ヨシムラ・サイエンス・ラボ

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パイプオルガン×錫合金

2019年04月21日 | 身近な金属製品
伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。

先日、パリ中心部にあるノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生したことは、皆さんもご承知の通りと思います。
その時のテレビ報道で、パイプオルガン専門家がノートルダム大聖堂のパイプオルガンの火災による損傷について解説しており、
「パイプオルガンのパイプは、熱に弱く、ライターで加熱するくらいの熱でパイプは溶けてしまう。だから、今回の火災によるパイプオルガンの損傷が心配だ。」と話していました。

パイプオルガンのパイプがライターレベルの熱で溶ける!? 早速、パイプオルガンのパイプ材質について調べてみました。

その結果、パイプオルガンのパイプは、電子回路を接合する「はんだ」と同じ合金の錫と鉛を配合した錫鉛合金が用いられていました。
確かに、錫鉛合金であれば、融点も低いですね。

パイプオルガンのパイプ用錫鉛合金はオルガンメタルとも呼ばれ、音色によって錫と鉛の比率によって、錫:鉛が52:48はやわらかい音、錫:鉛が70:30はよく響く音が鳴るようですよ。


情報参考先
・オーケストラの楽器たち(アグネ技術センター)
・楽器解体全書(YAMAHA ホームページ)

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