新型コロナ第8波の死者数は第7波の3倍のペース! 同じウイルス「BA.5」なのになぜ?
「第8波につながる可能性もある」──。新型コロナの感染急拡大を受け、加藤厚労相は9日、こう懸念を表明した。政府は「先手先手で取り組む」と危機感を強めているが、すでに後手に回っているかもしれない。第7波の感染拡大初期よりも死者数が深刻なのだ。
北海道では9日、新規感染者数が9545人に上り、2日連続で過去最多を更新。
大阪は8日、病床使用率が20%に達したとして、感染拡大や医療提供体制の逼迫状況を示す「大阪モデル」を、警戒を示す「黄色」に引き上げた。
一部地域に限らず、感染拡大は全国規模だ。全国の新規感染者数(1週間平均)は8日時点で6万789人。前週同曜日の約1.4倍に上った。第7波と同じペースで感染拡大した場合、「2週間後には前回(第7波)のピークを超える可能性がある」(加藤大臣)という。
新規感染者数に対する死者数はすでに、第7波よりも深刻だ。8日までの1週間で計428人、1日平均61.1人が亡くなっている。一方、第7波では、新規感染者が今と同程度だった感染拡大初期の死者数は1週間で計137人。1日平均約19.5人。つまり、第7波に比べ、現在の死者数は約3倍に上っているのだ。
■高齢者の移動が活発化
感染拡大の主流は第7波と同じBA.5である。ウイルス自体は強毒化していないはずなのに、なぜ現在の方が死者数が多いのか。昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)がこう言う。
「考えられる大きな要因は、感染防止対策の意識の低下でしょう。政府は水際対策などの制限緩和を進め、旅行支援といった経済振興策を推進しています。こうした動きに伴い、以前より広い世代においてコロナに対する警戒心が下がってきていると考えられます。いわゆる『コロナ疲れ』です。以前なら行動を自粛していた高齢者も制限緩和によって移動するようになり、感染しているのではないか」
4回目のワクチン接種が伸び悩んでいることも、死者増の要因だと考えられるという。
「感染対策の意識が低くなるにつれ、積極的にワクチン接種する人が減るのも無理はありません。政府は今後の感染拡大に備えて医療提供体制の拡充と、ワクチン接種をさらに促進していくことが重要です」(二木芳人氏)
感染者数が増えれば、重症者・死者数も相関する。死者を出さないためには、まずは感染対策だ。
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