中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

常用漢字

2010-05-26 09:05:15 | 身辺雑記
 常用漢字が改定される。1981年に決まった現行の1945字に196字が追加されたり、5字が削除されたりする。その結果、改定常用漢字表は2136字になる。

 追加される漢字の中には憂鬱の鬱や、語彙の彙、傲慢の傲、毀損の毀など、長らく手書きしていないので頭の中には何となく形は出てくるが、いざ書くとなるとちょっと自信がないものがある。やはり私も最近はパソコンのワードで「書く」ならぬ「打つ」ことが多く、手書きすることは手紙以外には少なくなっていることが原因しているのだろう。今回の文化審議会国語分科会の答申案では「漢字表のすべての漢字を手書きできる必要はない」と言っているのだが。

 常用漢字は日常の使用に必要なものとして選定されたもので、漢字使用の目安であって制限ではないから、強制力はない。実際定められた常用漢字表だけしか使えないとなると新聞などでは作成上不便が出てくるからマスメディアのほとんどは、常用漢字のほかに使用可能な漢字を独自または任意に選定して常用漢字に準用している。一般的な新聞は、日本新聞協会用語懇談会が示す新聞漢字表に基づき、それに各社で多少手を加えて、漢字使用を運用しているそうだ。

 それにしても、今回追加された漢字を見ると、へえ、こんな漢字もこれまでは入っていなかったのかと、改めて思った。例えば私が住む近畿地方の畿、その近畿地方にある大阪の阪、奈良の奈などがある。県名に関するものとしては他にも岐阜の阜、茨城の茨、岡山、福岡の岡、埼玉の埼、山梨の梨、鹿児島の鹿などが今回追加されたものだ。鹿と言えば。熊や虎、鶴、などもこれまではなかった。蜂蜜の蜂も蜜も今回追加。日常なじみの麺も追加された。もっとも麺は手書きするとなると左側の偏はどうだったかなと少し迷うこともあるかも知れない。

 漢字と言えば本家は中国だが、その中国では漢字の書体はすべて簡体字になってしまった。例えば麺は「面」、葉は「叶」。喫は「吃」だ。このようは字は日本にもあり、意味が違うから紛らわしい。日本で使われていた旧体漢字が使用されているのは、今では台湾と香港と在外中国人社会だけになった。台湾の「臺灣」などは懐かしいが、昔は小学生でも上級生になると、このような難しい文字を覚えなくてはならなかったから大変だった。漢字文化圏だった韓国やベトナムでは今では漢字は使われていないが、日本ではこれからも日本の文化として漢字は使われていくだろう。今回の改訂の答申案では「今後、情報機器がさらに日常化・一般化しても漢字の手書きは重要で、漢字の習得と運用能力の形成のために不可欠だ。手書き自体が大切な文化と言える」と言っている。私にはちょっと耳が痛いことだ。