今回は後掲イラストの説明から入ってみたい。
モチーフは旧ソ連時代の「禁酒ポスター」。
オリジナルも同じ構図。
スーツ姿の男性が、差し出されたウォッカを手で制するデザイン。
標語の「HET!(ニエット)」は「酒は結構です!」
アルコールを絶つ強い意志を表している。
ちなみに、ソ連市民は生活や寿命に影響を及ぼす程の酒好きだったとか。
見かねた政府が、何度か大規模な節酒キャンペーンを張るも、
ことごとく失敗に終わったそうだ。
そのポスターを基にした拙作は、
突き付けられたトカレフを牽制するウクライナ女性がメイン。
身に着けた民族衣装「ソロチカ」は、独立性を。
手にした鍔のない片刃のサーベル、
コサックの伝統武器「シャシュカ」は、抵抗を表してみた。
ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第百九十五弾「HET!~戦いはいらない!」
先月末(2022/01/30)「キエフの冬」と題した記事を投稿した。
(※タイトルからリンク有)
緊迫の度合いを高めるウクライナ情勢と、
半世紀前の政治運動「プラハの春」について書いてみたものだ。
--- それからちょうど3週間。
ウクライナを取り巻く空気はキナ臭さを弥増している。
ドイツ、フランス、日本も、在住自国民へ避難勧告。
アメリカ大統領は、ロシアの指導者は決断したと明言。
一方、ロシア側は、公式に越境進軍を否定。
やはりブラフなのか、それとも本気なのか。
X-DAYは「北京オリパラ」閉幕後が怪しい。
~等々、様々な憶測が飛び交っている。
個人的には、軍事侵攻は「ナシ」かなと思う。
これだけ注目を集める中で強行すれば、
物心両面で払う犠牲は余りにも大きい。
また、ロシアにエネルギーを依存するヨーロッパの国々も、
戦乱を歓迎してはいないはずだ。
危機を煽る欧米側の発言。
軍を退かないロシア側の挑発。
共に落としどころを作るための腹の探り合いに見える。
しかし、国際政治は百鬼夜行。
小規模衝突などを皮切りにした偶発的な「アリ」。
批判やリスクを顧みない「アリ」の可能性は打ち消せない。
どう転ぶかを見極めるのは難しいのだ。
もちろん当のウクライナは「ナシ」を望んで止まないだろう。