10月25日
○『プレジデントFamily』という月刊誌の広告が新聞にあった。「どうすれば、子供は賢くなるの?」とあって、続けて大きく「東大生184人『親の顔』」とあり、これが特集なのだろう。これに関して小さい字で惹句がごたごた並んでいる。「勉強意欲が燃え上がる家の『8つの仕掛け』」「何を与え、何を我慢させれば、自分で考える子になるのか」「『最高の思春期』の迎え方」など。「東大生」という大きな文字のそばには「天才!秀才!逸材!」とある。
どんなことが書いてあるのかは知らないが、子どもを持つ世の親たちの中には飛びついて、書いてあることを実行しようとする者もいるのかもしれない。「東大信仰」というものは相変わらずなのか。
○プロ野球のドラフト会議があり、昨年の会議で交渉権を得た日本ハムを拒否した東海大の菅野智之投手を、読売ジャイアンツが単独指名した。他の球団は再拒否のリスクを恐れてか競合することはなかった。今日のスポーツ紙の『報知』(『読売』系)はこうなることが当然と予想していたように一面に大きく、「浪人してまで『愛』貫いた一年」とあり、その表現にかなり気持ち悪い思いをした。一昨年のドラフト会議でも中央大の澤村拓一投手をジャイアンツが単独指名(中日ドラゴンズも指名するかと言われていたが、これも拒否されるリスクを考えて諦めたと言われている)し、この時も「相思相愛」などと言われ,決定した時澤村投手は涙を流して、私などは白けたような気分になったものだ。
どうもジャイアンツというチームはドラフトに絡んで何かと話題になり、過去にも元木選手や長野選手などに同様の例があったようだ。菅野投手のことは、ジャイアンツファンはもちろん文句なしに喜んでいるだろうが、規則上は問題ないとしても何か割り切れないものを感じる。ドラフト制度の形骸化につながる「一本釣り」(『毎日』社説)などやめてドラフトには条件などつけないのが正常な姿で、その方がすっきりする。若いうちはどこの球団でも行って頑張って名を成し、FAの権利ができてから堂々と意中の球団を希望すればよい。「○○愛」などという日本的なじめじめした雰囲気は無しにするべきだ。こんな思いをするのは私が「弱小」タイガースのファンだからか。
10月26日
○東京都の石原慎太郎知事が辞職して新党を作り、自身も国政に出るようだ。「いのちのあるうちに最後のご奉公をしたい」のだそうだが、齢80歳で意気軒昂なことだ。名にし負う現憲法廃止論者で核武装論者。そんなウルトラ右翼老人が国会にまた出て「だらしない議員達を監督する」と言うのだが、もういい加減にしてほしい。
10月27日
○今夜の月は十三夜の月。30日の満月までまだ3日あるから、少し欠けているが、昔は旧暦8月15日の中秋の後の名月として賞された。中秋の月は中国由来だが、十三夜月は日本で言われだしたものだそうだ。一説には宇多法皇が九月十三夜の月を愛で「無双」と賞したことが始まりとも、醍醐天皇の時代(延喜十九年:西暦 919年)に開かれた観月の宴が風習化したものとも言われているが、なぜ、この少し欠けた月が「明月」とされたのかは知らない。季節柄、「芋名月」とか[栗名月]などと言われている。
「十三夜に曇りなし」と言われているそうだが、今夜は晴天。夕方、西の空にかかった十三夜の月は心なしか趣きがあった。