年に一度の東京出張へ出かけた一昨日、用事は日帰りだが延泊。
折よく開催日程が重なったお陰で、江戸川競艇場へ初訪問できた。
全国に24ある競艇場の中で「個性的」と言われるそこは、
噂に違わず面白いトコロだった。
まずは正面入り口に白と黒の大魔神がお出迎え。
著作権を所有する角川映画の許可を得て、2008年5月、設定と同じサイズを再現。
台座を含めると5・7メートルにも達する。
これはいかなる意図か?
場内に足を踏み入れて分かった気がした。
・・・どうやら、昭和レトロ演出らしい。
「唸る轟音!飛び散る水飛沫!痛快無比の水上活劇!」という看板のコピーも勇ましい。
立ち上げ当時のポスターでも再現したのかと思ったが、
投票所に並ぶ映画看板を見て、同一人物の手描きだと察す。
作者は「久保板観(くぼ・ばんかん)」氏。
東京都・青梅市出身。
「最後の映画看板師」と呼ばれ、最近まで筆を握っていたが、
一昨年2月4日他界、享年77。
ある方は、過ぎ去った記憶が蘇り、
ある方は、古き良き時代にタイムスリップ。
場所が場所だけに「江戸川競艇」が産声を上げた、
昭和30年(1955年)当時を想起させるかもしれない。
さて「江戸川競艇場」は、全国で唯一、河川(中川)を利用した競走水面。
河口近くに位置し、水質は海水。
年中風の影響を受けやすく、レース中止も珍しくない。
また、川の流れの他、河口に近いことから上げ潮や下げ潮による水位の変化も加わり、
「屈指の難水面」として知られている。
対岸には大型映像装置がない。
川面に沿って走る高速道路により、設置が叶わないためだ。
堤防自体が階段状のスタンドになっていて、
水面際の観戦と舟券投票のためには、堤防を越えなければならない。
なかなかいい運動になる。
観戦スタンドには「妖怪道五十三次」。
こちらは「歌川広重」の浮世絵「東海道五十三次」と「水木しげる」氏のコラボ作だ。
やはり昭和レトロの趣が漂う。
じっくりと観賞したかったのだが、当日はあいにくのお天気。
霙混じりの雨が降り止まず、凍えるほど寒く断念した。
そんな中で元気いっぱいだったのは、参戦している女子レーサー達と、
(当節は「オールレディース江戸川女王決定戦競走」)
カモメ達だ。
上記画像中央の空間を飛ぶ様子が、お分かりになるだろうか?
海の傍という事もあり、終始何羽も姿を見かけた。
妙に堂々としている。
近付いてカメラを向けても逃げる気配がない。
きっと人から食べ物をもらうのも珍しくないんだろうなと思っていたら案の定。
売店には「エサやり禁止」のお知らせが掲示。
それに従い、場内で江戸川名物「アジフライ(170円)」を頂いた。
アツアツ、サクサクで旨し。
イベントの一環なのか、入場の際に配布した「500円分場内利用券」で購入。
つまり、タダで食べられた。
ご馳走様でした。
他にも、雨の日は「レストラン笑和」の全メニューを500円均一販売。
来場者を慮ったありがたいサービスに感激した。
さて、レースである。
昨日は北寄りのホーム向かい風がやや強く、順目の下げ潮が流入。
1Rから4Rまでは安定板が装着された。
序盤は1号艇が4連敗。
5R以降はインが8連勝。
まさに潮目が変わったかのような展開。
2号艇が苦戦を強いられ、着外に消えるケースが目立った。
僕の舟券は当たりハズレを繰り返して一進一退。
とりあえずプラス収支だったが、終盤の高配当をモノに出来なかったのが残念至極。
しかし場内同様、レースも大変楽しめた。
ピットと観戦場所の近さも、江戸川競艇場の個性の一つ。
わずか10メートルに満たない距離で、選手たちのピットアウト・インが見学できた。
展示航走を終えて戻ってきた舟は、ピットイン直前でクルリと反転。
バックで所定の位置へ。
レーサーにすれば基本の操船だろうが、目の当たりにして感心する。
辺りにファンも集まり、ご贔屓へ励ましの声援を送っていた。
また、レースを終えて戻ってきた舟は、クレーンで吊り上げられて格納。
こんな仕組みは、江戸川にしかないかもしれない。
そして、コレも江戸川ならでは。
レースの合間に、競争水面の中を一般の舟が通行するのだ。
他にはまずない。
通過舟が抜けるまで、その舟が起こす波が消えるまで、
レース開始時間を遅らせるのである。
「江戸川競艇場」は、難水面で個性的。
ファンファーストの素晴らしい所だった。
さあ本日(2020年1月19日)は準優勝戦の開催日。
そろそろ「ミニボートピア津幡」で、昨日の続きを楽しむとしよう。
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