石破茂首相は日米安全保障体制を変質させる持論の数々を訴えてきた。政権に就き、そのまま実現を目指すのか軌道修正するのか。明確に語り、国会で議論を重ね、有権者の判断を仰ぐべきだ。
まずは、在日米軍の特権的地位を定めた日米地位協定の改定だ。米兵の犯罪や米軍による事故が起きても、日本側が十分、捜査できない背景に、協定の不平等性があると指摘されてきた。在日米軍専用施設がある自治体や周辺住民が改定を強く求めながら、政府が応じてこなかった経緯がある。首相が本気で改定に取り組むのなら支持したい。しかし、首相は2日、バイデン米大統領と電話会談した際、協定改定には言及しなかった。3日のエマニュエル駐日米大使との面会でも、議題になったとは伝わってこない。改定実現に向けた好機であるにもかかわらず、提起すらしないのは理解に苦しむ。長年訴えてきた持論を就任早々棚上げするなら、米軍施設を抱える自治体や住民の期待を裏切ることになる。米側には、容疑を否認すれば勾留が続く「人質司法」や死刑制度など日本の司法制度の後進性への懸念があり、改定の障壁にもなっている。首相は司法の在り方も含めて検討し、改定の具体的な道筋を引き続き探るよう求める。首相は安保条約改定に言及し、自衛隊の訓練基地を米国内に置くべきだとも主張する。日本は米国防衛の義務は負わないと説明するが、米側には理解されまい。米国との核共有や核持ち込みは日本が国是としてきた非核三原則を覆す。断じて認められない。加盟国に相互防衛の義務を課す北大西洋条約機構(NATO)のアジア版構想は、集団的自衛権の行使の全面的容認が前提で許容できない。中国を仮想敵とする枠組みにアジア各国が同調するのか。一連の持論は地位協定改定を除き、憲法9条との整合性が問われる。首相の一存で強行していいわけはない。27日の衆院選で有権者が政権選択の判断材料とするためにも、4日の所信表明演説と続く論戦で説明を尽くすよう求める。
石破茂首相は5日、石川県能登半島を訪問した。1月の地震、9月の記録的豪雨と続けて被害に遭った被災地を視察した。復旧・復興状況を確認し、今後の支援施策に反映させる考えだ。首相就任後、地方視察は初めて。立憲民主党の野田佳彦代表も、輪島市の豪雨被災地などを視察するため石川入りした。
首相は4日、能登地域の被災地対応に万全を期すとして、10月中旬をめどに追加の予備費措置を講じるよう関係閣僚に指示した。これに対し、野田氏は予備費でなく2024年度補正予算を編成して対応すべきだと訴えている。
首相は輪島、珠洲両市で、地震による火災現場の他、豪雨によって浸水した仮設住宅などを訪ねる。避難所で被災者との意見交換も行う予定。
首相は4日の所信表明演説で「人命最優先の防災立国の構築」を掲げ、内閣府防災担当を予算・人員両面で抜本的に強化し、防災庁設置に向けて準備を進めると強調した。「防災庁設置準備担当」を新設し、側近の赤沢亮正経済再生担当相に兼務させた。
Live!◆辺野古ブルーアクション新宿スタンディング@新宿駅南口 2024/10/05
10/5(日) 10:50~ ライブ(尾形)【能登・輪島市から生中継/震災から9ヶ月、豪雨の追いうち/石破首相は何を見るのか?】
報道ヨミトキFRIDAY #173 石破内閣誕生SP|石破政権発足も裏金議員公認で多くの批判の声が。浜田敬子さんに加えて青木理さんにもご参加いただき新政権の陣容と総選挙について語る(10/4)