ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
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たい焼き × 鋳バリ

2020年10月05日 | サイエンスカフェ
伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。

前回のブログで、高岡市美術館で展示されている、人間国宝の大澤氏の鋳造作品を紹介しました。
その中で、「鋳バリ」についてお話しましたが、そのご説明が不十分だったので、本日は改めて「鋳バリ」について解説します。

「鋳バリ」とは、
鋳物において鋳型と鋳型の隙間に流出した溶けた金属がはみ出して固まった薄い余分な出っ張りのことで、単に「バリ」とも呼びます。

「バリ」を一番イメージしやすい身近な物は、「たい焼き」ですかね。
焼きあがったたい焼きの周囲の部分には、皮(小麦粉)が薄く焼けたところがありますが、「バリ」とはこの部分のことです。
たい焼きの場合、この「バリ」は食べるとパリッとしていて香ばしくてほのかに甘くて美味しいですが、
一般的に鋳造の場合は、この「バリ」は不良部分で除去されています。
ちなみに、金属を溶かして固める鋳造に限らず、塑性加工や切削加工でも「バリ」が発生することがあります。

私にとって「バリ」はじゃまもので発生させないといった視点しかなかったので、
この「バリ」を活かした大澤氏の作品は新たな発想の観点で参考になりました。

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