「日本とNATOは絆を深めています」──。欧州訪問中、そう浮かれていた岸田首相は14日、政府専用機で羽田空港に帰国。16日からサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールの中東3カ国歴訪に出発する。
NATO首脳会議に出席してご機嫌だった岸田首相に“冷や水”を浴びせたのが、フランスのマクロン大統領だ。首脳会議が閉幕した12日、日本でのNATO連絡事務所の開設に改めて反対の意思を表明。「インド太平洋は、北大西洋地域ではない」と指摘し、「他の地域に施設を置くという考えに正当性を与えることはできない」と「ノン」を突き付けた。
まっとうなツッコミを入れたフランスから岸田政権が学ぶべきは、安全保障だけでない。健康保険証も参考にしたらどうか。
フランスの保険証は「ヴィタルカード」と呼ばれ、16歳以上の国民に発行される。カードには社会保障番号が振られており、被保険者の個人情報が記録されたICチップ付き。顔写真があってもなくても利用できる。
ヴィタルカードによって、患者は医療費の払い戻しを自動的に受けられ、医師は患者の同意の下、過去の治療や投薬、検査履歴にアクセスすることが可能。
また、患者はヴィタルカードを使って自身の電子カルテにアクセスし、医師に見られたくない情報を取捨選択することもできる。
この仕組みを日本に導入すれば、マイナンバーカードと保険証が一体化した「マイナ保険証」など必要ない。現行の保険証を廃止せず、ヴィタルカードのようにICチップと顔写真を載せれば、わざわざマイナカードに保険証の機能を持たせるムダはなくなる。患者と医師が受けられる“恩恵”はソックリでも、ヴィタルカードにはないマイナ保険証の危険性も解消可能だ。経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「個人情報保護の意識が高いフランスやドイツなどは、行政分野ごとに別の番号が使われる『セパレート型』です。一方、日本やアメリカ、韓国などは1つの番号にあらゆる情報が紐付いた『フラット型』です。アメリカでは個人番号の不正利用による、なりすましなどの被害額が年間5兆円に上ったこともある。こうした事態を受け、アメリカでは利用範囲を限定しようという動きになったのに対し、日本政府は周回遅れでマイナンバーの利用拡大に邁進しています。何でもかんでも個人情報を紐付ける危うさを理解しているとは到底、思えません」
マイナ保険証に、マクロンなら何と言うか。やっぱり「ノン」か。
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