裏金国会
首相人ごと 自民動揺
共産党、金権腐敗断つ論戦
自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金事件に国民の批判が高まるなか、通常国会が始まりました。通常国会は、施政方針演説の前に、岸田文雄首相が衆参予算委員会で裏金についての説明を求められる異例の事態に。日本共産党は、真相解明に後ろ向きな岸田首相、自民党の姿勢に真正面から切り込み、裏金づくりの真相解明と、金権腐敗政治解消のための論戦を序盤から展開しています。(国会取材団)
施政方針演説前に行われた、1月29日の衆参予算委員会の集中審議では岸田首相が裏金について何を語るのかが注目されました。
ところが、岸田首相はゼロ回答を連発。日本共産党の塩川鉄也衆院議員が、岸田派の政治資金パーティー券の購入人数や2018年以前の不記載の有無についてただしても、「精査中」「資料がない」などと答えをはぐらかしました。
岸田首相は30日の施政方針演説で「信頼」という言葉を連発し、「自民党は変わらなければならない」と語りましたが、言葉とは裏腹に、裏金の実態解明には触れず、人ごと感が漂います。
さらに、自民党議員が真相解明を求める野党を攻撃する場面も。
29日の参院予算委員会理事会では、自民党から野党議員が使うパネルに“裏金”という言葉を使わないよう要求。衆参本会議でも、日本共産党の志位和夫議長や田村智子委員長をはじめ野党議員が裏金問題を追及するたび、自民党議員からヤジが飛び、中には貧乏ゆすりをするなど動揺を隠せない議員もいました。
法律をつくる国会議員が違法行為を犯したにもかかわらず、岸田首相や自民党議員には自浄作用のかけらもありません。
これに対して、共産、立民、維新、国民4党の国対委員長は30日、自民党に対し、全所属議員を対象に裏金の有無や内容についてアンケート調査を行い、予算審議が始まる2月5日までに報告するよう要求。証人喚問や政治倫理審査会の開催も迫っています。
日本共産党の穀田恵二国対委員長は1月31日の会見で、裏金づくりに関与した議員が説明し、全容を明らかにする責任があるとし「うやむやにすることは許されない」と主張しました。
国会議員の資格が問われる以上、裏金の全容解明ができなければあらゆる政策を前に進められません。さらに金権腐敗政治解消のためには根源にある企業・団体献金の全面禁止が必要です。
動機は 使途は 解明が不可欠
訂正で幕引き あり得ぬ
自民党の裏金事件では、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者や国会議員3人、秘書らが起訴されました。安倍派は1日、2020年からの3年分で4億2726万円の不記載があったとして、政治資金収支報告書を訂正し、5年で6億8000万円近い「不記載」を認めました。
ところが、岸田首相は裏金の実態解明をまったく行っていません。
日本共産党の志位和夫議長は1日の衆院本会議で、「自民党内でシステム化していた裏金づくりの全容解明の意思があるのか」と追及。岸田首相は「不記載の実態把握に努める」と答弁。裏金の実態把握の意思をようやく示しました。
一方、同報告書の修正だけでは裏金の動機や使途もわかりません。
田村智子委員長は、翌2日の参院本会議で、「安倍派は、改選を迎える参院議員に(パーティー券の)売り上げ分を全額キックバックしていたと指摘されている。全容解明が不可欠だ」と迫りました。
裏金が選挙時に所属議員に配られたとすれば、その金の使い方によっては公職選挙法違反に当たる可能性もあり、政治資金収支報告書を修正するだけでは済みません。本会議後、会見した田村氏は「非常に重大な疑惑。訂正だけで幕を引くなんてことはあり得ない」と語気を強めました。
派閥パーティーで巨額の金を集め、所属議員に配っていたのは、岸田派も同じ。18~20年の3年間で3059万円のパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していませんでした。岸田派の22年の収入のうち8割はパーティー収入です。その多くが還流によって所属議員側に渡っています。同年の支出の64%が議員への寄付でした。派閥から議員個人への寄付であったとすれば、それ自体が違法なものです。
1月29日の衆院予算委員会で、塩川鉄也議員が「政治資金報告書に記載しなかった3059万円はどこにあったのか」と迫ると、岸田首相は「パーティー券収入は基本的にすべて銀行口座に入金しており、口座に存置されている」と釈明。塩川氏は「報告書に記載がなければ、裏金そのもの」と指摘しました。
山添拓政策委員長は同日の参院予算委で、「派閥はパーティー券を売りさばいて所属議員で山分けする集金システムにほかならない」と追及しました。
「派閥解消」 論点そらし
企業・団体献金全面禁止こそ
裏金事件が自民党を直撃するなか、岸田首相は突然、国民の批判をかわすため「派閥解消」を打ち出しました。
しかし、岸田首相が言う「派閥解消」が、裏金づくりの論点そらしに過ぎないことが早くも明らかになっています。
同党の政治刷新本部がとりまとめた「中間とりまとめ」は「派閥」を「政策集団」と呼び方を変えただけで、しかも、裏金事件の真相解明や企業・団体献金の全面禁止にも一切触れていません。
これまで自民党は、事実上の企業・団体献金である政治資金パーティーで“荒稼ぎ”をしてきました。岸田首相は2022年に1回の収入が1千万円を超える大規模なパーティーを6回開催。利益率は89%にのぼります。
金権腐敗を一掃するためには、企業・団体によるパーティー券購入を禁止するという大もとをただす改革が必要です。
志位議長は1日、衆院本会議の代表質問で、「全容解明にふたをしたまま、いくら『政治刷新』と言っても何の意味もない」と批判。1994年に細川護熙首相と自民党の河野洋平総裁の党首合意で、政党助成金制度の創設と引き換えに、企業・団体献金の禁止が合意されたが、約束が「ほご」にされているとして、企業・団体献金の禁止を求めました。
ところが、岸田首相は「政治改革」以前の70年の最高裁判決を持ち出して、企業・団体献金を正当化。30年前に決着がついている事実を示して迫った志位氏に対し、50年以上前の判例を持ち出して答える支離滅裂さです。
田村委員長は2日の参院本会議の代表質問で、「投票権を持たない企業の政治献金は、国民の参政権を侵害するものだ」と指摘しました。企業・団体献金を正当化する岸田首相の根拠は完全に崩れています。
政党から政治家個人に交付される「政策活動費」も、「使途の開示義務がない」などとされ、“ブラックボックス”となっており、禁止することが必要です。ところが、岸田首相は、衆参両院の本会議での各党代表質問で、「政策活動費」禁止について、「政治活動の自由とも密接に関わる問題だ」などとくり返し、背を向けました。
日本共産党は「企業・団体献金全面禁止法案」を提出。企業・団体によるパーティー券購入も含めて禁止するとともに、「政策活動費」の禁止措置を盛り込んでいます。
山添政策委員長は1月29日、参院予算委員会の集中審議で、自民党がこれまで受け取った政党助成金が総額4400億円超だと指摘。加えて企業・団体献金を受け取り続け、パーティー券で荒稼ぎし、巨額の裏金づくりまでシステム化してきたとして「国民に対する裏切りだ」と批判しました。
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