中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

偕老同穴

2006-11-19 10:43:05 | 中国のこと
 近頃は中国でも離婚は増えてきているようだ。特に北京や上海では離婚率は50%を超えているとも聞く。北京や上海では高学歴、高収入の女性が多いのも原因の1つだと言う。西安の李真に聞いた話では、最近離婚した女性の友人は博士号を持っていて、夫は若い女性と不倫したと言うことだ。博士の女性は中国では怖がられている、人間には3種あって、男、女、女博士だと言われていると李真は言った。またある若い夫婦は、妻が夫に何の相談もせずにアメリカ留学の手続きをして、決まってから話をし、結局は別れたとのことだ。もともと新中国になってから女性は強くなったと言われているが、最近ではますますます強くなっていて、それが離婚の原因になっていることはあるようだ。

 李真の父親は、男も女も我慢することができなくなっているからだと言っているそうだが、それもあるだろう。よく知られていることだが、中国では人口増加抑制策として「一人っ子政策」が1979年から実施されて、その結果20年間で3億人の増加を抑えたとも言われている。しかし、その反面、一人っ子は「小皇帝」、「小公主」と呼ばれるように、甘やかされて育っている者が多いので、我儘で辛抱が足りなく、協調性や忍耐力が乏しいなど「4・2・1症候群」と言われる性格になっていることが多いようだ。中国のもうひとつの問題点でもある高齢化に伴って、4人の祖父母、2人の親、1人の子供という家族構成が増えて、「6ポケッツ」と言われるように、祖父母と両親が子供にいろいろなものを買い与えて甘やかしてしまうのだ。だから長じても、結婚生活でも辛抱することができずに、すぐに別れるということになるのだろう。

 李真に「偕老同穴という言葉は死語になったか」と言ったら、知らないようだった。中国で最も古い詩集である「詩経」(前403~前221)にある言葉だそうで、「生きては共に老い、死しては同じ穴に葬られる」と言う意味。中国では「白頭到老(bai tou dao lao)」とか「白頭偕老(bai tou xie lao)と言って、結婚式の祝辞に使われるようだ。「離婚なんて考えたこともなかったな」と言ったら、「両親の世代もそうだよ」と李真は言った。李真の父親にとっても、中国の若い世代の風潮は理解できにくいことなのだろう。



偕老同穴。海綿動物の一種。
 竹籠の様な形で、内部にはガラス質の骨格がある。この中にはドウケツエビという小さ蝦が、しばしば雌雄一対で生涯を過ごしている。初めはこの蝦の名だったが、後に海綿の方の名称となった。