中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

記者の品性

2011-09-13 08:57:57 | 身辺雑記

 鉢呂経済産業大臣が、福島県の被災地を視察した後、記者の体に触るようなしぐさをしながら、「放射性物質がうつった」などという趣旨の発言をしていたことなどの責任を取りたいとして、辞表を提出して受理された。その後鉢呂大臣は、経済産業省で記者会見したが、その様子をネットで見たが、一部の記者の態度は不愉快極まるものだ。 

 

 まず会見が始まる前の様子。

 

 司会「週末急な呼びかけとなって大変申し訳ございません。大臣25分ごろいらっしゃって、記者会見を開始したいと思います。冒頭大臣から発言が簡単にありまして、その後代表幹事社さんから。時間は次の予定がありますので予定は20分と聞いてますが、そこは適宜」

 

A「次の予定あんの?」

B「何だよ予定って」

司会「()一応あります」

C「ふざけんなよ」

D「やめちゃうのに次の予定もないじゃん(笑い)

 

 A~Dは記者。のっけからこの調子である。司会者は経済産業省の係官らしいから、なおさら軽侮した物言いになるのだろう。記者たちの品性の悪さが想像される。その後大臣が入室して質疑が始まる。その途中で、

 

 所属、氏名不明「具体的にどうおっしゃったんですか?あなたね、国務大臣をお辞めになられる、その理由ぐらいきちんと説明しなさいよ」

鉢呂「私も非公式の記者の皆さんとの懇談ということでございまして、その一つひとつに定かな記憶がありませんので」

所属、氏名不明「定かな記憶がないのに辞めるんですか。定かな事だから辞めるんでしょう。きちんと説明ぐらいしなさい、最後ぐらい」

鉢呂「私は国民の皆さん、福島県の皆さんに不信の念を抱かせたこういうふうに考えて

所属、氏名不明「何を言って不信を抱かせたか説明しろっつってんだよ」。

鉢呂「ですから、今、お話したとおりでございます」

フリーランス記者「そんなやくざ言葉やめなさいよ。記者でしょう。品位を持って質問してくださいよ」

鉢呂「大変すみません。私は精一杯話してるおるつもりで、ご理解をいただきたいと思います」

フリーランス記者「恥ずかしいよ、君はどこの記者だ!」

 http://www.youtube.com/watch?v=gTYBjRutH6w

 

 確かに大臣の説明は歯切れが悪く、聞いていていらだたしい感じもしたか、それにしてもこの記者の言葉遣いはなっていない。いじめ、いたぶりのような感じがする。自分を何様と思っているのか傲慢きわまりない。いかに不適切な発言で辞めたにせよ、質問するには一定の礼儀、わきまえが必要だろう。現役の大臣や、強面で知られる某知事に対してならこう言う態度はとるまい。要するに卑小な小物なのだ。「記者でしょう。品位を持って質問してくださいよ」はもっともなことだが、このような低劣な記者には馬の耳に念仏だろう。それにしてもいったいどこの社の記者だったのか。最近は記者会見の時には発言者は挙手して、所属と氏名を言うのが慣例になっているそうだが、この記者は言っていない。他の記者には分かっているのだろうが、そこらはもたれ合いで黙っているのだろう。

 

 最近のマスコミの記者の品性が落ちていることは、しばしば指摘されることで、大新聞の記者でも例外ではないようだ。あるサイトでこんな記事を見た。

 

 これで思い出すのが05年のJR西日本の福知山線脱線事故。社長を前にして、記者が「遺族の前で泣いたようなふりをして、心の中でべろ出しとるんやろ」といういびる姿がテレビで放送されたことだ。これは、世界最大の部数を誇る某全国紙の社会部の記者の質問だ。

これには、本社にも苦情や怒りの電話が多数あったという。実際に同業他社からも、この記者たちの評判は芳しくなかったそうだ。あえて、時効ということで名前は伏せておこう。 

それから6年、クビを盗ったぞ、といわんばかりの「ドヤ顔」で、溺れている人を叩くとは、記者は何も学んでいない。

 

 (*「ドヤ顔」:「どや」(どうや)とは関西方言で、「どうだ」という意味。得意顔、したり顔)

 

 新聞は「社会の木鐸」とか言われる。木鐸とは世人を覚醒させ、教え導く人のこと(論語)だが、末端の品性の低いチンピラ記者の言動を見聞きすると、もはやこれは死語だと思いたくなる。もちろん使命感を持った記者も少なくないのだろうが、残念ながら悪貨は良貨を駆逐しているような気がする。

 

 

 

 


悪口雑言の限り

2011-09-11 12:59:56 | 身辺雑記

      東京電力福島第一原発事故の風評被害で苦しむ福島県の農家らを支援しようと、福岡市西区の商業施設で予定されていた「ふくしま応援ショップ」の開店が、中止されることになった。出店を計画していた同市の市民グループ「ふくしまショッププロジェクト」に、「福島からトラックが福岡に来るだけでも放射能を拡散する」といったメールや電話が相次いだためだという

 

  先だっての京都の大文字の送り火の騒動を思い出し、またかという思いがする。私が読んでいる新聞のコラムにはこのことについて、「一部の声としても東北人との悲しい隔たりを突きつけられた思いだ。遠方の惨事を見聞きするたびに、他人事と高をくくるのが人の常だが、一国を揺るがすほどの災害に部外者はありえない。ならば真剣にかかわりたい」とあった。その通りであると思うし、これに異議を唱える人は少ないと思うのだが、残念ながらそのような心の持ち主ばかりではないようだ。 

 

この記事に関してネットで検索していると、あるサイトが目に入り、開いてみるとその書き込みの内容のひどさには呆れてしまった。少しだけその一部を抜粋してみよう。

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 偽善で福島産受け入れるよりはマシだな

 はっきり断った方がいいよ。そうしないと東北の農家はつけ上がる

 

九州まで放射能運んで来んなよ。帰れ

 

自分の家族や子供達には放射能が~と言って食べさせないのに、他県の人間には風評被害だ!問題無い食べてくれ!と言う福島土人よりよっぽど好感持てるんだが。(*「福島土人」という表現で、いかに福島県人を蔑視しているかが分かる)

 

放射能に汚染された食べ物運んで来るんだから言ってる事は間違いではないな。早く福島県閉鎖しろよ。クソが。(*この男、今に福島県を潰せと言い出すのではないか)

現実見ろよ。400年は住めない土地になに意地はって居座ってんの?そんな土地で暮らすのは勝手だが他県の人々に迷惑かけるなよ。(*住まざるを得ないという現実があることには気づいていない。それにしてもこの思い上がった傲慢な態度はどういうことか)

 

全国的にこのノーモアフクシマ運動が広まればいいな。(*これは福島のような災害は二度とないようにということでなく、福島拒否ということだろう) 

 つくばに、双葉の屑が3000人も移住をたくらんでるらしい。助けてくれ。(*双葉は福島第一原発の近くの町。この投稿者は茨城県人。それにしても「双葉の屑」とは、投稿者こそ人間の屑ではないか)

 

本州からくるもの全て開門海峡で検疫をすべき。人間もな。(*九州人とはこういう考えなのかと思いたくなる、その独善的な偏狭さ!)

 

  ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

他にも多くあるが、大方は読むに耐えないようなひどいものである。多くは福岡や九州の人間らしいが、他の県の者もいるようだ。発言の調子から想像すると若い人間のようだが、それにしてもこの思い上がった悪口雑言ぶりはどう考えればいいのか。いかに言論の自由があるからと言って、このような「言論」まで認めるのは納得できないものがある。匿名ということで悪しき感情が増幅されて心の醜さがあらわになるのだろうが、人間としての心が荒廃し汚染されているとしか思えない。匿名ということで安心して雑言の限りを尽くす卑小さ。こういう輩は、そもそもあの地震、津波の惨状にも、まったく心を動かすことはなかったのだろう。この社会にはこのような異常な心を持つ人間を生み出すような歪んだ面があるのだろうか。

 

  

 

 

 


軍霞(ジュンシャ)

2011-09-10 10:02:47 | 中国のこと

 私は関西日中交流懇談会という中国の貧困農村地区に教育支援をしてきたNGO団体の会員になっている。この会では2001年から「一対一の教育支援」と言うプログラムを始めた。これは湖南省や寧夏回族自治区の貧困地区の農村の子ども達に学費を援助するもので、私も2人の子どもを支援してきたが  その内の寧夏の南部、固原市の農村に住む回族の女の子が馬軍霞(マ・ジュンシャ)である。

 

初めて軍霞の援助を始めたのは、彼女が中学1年生になったときだが、家が貧しく小学校を出ても義務教育である中学校への進学が困難だった。現地の教育局を介して私が彼女の支援者になった。このことで軍霞は中学生になることができたのだが、よほど嬉しかったようで、初めて来た手紙には「陸に打ち上げられていた魚が水に戻れたのです」と書いていた。その後何度か現地で会う機会があった。小柄な体はいっこうに変わらなかったが、学業はどんどん進歩していたようで、年に回送られてくる手紙にそのことが窺われた。 

 

     17歳の軍霞 

 

 軍霞は大学4年生になる私の一番上の孫娘と同じ年齢だが、大学進学のときに足踏みして1年間予科に入り、この9月から寧夏回族自治区の区都にある寧夏大学の3年生になった。将来は寧夏の西部の貧困地区で教師になる希望を持っていて、地理学を専攻しているが、元気に学生生活を送っているようだ。

 

 隔年ごとに会では援助地区に調査と交流をかねた訪問団を送っていて今年は寧夏の番だった。最近来た手紙では軍霞は私が訪れるのを待っているようだったが、残念ながら私は近頃は脚が悪くて行くことはできなかった。それで団長のAさんが代わりに会って面談してくれた。元気な様子だったとのことで安心したが、私の脚を気遣ってくれたようだ。このほど会の事務局を訪れた時にAさんが彼女の写真を手渡してくれた。相変わらずの小柄だったそうだが、すっかり娘らしくなっていた。

 

        

 

 訪問団に同行した運営委員のNさん(女性)が、面談の時に撮ったビデオレターを見せてくれた。軍霞はカメラに向かってちょっと微笑みながら一心に語りかけていた。残念ながら私には中国語は分からなかったが、途中で何度も「爺爺イエイエ(おじいちゃん)」と言うのだけは分かり、本当に孫娘が話しかけてくれているようで、聞いていると愛しくなって涙ぐんでしまった。

 

 思えば中学1年生の時から10年の間に軍霞は成長した。これからの2年間にもいっそう研鑽を積んで、念願の教師になって欲しいと心から願っている。その時には私は80になるので、それまで何か張り合いができたように思う。

 


精神疾患(2)

2011-09-08 09:30:06 | 中国のこと

 中国国営新華社通信によると、中国の精神障害者は2009年時点で1億人以上に上り、このうち重度の患者は1600万人を超えた。単純計算では100人中13人が精神障害者であることになり、心臓疾患やがんなどを上回っているそうだ。中国の人口は13億と多いが、それにしても精神障害者が1億人以上とは凄まじい。

 

中国ではここ数年、精神障害者による児童への無差別殺傷事件のほか、大学生による自殺の多発、台湾電子機器大手の従業員による連続自殺などが大きな社会問題として注目されている。山西省厚生庁疾病予防所の所長は「中国の精神障害病の患者数はB型肝炎の患者数に接近しており、社会の安定を脅かしている」と強い懸念を示しているという。

 

全国の成人の12%に当たる住民を対象に行った調査によれば、成人の中で何らかの精神障害を持つ人は約18%で、このうち鬱病が約6%、不安障害が約6%、薬物乱用による障害が約6%という結果だった。また、鬱病と不安障害は男性より女性が多く、若い世代よりも40代以上が多い。またアルコール依存症は男性は女性の38倍となり、農村住民の方が都会の住民と比べて鬱病もアルコール依存症も多かったという。やはり農村部は貧困の度合いが強く、生活苦から鬱になったりアルコール依存に陥るのではないか。

 

子どもの精神障害も増加しているそうだ。北京市の1800の家庭を対象に3年間の追跡調査を行った結果、3分の2の家庭で不適切な教育から、子どもたちがさまざまな精神的障害を抱えているという。不適切な教育というものがどのようなものか分からないが、一人っ子に過度の期待をかけて教育し、子どもを追い詰めているのではないだろうか。

 

 大学生にも精神障害が多い。精神障害の発病率は、全疾病の中で1989年の約20%から98年には約27%に増加しているし、天津市が大学生5万人を対象に行った調査でも精神障害は16%以上にも達し、北京大学ではこの10年で精神障害を理由に休学、退学した学生は、全退学者の約3分の1を占めたという。中国の高校生の大学進学熱は過熱する一方で、とりわけ貧しい農村部の学生は良い大学を卒業して良い就職をすることで貧困から抜け出すことを目指すが、入学してから不適応を起こすことも多いのだろう。

 

  中国の発展は目覚しい。経済的には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の国だ。しかし急激な発展に伴ってどうしても負の面が出てくるようだ。これからも社会の歪が改善されない限り、精神を病む人たちは増えるのではないか。

 

  精神障害者は非常に増えているのに、専門的な医療機関や専門医師の不足は深刻だと言う。中国疾病予防センターのデータによれば、2005年末時点で、全国に精神疾病医療機関はわずか572カ所しかなく、精神科医の人数は1万6383人、精神科医は10万人に1人しかいないことになるとのことで、いかにも遅れている。実入りの多い一般の医師は希望するが、地味な精神科医になろうという希望者は少ないのか。

 

 

 

 

 

 


精神疾患

2011-09-06 09:28:33 | 身辺雑記

 ここ数年、精神疾患の患者が急増しているとのことで、厚生労働省はがん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の「4大疾病」に精神疾患を加えて「5大疾病」として、重点的に対策を進めていくことを決めたそうだ。

 

 厚生労働省では平成19年から「4大疾病」の重点的な対策に取り組んできたがその後、精神疾患の患者が急増し、平成20年に行った調査では、糖尿病患者の237万人、がん患者の152万人に対し精神疾患は323万人と、いずれも上回った。また、年間3万人を超える自殺者のおよそ9割は何らかの精神疾患にかかっていた可能性があると指摘されている。

 

 精神疾患とは(および「心」)の機能的・器質的障害によって引き起こされる疾患を言い、統合失調症躁うつ病といった重度のものから、神経症パニック障害適応障害といった中、軽度のものまでの様々な疾患を含むとされている。これはやはり今の日本の社会には、個人に過度のストレスを与える要因が多いためだろう。まして、東北大震災やそれに伴う原発事故のような大災害があればストレスは非常に強く精神的にアンバランスな状態になるのは当然だと思う。

 

 4人から5人に1人が一生のうちに何らかの精神疾患にかかると言われているそうだが、私も30代末から40代初めにかけて心臓神経症に苦しんだ。そのときの不安定で暗い気分は今も忘れられない。過労と人事に関しての鬱積した不満が引き起こしたものだが、休職したりすることもなく何とか乗り切ることができたのは、やはり生徒達がいたからだと思うし、幼い長男を抱えた妻の支えがあったからだと感謝している。

 

 教員の精神疾患も多いようだ。文部科学省が公立の小中学校や高校、それに特別支援学校の教員を対象に調査したところによると、昨年度の1年間に病気で休職した教員は全国で8627人で、前の年度より49人増えたが、このうち、うつ病や適応障害など、精神的な病気で休職した教員は63.3%に当たる5458人で、前年度より58人増え、これまでで最も多くなったという。休職しないまでも常に心にストレスや悩みを抱えている教員はもっと多いだろう。

 

 教員の仕事は夏休みもあり、時間が来たら家に帰れるし気楽なものだと思っている向きは少なくないようだ。特に企業に勤めている者にそういう傾向があるようで、現に私の長男はある機械メーカーに勤めていて、かなりハードな毎日のようだが、小学校の教師をしている弟の仕事についてはなかなか理解しないところがある。幼い時から部活動のため毎日遅く帰り、夏休みもなかった高校教師としての私を見て来たこともあって、それなりに苦労はあるものとは理解していたようだが、どうも弟のような小学校の教師に対しては世間並みのステレオタイプの見方があるようだ。

 

かつて教育委員会にいた時に新任の教師に話したことがあるが、教師は日常的に4つの集団に接している。1つは言うまでもなく子ども達、それからその親達、3つ目は自分のいる学校の教師集団、4つ目はその学校がある地域の人達だ。このように多くの集団に接していく仕事は他にはあまりないものだ。そしてその若い教師に、親をPTAの人などと思わないで、自分が預かっている子どもを育ててきた、いわば人生の先輩として接して、親と教師が協力して子どもを育てようという気構えが大切ではないかとも言った。

 

ところが、その頃にはあまりなかったが、今ではモンスター・ペアレントとか言う、事あるごとに担任や学校にクレームをつけ、時には教育委員会に訴えるぞと脅す親もいるから、若い教師は耐えられない思いをするだろう。教員が精神的な病気で休職する理由についてある教育委員会は、業務が増えたことによるストレスや、保護者や住民からのさまざまな要望や期待に応えることへの負担などを挙げ、若手の教員の場合は、最初に描いていたイメージと違い、自信をなくしてしまう傾向が強いとコメントしたそうだが、次男の話を聞いても近頃は業務が増えているのは事実で、それには教育委員会のあり方にかなり関係しているようだ。教育委員会にはしばしば学校長を通じて教員を管理することに力を入れる傾向があり、教員が伸びやかに子ども達に接することができるような環境を整えることには、なかなか目が行かないらしい。

 

教員に限らず、精神疾患に罹るのはその人間がひ弱だからだなどと決め付けることなく、十分に心のケアをすることが大切だし、何よりもそのような精神疾患を引き起こすようなパワハラの横行などの職場のあり方、雰囲気を改善していくことが必要ではないか。

 

 

 


台風一過

2011-09-04 12:11:33 | 身辺雑記

  ・・・・秋の空と言うが、大型台風12号の通過後の今朝も、風はないが雨脚は強い。襲来当初は近畿を直撃するかと思っていたが、進路は西にずれて岡山県を通過した。昨夜は8時ごろから風雨ともに強くなり、夜半まで続いたようだ。 

 このあたりに台風が来ることは近年少ない。今度は7年ぶりらしいが、それでもあまり被害を出さなくてすんだ。稔り間近で穂が色づき始めていた近所の田の稲が倒伏していないかと、朝起き抜けに見に行ったが無事だった。田の持ち主も安心したことだろう。

 

  今度の台風は非常に大型でしかも速度が遅いので、各地に大きな被害をもたらし死者、行方不明者も出た。西日本の各自治体は住民ら50万人に避難指示・勧告を出した。真夜中に通過した地域の住民は不安な一夜を明かしたことだろう。いつも死者や行方不明者が出ると痛ましいと思う。地震は予告もなしに襲ってくるが、台風はテレビなどで刻々とその進路が知らされる。死んだ人も行方不明者もおそらくはそのニュースを見ていただろうが、そのために自分の命が奪われるなどとは思いもしなかっただろう。勧告が出て避難する人たちも強雨の中を避難する途中はさぞ不安だっただろうと思う。

 

  それでも、このような状況を冷たく見てコメントする「識者」もあり、ある女性作家はかつて襲来した大型台風被害について、「一晩くらいの事で何でそんなに避難者を甘やかすのか、避難するなら健常者は食糧寝具くらい自分で避難所に持って来るのが普通」とコラムで述べたそうだが、その冷たさ、傲慢さには呆れてしまう。この作家はいわゆる良家の出でカソリック信者と言うが、どういう心の持ち主かと思う。おそらく庶民の生活や心情などは分かろうともせずに高いところから見下しているのだろう。 

 

  これから秋にかけていくつか台風が襲来するだろうが、無事であるようにと願う。 

 

 

 


報道人のわきまえ

2011-09-03 10:31:41 | 身辺雑記

Hg君が最近はNHKのニュースでもテロップに誤字が多いと言った。私はテレビがないので分からないが、おそらくパソコンのようなもので文字を打ち込むときに、誤った文字変換になったのだろうが、やはり短いテロップであってもよく推敲して誤りがないようにしなければならないだろう。 

 

テレビのテロップと言えば、先だって公共放送の当事者としては許されないようなことがあった。東海テレビ放送(名古屋市)が情報番組「ぴーかんテレビ」で岩手県産米のプレゼント当選者を「怪しいお米セシウムさん」、「汚染されたお米セシュウムさん」などとしたテロップを誤って表示した。同局によると、リハーサル用テロップを外部委託のCG制作会社の50代のスタッフが「ふざけた気持ち」で作成。これが誤操作で放送され、さらにディレクターらが次のコーナーのリハーサルに気を取られて気づくのに遅れたため、結果的に23秒もの間表示された。

 

もちろんこのことは大問題になり、1万5千件以上の苦情が同局に殺到し、これまでこの番組のスポンサーだった企業や団体はCMから降り、番組は打ち切りになった。近頃放映された同局の検証番組に顔は隠して出たこの50代のスタッフは、「本当に思い付き。ちょっとした悪ふざけ」「ただ、漠然と入れただけ。何かしてやろうという気持ちはなかった」と言ったという。このスタッフは所属会社を懲戒解雇になったようだが当然だろう。それにしても50代にもなって、なぜこのような馬鹿げたことをしでかしたのか理解に苦しむが、外部委託会社とは言え、公共事業に携わっているという意識が弛緩していたのではないか。放送前日に、不適切なテロップに気付いた若手の女性タイムキーパーは「やめてください。不謹慎です」と訂正を求めたが、スタッフは「はいはい」と応じたと証言したが、スタッフは「すぐに直してくださいと言われた認識はなかった」と話していて、どこまでずれた考えの持ち主かと思う。

 

東海テレビはフジテレビ系列局だそうだが、フジテレビは以前にも番組放映に関わって不始末をしでかしている。フジテレビが放送した「東日本大震災報道特別番組」で、菅直人首相の会見を中継している際、会見とは関係のない別の音声が混信し、放送された。音声は「ふざけんなよ、また原発の話なんだろう、どうせ」「ア~、笑えてきた」「くそだよ」など男女の声だったようだ。同局は「このような音声を放送してしまったことに強く放送責任を感じております。今後、このような事態が発生しないよう取材、放送を続けて参ります」とコメントした。「音声機器のトラブルをリカバーしようとした技術スタッフの人為的ミス。本来上がるべきではない音声が上がってしまった」と説明した。

 

このフジテレビのコメントはピントが外れている。「このような音声、放送してしまったこと」よりも、このような会話をすること自体が不謹慎だし、おそらくは外部スタッフではなくフジテレビのスタッフだろう。一部で「女性の声はキャスターのAアナではないか」との報道もあったらしいが、フジテレビでは「調査の結果、社員の発言ではなかった」とこれについては否定し、だれの発言かは明らかにしなかったようだが、何か隠蔽体質と傲慢さがあるように思う。そのような傲慢さが、会話を交わした者たちの意識にも植え付けられていたのではないか。

 

テレビも新聞も巨大なマスメディアだ。そこの仕事に携わっている者はよほど自戒していないと自分が社会を動かしていると錯覚を起こすことになる。現に大新聞のトップの中にはあれこれ政治に口を出す者もいる。自分が権力者と思っているようなところがあって苦々しい。上がそうであれば末端の者までが勘違いして、横柄な傲慢な意識や態度を身につけていく。末端から外部委託も含めて謙虚な姿勢で報道という仕事に携わってほしい。

 

 


高速鉄道の事故から1ヶ月

2011-09-01 10:02:26 | 中国のこと

 死者40人を出した中国の事故から1ヶ月以上たったが、中国国内では発生後 1ヶ月の日に事故の発生時刻に合わせて犠牲者を追悼する動きなどもみられず、また事故の発生当初、政府の対応を批判してきた国内メディアも国営の新華社通信がけがをした乗客のうち108人が温州市内の病院を退院したことや、入院中の47人についても順調に容態が回復していることを伝えたほかは、目立った報道はみられず、事故を巡る報道もほとんどないらしい。これは早期の収z束を図りたい政府の思惑が映し出されているとのことだ。

 

 前にも書いたが、毛沢東が言い、現在の政権もスローガンにしている「為人民服務」(人民のために奉仕する)はこのようなニュースをみると、何か空々しく思えてくる。人民の批判を恐れ、何とかしてそれを抑えようとする政府や中国共産党の姿勢は、人民を大切にするという姿勢から程遠いものだと思う。事故車両を地中に埋めた後、掘り起こすなどの事故後の処理について不適当な発言で更迭された鉄道省報道官が、処分も受けないままポーランド勤務のポストが与えられたとのことで、利権と腐敗の温床である鉄道省の性懲りもない甘さも呆れるほどだし、それを看過している政府のありようも理解できない。もちろん鉄道省の幹部はすべて中国共産党員だから、結局は身内をかばうことに終始し、事故報道を規制して人民の怒りが収まるのを待っているのだろう。そこには人民に奉仕するという誠実さのかけらも見られない。

 

 さすがに頑固な鉄道当局も安全性を高めるため、全土の路線で高速列車の速度を減らすことを柱とするダイヤ改正を行った。今回の改正で中国の高速鉄道の最高時速は350キロから300キロに減速し、最高320キロのフランスTGVを下回ることになった。卑小で過剰な「大国意識」で安全を二の次にして世界最高速を目指したが頓挫し、正常になったようだ。中国版新幹線と言われる北京ー上海間の路線は中国共産党創立90周年祝典に合わせて闇雲に工事を進めたが、開業当初から遅れなどの事故が続いた。それを日本の新幹線も開業直後は事故が頻発したなどと強弁していたし、日本の技術を取り入れているのに中国独自の技術で世界一だと言っていた。まったく小児病的な態度だ。それで結局は大きな事故を引き起こしたが、政府、鉄道省は本当に誠実に検証しているか疑問だ。相変わらずの隠蔽体質はどうしようもないのだろう。

 

 私は「中国迷爺爺」と自称するように中国好きで、中国の歴史、風土には惹かれる。知的財産権などどこ吹く風かというような風潮や、何事につけ賄賂が横行する体質など一部の中国人のありようはどうにも嫌いだが、それでも信頼し合える親しい友人がいて、独り身の侘しさが慰められるし、西安の李真や謝俊麗の子ども達は自分の曾孫のように可愛く思う。しかし最近の中国という国のあり方や振る舞いは違和感を通り越して嫌悪を覚えることが少なくない。そして、やはり一党支配の政治体制というものには問題があるのではないかと思わされ、かつて貴州省に行ったときにガイドの女性が、「こんな体制は20年もちませんよ」と吐き捨てるように言ったことを思い出す。