中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

江南の旅 -紹興④-

2006-11-01 10:11:28 | 中国のこと
 紹興の臭豆腐(choudouhu)も名が知られているようで、西安の李真も謝俊麗もおいしかったと言っていたので、ぜひ食べようと思っていた。魯迅記念館を出た後で路地に揚げている臭いが漂っていて、見ると中年の女性が小さな屋台で売っていた。1串注文すると2センチ角くらいの揚げた豆腐を5、6個刺して甘いたれと辛いたれをつけてくれた。一口噛むと特有の香りを感じたがたいしたことはなく、それよりも揚げたての豆腐のうまさが気に入ってしまった。表面はかりっとしていて中がやわらかく水気がある。食べていると、これは病み付きになりそうだと思った。その後で上海の豫園商場でも紹興臭豆腐と称して売っている店があったが、この店のものはまったく臭いはせずおいしく、紹興では臭いがするだけで避けていた卒業生のH君に食べさせたら、家で鉄板で焼く豆腐と同じだと言った。これからは中国に行けば臭豆腐を食べる楽しみができた。ちなみに西安の謝俊麗の夫の劉君は臭豆腐は嫌いで、道で臭いを嗅ぐのも嫌がるそうだ。中国人はみな好きなのかと思っていたが、そうでもないらしい。




 東湖を出た所に、みやげ物を売っている店が並んでいて、いろいろな物を並べていたが、その中の一軒の店の柱に「臭腐乳」と黒地に白い文字で書いた札が貼ってあるのを見た。ガイドの徐さんに、あの腐乳は臭いのかと尋ねたら「トイレの臭いがします」と答えた。つまりはアンモニア臭がするのだろう。色は黒いのだそうだ。色が黒くてトイレの臭いでは、何やら想像を逞しくしてしまって、視覚、嗅覚相伴ってとても受け付けられるものではないだろう。好奇心が強く、腐乳が好きな私も、さすがに買う気は起こらなかった。後で謝俊麗に話したら、彼女のおばあさんは好きなのだそうだ。好きな人があればこそ売っているのだろうが、それにしても奇妙な、おぞましいような食品もあるものだ。

 それにしても、臭豆腐と言い臭腐乳と言い、わざわざ食べ物に「臭い」と言う言葉を冠しているのは、正直と言えば正直だがおかしくもある。もっとも日本にも「くさやの干物」があるか。いったん好きになると、臭(chou)も香(xiang)に思えるようになるのかも知れない。