つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

耐性と知恵。

2022年01月03日 13時33分33秒 | 自然
                     
今投稿は正月三日。
北陸・津幡町に目立った降雪はない。
このまま小康状態が続けば誠に幸いだが、未来は分からない。
              
--- さて、僕には冬になる度に感心することがある。
「驚嘆」と言っていいかもしれないそれは「植物の強さ」だ。



幹線沿いに植えられた背の低い街路樹は、散々な目に合う。
空からは雪と寒気。
路面からは自動車の飛沫(しぶき)。
何度も同じ受難が続くうち、凍てついた表面に立派な氷柱(つらら)ができる。
それでも、植物は生きている。

彼らは「細胞外凍結」で身を守る。
晩秋から低温に馴らしてきたお陰で、糖類やアミノ酸などが溶け込んだ細胞の中は、
乱暴に言えば「濃い」状態。
ゆえに、温度が下がり体内の水分が凍り始める時、
まず細胞間のすき間や、細胞壁など、細胞の外側に氷の結晶ができる。
やがて、細胞内の水分も外にできた氷の結晶へと移動してゆく。
細胞内は「脱水」状態となり、ますます凍りにくくなる。
植物の環境の変化に対し適応する能力--- 「耐性」には舌を巻くばかりだ。



しかし、脅威は他にもある。
水分量の多い北陸の雪は、重い。
上掲画像、街路樹の枝が垂れ下がっているのが見て取れるだろうか。
このまま降り積もれば、やがて限界を超え、ポッキリ折れてしまう。
その被害を防ぐのが、人の「知恵」。
雪吊りだ。



木よりもやや高い心柱を立て、その先端から張り出した枝へ放射状に縄を張る。
雪の重みから枝を守る工夫だ。
半開きの傘ですっぽりと覆うようなシルエットは、冬の風物詩である。



足元に目を移すと、階段に滑り止めの「筵(むしろ)」。
水を含んだ雪は足を取られやすく、濡れて凍結するかもしれない。
転倒の危険を緩和するための敷物だ。
藁製だからワンシーズン使えばボロボロ。
春になれば、肥料や燃料に転用。
これもまた、雪国の知恵なのである。
                

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2 コメント

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Unknown (りくすけ)
2022-01-07 16:51:23
或春の日暮 様へ

はじめまして。
当ブログ主宰「りくすけ」と申します。
コメント、ありがとうございます。
度々ご訪問いただいているとの事。
大変嬉しく感じ、励みになります。
今後もどうかよしなに。
時間と都合が許せば覗きにきてやって
下さいませ。
こちらも貴ブログを拝読いたします。
あ、ちなみにビートルズナンバーで
個人的に一番好きなのは
「FOOL ON THE HILL」です。

では、また。
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AbbeyRoad88 (或春の日暮)
2022-01-07 06:52:50
自然の強さと人間の知恵。素敵な考察だなぁと思いました。
つれづれカテゴリーで、よく読ませて頂いていましたが、私、少しカテゴリーを変えてみました。またよろしくお願い致します。
(そうそう、私、学生時代はこういう雪国で生活してました)
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