沖縄県の玉城デニー知事が横浜市内で、本紙の単独インタビューに応じた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設に関して「参院選沖縄選挙区では辺野古反対の候補が当選した。それでも国は『辺野古が唯一』と言えば終わりだ。この国の民主主義とは何ぞやと、沖縄はずっと問い続けている」と述べ、民意をないがしろにしている政府を批判した。(村上一樹)
参院選後も政府が辺野古への新基地建設を強行する姿勢を示して
いることについて「なぜ辺野古なのかという説明責任を果たしていない。対話によってお互いに納得しながら対応していくのが本当の民主主義だ」と指摘。「対話を求める沖縄県民の思いを放置し、見て見ないふりをしている。日本の民主主義は、崖っぷちまで追いやられているのではないか」と危機感をあらわにした。
玉城氏は、1995年の米兵による少女暴行事件を受けて日米が96年に普天間返還に合意したことに触れて「沖縄の負担を減らすにはどうすればいいかを一番に考えて取り組んでいた方々がいた」と言及。普天間返還が進んでいないことには「『この国は民主主義国家なのか、沖縄県民も同じ日本国民なのか』と言わせないために何ができるのかを考えるのが政府の責任だ」と基地負担軽減を急ぐよう求めた。
◆「改憲より日米地位協定の改定を」
参院選で与党や日本維新の会などの改憲勢力が国会発議に必要な3分の2を維持し、岸田文雄首相が改憲発議に意欲を示していることに対しては「改憲しようとするなら、もっと直接的に県民の生活や地域に影響が出ている日米地位協定を改定すべきだ」と強調。米軍の法的な特権を認め、憲法の上にあるともいわれる地位協定の改定を優先するよう訴えた。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、政府・与党などから台湾有事への備えとして沖縄での防衛力強化を求める声が出ていることには「あおるばかりでなく、冷静に考えるべきだ。歴史を振り返ったときに、沖縄を二度と戦場にしてはならないと叫び続けなくてはいけない」と力を込めた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます