美しすぎる 罪なバラ

つぼみはオレンジレッドで、開花すると少しオレンジがかった薄いサーモンピンク
の半八重咲きになるバラ、クリュタイムネーストラー Clytemnestra (Hybrid Musk)。　
強い香りがあるそうで、ほぼ四季咲きです。

Clytemnestra (または Clytaemnestra) は古代ギリシャの絶世の美女ヘレネーの姉で、
自身も素晴らしい美人であり、相思相愛の夫タンタロスがありました。しかし夫の
従兄弟でミケーネ (またはアルゴン) の王アガメムノーンがタンタロスから美貌の
彼女を奪い取ってしまいます。

その後、王 (日本ではアガムメノンとも) は、パリスに誘拐されたヘレネーを取り返す
ためトロイア戦争を起こし、ギリシア軍の総大将になりました。
アイスキュロスの書いた悲劇オレステイア （The Oresteia） では、クリュタイムネー
ストラーはトロイア遠征にあたり最愛の娘イーピゲネイアを人身御供にした夫を恨ん
で、トロイアを征服しその王女を連れて凱旋した夫アガメムノーンを殺し、後にわが子
オレステースに父の仇として復讐されます。
バラはそうした悲劇を感じさせない、優しい美しさにあふれています。美しすぎるのは
罪だということかもしれません。

なおホメロスの叙事詩に詠われたトロイア戦争は創作とされていましたが、シュリーマン
のトロイア発掘とその後の研究で事実に基づくものと確認されました。

また英語発音は 「クライテムネストラ」 ですが、日本では 「クリュテムネストラ」
(草ぶえの丘のプレート)、 また 「クリテムネストラ」 とも表記しています。カタカナ
表記は難しいですね。

作出者　　イギリス　　ペンバートン　Rev. Joseph Hardwick Pemberton 　1915年。
　　　　　　　(千葉県佐倉市　　佐倉草ぶえの丘　2013年10月31日、５月22日)


　　　　　　　　　　　美しすぎる罪の翳りも見せぬバラ　　rocky
　

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上３枚が佐倉草ぶえの丘　2013年10月31日。
下は　同 ５月22日。