり印象的なのが、「壁と卵」とセロニアス・モンクさん。勇気をもらえます。

 今回の発見は、かきフライのお話(今ごろ気づくのもなんですが)。

 他の本でも少し出てきましたが、自己を語ることとかきフライを語ることの関係について村上さんが述べます。

 そして、この本では、理論だけでなく、村上さんのかきフライのお話が出てきて、これがとてもおいしそうですごいです。

 ごはん前にこれを読んじゃうと、かきフライしか食べれなくなりそうです。

 やはりすごい小説家です。       (2019.4 記)

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 2020年冬の追記です 

 東直己さんの『残光』を読んでいたら、モンクさんが出てきました。東さんもファンのようです。

 村上さんと東さん、共通点が見つかりました。        (2020.1 記)    

  

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