ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』2022・ちくま新書-コミュニケーションとカウンセリングを学ぶ

2024年10月03日 | 心理療法に学ぶ

 2022年10月のブログです

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 東畑開人さんの『聞く技術 聞いてもらう技術』(2022・ちくま新書)を読む。

 新刊!(えっへん!)。

 東畑さんはカウンセラーで、少し前まで大学の先生をされていたが、最近、やめたらしい(と本書に書いている)。

 今は開業カウンセラー。

 著書『居るのはつらいよ』で賞を取るなど、活躍中。

 今年の遊戯療法学会のシンポジウムにも出席をされて、じーじはズームで拝見したが、歯切れのいい発言をされていたのが印象に残っている。

 さて、本書、対話が難しいように見える現代におけるコミュニケーションについて述べると同時に、カウンセリングの技術についても述べている、なかなかの本。

 じーじにも参考になることがらが多く述べられている。

 例えば、聞く技術小手先編(?)には次のような内容が並ぶ。

 時間と場所を決めてもらおう。眉毛にしゃべらせよう。正直でいよう。沈黙に強くなろう。返事は遅く。七色の相槌。奥義オウム返し。気持ちと事実をセットに。「わからない」を使う。傷つけない言葉を考えよう。なにも思いつかないときは質問しよう。また会おう。

 いずれも、大切なことがらばかりで、じーじが実践できているものもあるし、なかなか難しいものもあって、いずれにしてもとても勉強になる。

 さらに、聞くことについて述べる中で、ウィニコットさんを引いて、環境としての母親やほどよい母親の大切さに述べていて、これがとってもわかりやすい。

 他にも、対話が難しい分断の時代に、コミュニケーションを復活させるにはどうしたらいいのか、についての提言など、参考になることがらも多い。

 小さな本だが、いろいろと考えさせられるいい本だと思う。         (2022.10 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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小林快次『恐竜まみれ-発掘現場は今日も命がけ』2022・新潮文庫ー恐竜発掘のおもしろいお話です

2024年10月03日 | 随筆を読む

 2023年9月のブログです

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 先日、テレビを見ていたら、モンゴルのゴビ砂漠で恐竜の化石を発掘する研究者たちのドキュメンタリーをやっていて、興味深く見た。

 おそらくはその研究者たちのメンバーのおひとりと思われる北海道大学の小林快次さんの『恐竜まみれ-発掘現場は今日も命がけ』(2022・新潮文庫)を読む。

 小林さんは恐竜で有名な(?)福井県の出身。

 子どもの頃からアンモナイトの発掘に熱中して、時にはアンモナイトを抱いて寝たこともあるという(すごいですね!)。

 アメリカの大学で恐竜の発掘を研究し、イギリスの学術雑誌『ネイチャー』に論文が載るほどの専門家でもある。

 2005年に北海道大学の先生になり、2014年に北海道むかわ町で「むかわ竜」を発掘した。

 そんな小林さんの恐竜発掘のお話であるが、これがとても面白い。

 発掘現場は命がけ、とは、恐竜の発掘現場が、アラスカ、ゴビ砂漠、カナダ、などなど、自然環境の厳しいところが多く、研究というよりは探検のような仕事になることをさしている。

 そんな探検のような発掘作業がユーモラスに記される。

 時には危険な目にも遭いながら、地道な発掘作業を続け、世界的な発見に繋がる様子は感動的だ。

 しかし、おそらく毎日の仕事は地味なのであろうし、食生活などもかなり地味だ。アラスカではくまさんとのかくれんぼもスリリングだ。

 じーじならとても耐えられないだろうし、学者さんも大変だなあと思うが、学問とはそんなものかもしれない。

 専門家になると、素人には見えない、わからない化石が見えてくる、というところは、なかなか示唆的だ。

 臨床でもそうかもしれないと思うし、他の分野でもそうかもしれないが、専門家というのは、素人では見えにくいものが見えると同時に、新しい発見にこころが開かれている存在なのかもしれない。

 いろいろなことを考えさせてくれるいい本だった。      (2023.9 記)

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 数日後の追記です

 今日、テレビを見ていたら、ゴビ砂漠での恐竜発掘のドキュメンタリーの再放送をやっていた。

 小林さんがメンバーのひとり、というより、小林さんを中心とした番組で、小林さんのすごさを再確認させられた。

 たくさんの恐竜の足跡を発見して、当時の恐竜たちの生活が見えます、とおっしゃる姿はプロだと思った。       (2023.9 記)

 

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