今国会での解散を見送った岸田首相に逆風が吹き始めた。このところ上昇基調だった内閣支持率が軒並み下落に転じているのだ。
「支持率下落の大きな要因がマイナンバーカード問題です。次々とトラブルが報じられているのに、政府は現行の健康保険証を来年秋までに廃止してマイナカードに一本化する方針です。そのうえ運転免許証や母子手帳など、個人情報をなんでもかんでもマイナカードに集約しようとしている。あまりに拙速だし、国民の不安を無視したゴリ押しに批判が高まるのは当然です」(政治評論家・本澤二郎氏)
共同通信が17、18日に実施した全国電話世論調査では、一本化の延期や撤回を求める声が計72.1%あった。マイナカードの活用拡大に「不安」「ある程度不安」と答えた人も計71.6%に上った。内閣支持率は5月の前回調査から6.2ポイントも下落して40.8%だった。
FNNが17、18日に実施した6月世論調査でも、マイナカードの利用拡大に「不安を感じる」人は73.7%に達した。内閣支持率は前月調査から4.3ポイント減の46.1%で、3カ月ぶりに「不支持」が「支持」を上回った。
内閣改造でデジタル相交代、マイナ保険証一本化の延期や撤回を決断も
マイナカード問題はすぐには収束しそうになく、支持率は今後も下がり続ける可能性が高い。そのため、与党内から「年内に解散は打てない」「2024年9月の総裁選直前まで解散できないだろう」などという声が上がっているが、岸田首相には秘策があるという。
「夏の内閣改造で河野デジタル相を交代させると同時に、総理がマイナ保険証一本化の延期や撤回を決断する。これは大きな政策転換だから国民に信を問うと言って、9月の臨時国会冒頭に解散・総選挙に踏み切るプランです。安倍元総理が2014年に消費税10%への引き上げを1年半延期することを決め、その是非を争点に解散を打って大勝したケースを参考にしている。もともと政府は従来の保険証とマイナカードの選択制を想定していたので元に戻すだけで手間もかからない。責任は、マイナ保険証への完全移行をブチ上げて混乱を招いた河野大臣におっかぶせる。河野氏本人が『何らかの形で私に対する処分を』と言っていたくらいなので、誰も文句は言えません」(自民党閣僚経験者)
■内閣改造で一気呵成
「マイナカード問題で混乱が続いても、矢面に立たされるのは河野デジタル相だし、国会も閉じるので岸田総理は高みの見物です。むしろ、国民の不安と批判が高まるほど、方針撤回という“総理の決断”が評価され、支持率が上がる。その勢いで解散・総選挙になだれ込めば勝利は確実だし、総裁選のライバルである河野氏を潰すこともできて、総理にとっては一石二鳥なのです」(官邸関係者)
首相になってやりたいことが「人事」と答えた岸田首相は、今ごろ選挙向けに国民受けしそうな内閣の顔ぶれをあれこれ考えているのだろう。最近まったく出番がない「岸田ノート」に人事構想を書きつけながらニヤつく顔が目に浮かぶようだ。
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