天と地の間

クライミングに関する記録です。

大滝 アイスクライミング

2012年02月06日 | ICE
宮崎でアイスクライミングをやっているというと、九州で出来るんですかととよく言われる。できるどころか、十分に堪能できる。
ただ、本州の人と比べれば、取り付くチャンスに限りがあるが。
先週はふもとで-7℃だったとか。凍らないわけが無い。その後、いったんは緩んだが、週明けからまた寒気が入った。今期最後かも
しれないと思うと、準備に気合が入る。夜な夜なピックとアイゼンにやすりをかけ、ナイフのごとく研ぎ澄ます。今回の相方は、先
週に引き続いて事件記者。このところ、アイスに力を入れてきている若手だ。


大滝は車を降りて7分程度。これほどアプローチに恵まれ、
スケールも大きい氷瀑はそうはないだろう。
今回は、氷の色が良い。

遠目に、氷の質の良さがうかがえる。ブルーアイスとまではいかないまでも、十分にリードは可能と見て、取り付きに着くと早速、
準備を進める。

氷瀑は90度以上にはならないといっても、ここ大滝のように岩が逆層の場合、落ち口が盛りがる。その下のツララを破壊すれば、足
はピックの先にでる。手は当然、ピックから離れているため、薄被りの体勢になったりもする。そしてなんといっても、ここは九州。
氷結しても長くて一週間。氷はやはり、割れやすい。スクリューをセットする場所も限られるため、適正なルート取りが必要となる。
意外と大滝はむずかしい。


リードする私。
ここから傾斜が急に強くなる。下部が緩いだけに体感は増す。

大滝は1シーズンに何度もやれるわけではないため、登るときには緊張する。
3、4mおきにスクリューをセットする。スクリューはよく効く。多分。この辺りのところは落ちてみないと分からない。多分、止ま
るのだろうが、それ以前に、落ちるときに鋭利に研いだピックが向かってくるほうが怖い。刺されば終わりだろう。そうでなくとも
ピックでロープをこさぎ切るかもしれない。あくまでも、落ちないのが前提のクライミングだ。しかし、不確定要素が強いのがアル
パイン。何があるか分からない。落ちるときは冷静に落ちることをいつもより念頭に入れピックを振るう。


もっとも安定した右よりにルートを取る。

取り付きからの長さはおよそ37m。

後5mほどで終了点という箇所までくるとさすがに腕が張ってきた。ここからまた、若干立ってくる。気が抜けないところ。ピックが
ぶれないように刃先に意識を集中し、ものポイントをピックの穴におきスタンスを取っていく。最上部のテラスに深々とピックを入
れ、立ち上がる。なんとかフリーで完登。
力も持久力も確実に落ちているが、それを補って余りあるのがギア。ギアの力は絶大だ。


気合の事件記者。
ミゾーのバイルがよく決まるようだ。


傾斜は無いように見えるが、見ての通り逆層のため、
実際は落ち口は立っている。


彼は壁から離れることなく登りきった。
ミゾーか腕か。みごと。


ルーフに下がる氷。
左側はよほどの良い条件で無い限り登れない。


昼前、氷が緩んできたため、私もトップロープで真ん中を登る。


高度感はかなりのものだ。


林道上部から望む大滝。
上まで2ピッチ。しかし2ピッチ目は緩やかになる。

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2 コメント

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Unknown (ちゃこま。)
2012-02-07 22:55:59
指南書。
想像力を最大限に掻き立てるブログ。山野井やすし著。垂直の記憶 雪と岩の七章を読んだ時の感覚とじわーと来る衝撃に似ています~
九州でアイス。と聞くと素人目線で氷、薄く…グレードあがるんじゃ(◎-◎;)と思ってました。

いゃー。
闇雲に本読みするより、師匠のブログに来た方が楽しいですね~(笑)
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Unknown (84)
2012-02-08 12:21:32
コメントありがとう。
山野井さんの本と比べられるとこっぱずかしいかぎりです。
たしかに、九州の氷は難しい部分があります。
北海道や韓国の氷瀑も登りましたが、大滝を登っていたおかげで適応できました。
私の先輩は、ここで鍛えてマッターホルンやグランドジョラスの北壁を登ってますよ。

また来てください。
返信する

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