「デジタル化は温かく優しい社会をつくるためのひとつの手段」──。
3日に鹿児島市内で行われた講演で、そう説明した河野太郎デジタル相。マイナ保険証を念頭に「安心して(マイナ)カードを持って、日頃から使ってもらえるとありがたい」と呼びかけた。南日本新聞朝刊(4日付)が報じた。
どの口が言うのか。河野大臣がゴリ押しする「デジタル化」は、温かくもなければ優しくもない。むしろ、高齢者や障害者などの社会的弱者に冷たい。マイナ保険証への移行、そして来秋に予定されている健康保険証の廃止が、どれほど混乱を来していることか。
厚労省は、介護保険や障害福祉のサービスを受けているマイナ保険証の保有者を「要配慮者」として、資格確認書との「2枚持ち」を認めている。ただし、要配慮者の全員が資格確認書を交付される想定かといえば、そうでもない。
高齢者や障害者に負担を強いる社会は温かく優しいか
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厚労省が先月24日の「社会保障審議会医療保険部会」で示した保険証廃止に伴うコスト削減効果の試算によれば、要配慮者のうち「半数」に資格確認書が交付されることが前提になっている。残り半数について資格確認書の交付は想定されていないが、立憲民主党の国対ヒアリングで厚労省は「試算と制度設計は分けて考える必要がある」と強弁していた。
国対ヒアリングに参加している山井和則衆院議員がこう言う。
「問題なのは、高齢者も障害者も、マイナ保険証と資格確認書はいずれも申請が原則という点です。身体の不自由な人にとって『原則申請』が強いられる社会は、『温かく優しい』と言えるでしょうか。そもそも、マイナ保険証と資格確認書の『2枚持ち』の可能性があること自体、デジタル化の趣旨からすれば、おかしな話です」
「厚労省は『当分の間』は『職権交付』を続けるとしていますが、具体的な期間はハッキリしていません」(山井議員)
高齢者や障害者に負担を強いて、何が「温かく優しい社会」だ。
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