岸田首相や大臣の懐はポカポカ──。税収増の還元策が迷走する中、臨時国会が開会した20日に岸田内閣がサッサと提出したのが、閣僚給与の引き上げ法案だ。物価高に賃金が追いつかず、国民は悲鳴を上げている。ロクな物価対策を打たないくせに、自分たちの高給だけはさらに充実させるつもりだ。こんな究極のお手盛り法案を許していいのか。
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提出されたのは「特別職の職員の給与に関する法律」の改正案。今年の人事院勧告で「一般職」の国家公務員の給与が引き上げられるのに合わせ、「特別職」も上げるというものだ。
「今年の人事院勧告では、各省庁の局長など“指定職”の給与引き上げも盛り込まれました。従来から指定職見合いで“特別職”である閣僚の給与を上げることにしています。ただ、指定職の給与が上がれば、自動的に閣僚も引き上げられるわけではなく、都度、法案を提出します」(内閣人事局の担当者)
つまり、閣僚の給与が指定職と自動的に連動する仕組みは存在せず、引き上げる法案を出すか出さないかは、時の内閣の判断ということなのだ。人事院が公務員の給与引き上げを勧告するのと、内閣が自分たちの給与をアップさせる法案を提出するのとでは意味がまったく違う。
担当者は「従来通りの対応をしました」
労働者の実質賃金は17カ月連続のマイナスが続く。帝国データバンクの試算によると、今年度は、1世帯あたり月3700円もの食費を節約している。そんな中、高給取りである大臣の給与引き上げを見送る選択肢はなかったのか。
この点を問うと、「指定職の公務員の給与だけが上がると、指定職の給与が総理を上回るような事態も起こりかねない。そういうバランスを考慮して、従来通りの対応をしました」(前出の担当者)との回答だった。
立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)が言う。
「内閣人事局が前例に従ったり、給与体系のバランスに配慮するのは役人としてやむを得ないでしょう。しかし、この改正案は岸田内閣の責任で提出された閣法です。実質賃金のマイナスが続く中、首相の判断で今回は提出を見送る判断もできたはずです。数千円の加算がなくても、別に困ることはないでしょう。国民の目にどう映るのか、想像できなかったのか。あまりにセンスがありません」
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