心を用(もち)いると書いて「用心」。
何かに心をくばる、気をつける、注意・警戒を怠らない事だ。
これから、特に2つの用心が肝要である。
まずは「火の用心」。
(画像:津幡町消防本部前)
俗にいう“江戸三大大火”。
明暦の大火、目黒行人坂の火災、丙寅の火災は、いずれも冬季に起こっている。
中でも明暦の大火は、江戸の町をほとんど焦土と化す大災害になった。
一件の火災としては、日本史上、焼損面積最大、死者数最高。
363年が経つ現在も、その記録は破られていない。
もちろん、当時と今では事情が違っているが、
消防庁が季節ごとの出火件数をまとめたデータによれば、
12~2月に年間の出火件数のうち3割近くが発生。
空気が乾燥する冬、湿度が低いとモノは燃えやすい。
寒くなるにつれ暖房器具を使う機会が増えて、火のあるところに煙が立つ。
分かりやすい道理だ。
明日(2020/11/15)までが「秋の全国火災予防運動」期間中。
街角の啓蒙ポスターでは「森七菜(もり・なな)」ちゃんが、注意を促している。
<その火事を 防ぐあなたに 金メダル>
標語は時世のアヤで空振りだが、可愛らしい微笑みに免じて良しとしたい。
防火への注意は、これからが本番である。
続いては「熊用心」。
(画像:津幡町役場内の見回り警告マグネットステッカー)
全国各地でクマの出没が増えている。
国の集計では2020年度上半期で1万3670件に上る。
2019年度は1万8314件。
2018年度が1万2809件。
最多記録更新中だ。
石川県は10月にクマに襲われた負傷者が10人。
商業施設に侵入したり、市役所がある中心街、学校の中にまで出没。
全国版ニュースにもなったから、ご覧になった方もいるのではないだろうか。
わが津幡町内でも目撃情報が出ている。
かつて、人家集落周辺の「里山」と呼ばれる山林は、
生活資材や製炭の薪をとるため定期的に伐採され、熊の生息地には向いていなかった。
しかし、昭和40年代後半を境に状況が変化。
燃料はガスや石油へ転換し、建築用の木材は海外から輸入されるように。
放置された里山には木が生い茂り、緩衝地帯ではなくなった。
熊は人と隣り合わせに暮らし、交わる不幸が増えてきているのだ。
お互いにコロナと合わせて、ご用心。