長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

在りし日の名曲アルバム  鬼束ちひろ『 Cage 』

2014年09月21日 22時58分43秒 | すきなひとたち
 お~たむ~ん。みなさまどうもこんばんは、そうだいでございます~。日曜日の今日も一日、お疲れさまでした!
 いや~、千葉は実に秋めいてまいりました。もう、どんなに晴れても暑いってことはないやね。ほんとに気持ちいい気温だったし、第一、空気のにおいが完全に秋ですもんね。「あぁ、また夏がすぎていったんだな。」と感じると、自然に感傷的な気分にひたってしまいます。

 そうですか、道重リーダーは今回の秋ツアーが終了したら、しばらくのあいだ休養に入られるんですか。
 モーニング娘。の卒業後に芸能界から距離をおくという去就を聞くと、言うまでもなく私が毎朝その御真影に向かって手を合わせている「かのお方」のことが即座に胸に浮かんできてしまうのですが、すべてが済んだ今年の冬、どこかで必ず会うと思われるお2人は、いったいどんな話に花を咲かせるんでしょうか。私なんかは、まるで『平家物語』のエピローグ『大原御幸』みたいな諸行無常感がただよう風景しか想像がつかないんですが、なんだかんだ言ってもお2人とも20代なんですからね! 恐ろしい話ですよね~、アイドル栄枯盛衰。
 結局、今年9月の10・11日はどっちも行けなかったからね……30日の日本武道館はほんとに楽しみにしてますよ! 第12期!!

 そういえば、昨日の夜に疲れた足をひきずって帰宅したら、うちのポストに非常にそっけないハガキで「資格試験の一次試験通過&実技試験受験票」がとどいてました。
 別に、開いたらオルゴールが鳴るとかいうオマケはいらないんだけどよう……3年目にしてやっと手に入れたチケットだからもっとこうさぁ……いえいえ、別にこれで資格の免許がもらえることが確定したというわけでもありませんので、実技試験合格に向けて、浮かれずに気を引き締めてがんばりたいと存じますです、ハイ!! あ~よかった。


鬼束ちひろ『 Cage 』(2000年11月リリース 東芝EMI)

 『 Cage(ケージ)』は、鬼束ちひろ(当時20歳)の3rdシングル。作詞・作曲は鬼束ちひろ、タイトル曲『 Cage 』の編曲は土屋望と羽毛田丈史の共同、カップリング曲『 Ash on this road 』の編曲は羽毛田丈史。
 もともとは2000年7月に2ndシングルとしてリリースする予定であったが、TVドラマ『トリック』の主題歌として『月光』が起用されるとそちらの方が話題となったため、急遽差し替えて『月光』がリリースされることとなり、いったん発売が中止となっていた。その際のカップリング曲は『 My Fragile Life 』(2001年リリースの1stアルバム『インソムニア』収録曲『螺旋』の初期音源)であった。
 オリコンウィークリーチャートは最高15位を記録した。

収録曲
1、『 Cage 』(4分31秒)
 制作当初は前作『月光』と同様にバラード曲であったが、プロデューサーの土屋望の提案でアップテンポにしたという。作曲のモチーフとなったのは、鬼束の自宅に電飾を施してインテリアとして飾っていた鳥かご。

2、『 Ash on this road 』(4分16秒)
 鬼束のキャリアの中で初めて発表されたカントリーロックナンバーであり、この楽曲がのちの『 We can go 』(『インソムニア』収録曲)や『 LITTLE BEAT RIFLE 』(2001年リリース 5thシングル)に続くきっかけとなった。この曲はいまだにアルバムに収録されたことがない(2014年9月時点)。


 これは、かのオバケ名曲『月光』に「どけや!」と押しのけられて3rdシングルにあまんじてしまったという、デビューシングル『シャイン』にも匹敵する不遇の背景を持つシングルだそうなのですが、うん、まぁそうなることも、むべなるかな。

 まずこのシングルの特徴として「2曲とも曲調はアップテンポ」という点があるのですが、聴いてみるとアラびっくり、印象が今までの鬼束シングルの流れである「1曲目で重くダウンし、2曲目でちょいアップ」というものとほとんどいっしょなんですね。
 つまり、プロデューサーの意向でアップテンポになろうがどうしようが、歌詞にいつものように「トゲ」「ひび」「すり傷」「ひとりにしないで」という、地味であるがゆえにズンとくる単語がちりばめられて、おまけにサビの部分では、

「神さま あなたがいるなら 私を遠くへ逃がしてください」

 という致命的にせつない言葉が叫ばれるこの『 Cage 』が、明るい曲になるわけがなかった、ということなんですね。
 だいたいタイトルが「鳥かご」なんですからね……解放感を期待するほうがどうかしています。

 『月光』であそこまで明確に像を得ていた「もういない他者」というものがきれいさっぱり影も形もなくなって、再び自分を閉塞させている環境だけになっている作品世界が、気持ちいいくらいに『シャイン』に戻っているわけなんですが、確かにこれは、『シャイン』と『 Cage 』の間に『月光』を入れといて大正解だったのかもしれません。
 歌詞を読んでいけば、『シャイン』や『 Cage 』のように鬱屈した状況を打破したいマグマが煮えたぎる時期があり、そこから主人公を救ってくれた「誰か」との出逢いの日々があり、そしてやがて訪れた別れに慟哭する『月光』のひとときがある。そういった感じで、やっぱり『月光』の「いったいどうしたの?」という突然変異感を引き立てる役割だけ、と感じずにはいられない『 Cage 』なのでした。『シャイン』とちがって、こちらはピアノオンリーバージョンで転生するという機会も与えられず……あぁ不遇!

 その一方で、カップリングの『 Ash on this road 』は非常に気楽に聴けるカントリー調になっていて、唄うご本人の肩の力も適度にぬけているようで、格好の耳休めな感じがあります。
 それに加えて、こちらの歌詞には多少『 Cage 』と同じように閉塞した境遇にありながらも、

「なくなりそうになるあたしを あなただけはしっかり見つけていて」

 というように、自分を救ってくれる存在が近くにいることを、少なくとも『 Cage 』の「神さま」よりは明確につかんでいる、という希望が見えているんですね。よかったね~。
 ただ、聴いていくと絶望の中から希望がひらけていく、というこの2曲の流れは非常にけっこうなんですが、そうなってくると、それぞれたかだか4分強のうちに絶望したり気楽になったりするこの情緒不安定ぶりは、まさに聴く者をぐわんぐわん揺さぶりたおして、最終的には、

「なんなんだ、この娘は……まぁ、若いうちにそういう時期があるのは、よくわかるけど。」

 という疲労感を残して嵐のように去っていくという効果をもたらすのではないのでしょうか。う~む、これぞ鬼束ワールドの醍醐味……なのか?
 ある意味、『月光』以上に鬼束さんらしいシングルともいえるのではないのでしょうか、『 Cage 』。

 実際、鬼束さんという素材の扱い方に苦慮しているという舞台裏が露骨に作品に出てしまっている土屋望プロデュース時代はこのシングルが最後になり、この後は、比較的安定して「鬼束ちひろは、こうですよ!」というスタイルを商品化し続けた羽毛田丈史ソロプロデュース時代が、次作から始まっていくことになります。

 さぁ、鬱屈する天才の未来は、果たしてどのような調べをつむぎだしていくのでありましょうか。静寂か? 狂乱か? ま、どっちもか。
コメント
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