最初一人だったんですよ、僕。 今、14議席なんですね、国会に。 山本太郎とおしゃべり会 熊谷市
ロシアによるウクライナ侵攻から3年。大量の核兵器を保有する軍事大国が国連憲章に違反し、主権国家である隣国を蹂躙(じゅうりん)し続ける事態が続く。プーチン大統領は直ちに無条件で撤退すべきだ。
ウクライナは今、ソ連時代の1930年代初頭のホロドモールと呼ばれる人為的な大飢饉(ききん)以来の人道的危機にある。軍関係者と民間人合わせて6万人が死亡。国土の約2割が占領されたままで、約700万人が避難民として国外への脱出を余儀なくされた。和平が急務であることは言をまたない。
今、最も懸念されるのは最大の支援国である米国の方針転換だ。トランプ大統領はプーチン氏を一切批判せず、一方、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりしている。親ロシア姿勢は異様ですらある。
民主的に選出されたゼレンスキー氏は今も過半数の支持がある。トランプ氏がプーチン氏の反ウクライナプロパガンダの影響を受けているのなら事態は深刻だ。
停戦に向けた米ロ交渉は、実績づくりを急ぐトランプ氏の足元を見透かしたロシアの主導で進んでいるように映る。
しかし、ウクライナと欧州の参加なくして停戦は不可能だ。
ロシアの狙いは領土拡大ではなく、ウクライナ全土を影響圏に置くことであり、和平のためには欧州が関与する形でウクライナの安全が保障されなければならない。欧州を排除して一時停戦が合意に至っても、ロシアは軍を強化して再び侵攻する可能性がある。
2015年にウクライナ東部紛争で停戦したミンスク合意の7年後、ロシアは全面侵攻した。同じ失敗を二度と繰り返してはならない。独裁者への宥和(ゆうわ)政策は逆効果だ。国際社会はナチス・ドイツの侵略戦争を想起すべきである。
力による現状変更を認めれば冷戦後の国際秩序は崩壊する。日本政府は欧州などと歩調を合わせ、ウクライナ和平を公正なものへと導く責務がある。この侵略戦争をプーチン氏の「勝利宣言」で終わらせてはならない。
刑事裁判の確定判決を審理し直す「再審制度」の見直しが急務となっている。鈴木馨祐法相は法制審議会に諮問する方針を表明したが、結論を得るまでに年単位の時間がかかる。冤罪(えんざい)被害者に救済の道を開くためにも、議員立法による法改正を急ぐべきだ。
「開かずの扉」と言われる現行の再審制度では、有罪が確定した人が再審で無罪と認められる例は少なく、日弁連が支援した事件では過去に19件しかない。
昨年、1966年の静岡県清水市(現静岡市)一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌(はかまたいわお)さんが再審無罪となった。逮捕から58年かかり、国に命を奪われかねなかった。著しい人権侵害だ。
再審に関する刑事訴訟法の規定は、大正時代からほぼ変わっていない。条文も少なく手続きが明文化されていないため、裁判官次第で審理に大きな差が生じる。
日弁連は長年、見直しを求めてきたが、国は「法的安定性を害する」として応じてこなかった。これから法制審に諮問するというのでは、対応が遅すぎる。
見直しの論点は多岐にわたる。慎重な議論が必要だが、人権救済の観点からは優先順位の高い項目から実現を急ぐ必要がある。
まずは、証拠開示の制度化だ。検察が持つ膨大な証拠のうち、裁判所や弁護側に開示するのはごく一部に過ぎない。袴田さん無罪の決め手となった写真やネガフィルムも検察が長年開示を拒んだり、存在しないと説明してきた。同様の事態を招いてはならない。
再審の長期化を防ぐには、検察の不服申し立てを禁じるべきだ。現行制度では、再審に入るか否かを判断する再審請求審で裁判所が再審開始を決めても検察が反対できるため、袴田さんの再審は、開始決定から実際の開始まで9年を要した。検察は再審公判で有罪維持の立証ができ、控訴や上告も可能だ。再審開始に「待った」を掛ける必然性には乏しい。
さらに、手続きの公正さを保つには、過去に同じ事件の審理に関わった裁判官を再審に関与させない規定も必要になる。
冤罪に苦しむ例が埋もれていると考えるのが合理的だ。再審制度の早期見直しを目指す国会の議員連盟には370人以上が参加し、全議員の半数を超える。法制審の動きを待たず、議員が自ら改正法案を提出し、審議を急ぐべきだ。