長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第37回『城井谷の悲劇』

2014年09月16日 08時25分14秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第37回『城井谷の悲劇』(2014年9月14日 演出・大原拓)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高   …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政       …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

母里 太兵衛 友信   …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次   …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成       …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

宇都宮 鶴姫
 宇都宮鎮房の長女で、朝房の妹。(演・市川由衣)

安国寺 恵瓊      …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

佐々 成政       …… 知力27、統率力70
 (演・大谷亮介)

加藤 清正       …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

福島 正則       …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

黒田 兵庫助 利高   …… 知力78、統率力63
 (演・植木祥平)

宇都宮 朝房(ともふさ)…… 知力47、統率力55
 (演・橋本淳)

小早川 隆景      …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

宇都宮 鎮房(しげふさ)…… 知力55、統率力75
 (演・村田雄浩)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉       …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○奇襲戦はいかにも戦争らしい緊張感があっていいけど、怖いねぇ~! まさか、豊前国城井谷のいくさが全国放送の大河ドラマでおがめるとは……ありがたや、ありがたや~。

●黒田一成の水牛兜(大水牛脇立兜)は、まだ早すぎるんじゃないの……? あれは、主君の黒田長政がまず水牛兜をかぶってから次にかぶることを考えなきゃ水牛にした意味が出てこなくなっちゃうだろ! 家臣がフライングしちゃダメだろう。ゴジラが出てくる前にメカゴジラが出てきちゃった、みたいな。
 でも、よく見れば史料の水牛兜とも形状が違うし、『軍師官兵衛』では、もともと一成は水牛マニアで、いろんな形のものを若いころからコレクションしてたってことになっているのか? キャラクターのディティールが異様にこまかい!

●ひとかどの武将なら、奇襲戦に遭って逃げるときは身分がモロバレになる甲冑や陣羽織はまっさきに脱いで隠すか捨てるかするんじゃないの? 重いし目立つし!
 あ、でも、黒田家では物を大切にする家訓がゆきとどいているから、長政主従も精魂込めて製作してくれた職人さんがたのことを思って、肌身離さず着込んでいたのかしら。倹約のためならば死の危険性をギュギュギュンと急上昇させることさえいとわぬ黒田家、あっぱれ!!
 又兵衛、その金ピカリンの前立て、はずしてどっかに持っとけって! っていうか、あぶねぇからどっか行ってくんない!?

○宇都宮鎮房の長女・鶴姫、史料によれば城井谷合戦のとき、数え年13歳。13歳……?
 いや、あの、男勝りっていうか……ずいぶん人生の辛酸というか、芸能界の浮き沈みを経験してきた面がまえのような娘さんなんですが。
 ここに市川さんをキャスティングしてきたっていうのは、最高ですねぇ~。もう、福本清三さんみたいな「古武士感」がただよってるもんね、日本女優界における市川さんって。大好きですね。
 兄貴の宇都宮朝房を演じている俳優さんはいかにも17歳(史実の年齢)らしい若さがあるんですが……すごい妹さんをお持ちですね……

○黒田孝高と小早川隆景と安国寺恵瓊がいる前で自分が考えた作戦を説明しろって……なんという先輩地獄。だが、オレの中の何かがたぎるぜ!!
 まぁ……プランは誰もが考えつく「付け城で補給ライン分断戦」であるわけなんですが。いや、そりゃあ城井谷はそう攻めるでしょ。

○黒田・城井の和睦交渉で、久しぶりに安国寺恵瓊の、相手の全てを見透かしたブラックな笑みが炸裂! それでこそ AKB49(えけいボウズ49歳)、喰えねぇ野郎だぜ!!

○顔もあわせずに「元はといえばおまえのせいじゃねぇか。」というコメントをグサリと入れる千利休、グッジョブ! しかし、こんな茶の席、絶対にいたくねぇよ……抹茶の味もわかりゃしねぇ。

○秀吉「ハハハ……このわしの命に逆らった男を、官兵衛は召し抱えたと言うのか! ハハハ……これほど愉快な話はない。」
 こわいね~!! 笑うのが怒りフラグという、まさに竹中直人の必殺技「笑いながら怒る男」の変奏曲ともいえる特徴を持つ『軍師官兵衛』の豊臣秀吉、超こわい!
 まさか、こういう角度から『独眼竜政宗』の勝新秀吉やマンガ『花の慶次』の秀吉に匹敵するすごみを持った秀吉を創出してくるとは。さすが、約20年ぶりの再登板。寺尾家康も怖いけど、こっちもやっぱり怖いですね。

○加藤清正の、頬ひげが絶妙に似合っていないイケメンっぷりが、昔どこかで見ただれかにものすご~く似てるなぁ……だれだったかなぁ……とここ1~2ヶ月ほどボンヤリしていたのですが、やっとわかった、清正、『幽幻道士』(1986年 台湾)の「親方」に似てるんだって、ゼッタイ!! まぁ、こんなもん共感なんていりませんけどね……
 そう思いだしたら、いつ清正が、あのグレートバンボロキョンシーを凌ぐ史上最強の「清正キョンシー」になって、テンテン率いる特殊霊魂チームと闘うのかと、気が気でなくなってきてしまいました……おやかたー!!

●結果的には官兵衛の意向の先取りをしてくれたということにはなるのですが、長政が官兵衛からではなく、先輩の清正・正則コンビから城井討伐の内命を聞いて独断で決起した、というこの筋は……つまり、鎮房を暗殺したのは官兵衛ではないという、お決まりの「大河ドラマの主人公はクリーンに!」対応なのか?
 う~ん、苦しい脚色のような気がするんだけどなぁ。それじゃあ、冒頭でおやじの事前了解を得なかったがためにあんなにさんざんな目に遭った長政が、あれからまったく成長してないってことになるんじゃないの?
 やっぱり、これは順当に、あの官兵衛・隆景・ AKB・長政の4者合議の席の段階で、「和睦した後でタイミングをみはからって……やっちゃいましょ。」ってことまで決まっちゃってたんじゃない? それで官兵衛は鎮房処断をあえて長政に任せたんでしょう。戦国乱世なんて、そんなもんよね。

○だいたい流れはこうなるとわかっていても、やっぱり今回のラスト5分間における緊張感はハンパないものがありましたねぇ! いやぁこれは、ひとえに長政を演じる松坂桃李くんの殺気に満ちた沈黙の恐ろしさと、それをがっきと受けとめる村田雄浩さんの演技力のたまものなのでしょう。おもしろかったなぁ~!! 桃李くんのまん丸な目が、こんなに恐ろしい狂気をたたえようとは。
 長政もそうなんですが、抜刀するきっかけになっていたらしい「肴を。」の言葉を聞いても一人だけ全く動じなかった黒田一成も、このエピソードのうちにだいぶ成長したんでしょうねぇ。失敗は成長の母、なんだねぇ。

○ただ、鎮房サイドも、「いつかこうなるんじゃないかとは思ってたんだよなぁ~。」と覚悟はしていたんじゃないのでしょうか。だって、相手は黒田家だけじゃないんだもんねぇ。和睦っていっても、圧倒的な戦力差を受けての滅亡回避しかできなかったんですから。
 実際の鎮房は、ドラマほど動揺もせずに、「今日がその日ですか。今まで大変お世話になり申した。」とか言って、泰然と最期を迎えたんじゃないのでしょうか。そっちのほうの鎮房を演じる村田さんも観てみたかったなぁ!

 ところで余談ですが、ドラマではまったく触れられなかったものの、史実ではこの鎮房暗殺の段階でも、鎮房の父である戦国大名・宇都宮長房(ながふさ 知力55、統率力63)はおん歳84でご存命だったんですって。じじい生きておったか!!
 まぁ、84歳だし、政務もそうとう若いころから息子の鎮房に譲っていたらしいんで、武将としての存在感はほとんどなかったのでしょうが……完全無視は、ないよねぇ。


結論、「第38回がとてもたのしみです。」

 今回は冒頭に壮絶な奇襲戦、クライマックスに緊迫感あふれる謀殺アクションと、いかにも戦国ものらしい見どころ満載なエピソードとなったわけなのですが、「成長」と呼ぶにはちと禍々しすぎる黒田長政の「変貌」と、それをみごとに演じきった俳優・松坂桃李のポテンシャルが堪能できた衝撃の回になりましたね。勇名をはせる戦国武将も、所詮は心に闇を持つ殺人者、ということなのか……
 グレるなんていう生半可なレベルではない溝の深さで、父とは別の道を歩んでいく長政の今後に注目していきましょう! そして、その闇につけこむルビー家康の、細すぎる右目も要チェックやでぇ!!
コメント
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